イスラム組織ハマスのイスラエル攻撃を受け、OFAC(米財務省外国資産管理局)は18日、同組織の資金源を断つことを目的に9人の個人と1団体に制裁を科すと発表した。
ハマスの資金調達に関与したとされるスーダン、トルコ、アルジェリア、カタールの個人やイランと密接な関係にある金融仲介業者、ガザ地区を拠点とする暗号資産(仮想通貨)取引所などが制裁対象となる。
今回の制裁についてOFACは、イスラエル当局と連携して速やかに実施するとしている。これまでにもイランと関係のあるハマス、ビズボラ地域のテロ組織やテロ資金供与などに関係する約1,000の個人や団体を対象に制裁を行ってきたが、今回の制裁もその一環となる。
今後、米国内における制裁対象者の資産はすべて凍結される。さらに制裁対象者が権利を持つ事業体の資産も凍結されるという。
ジャネット・イエレン(Janet Yelle)財務長官は、米財務省にはテロ資金を効果的に妨害してきた長い歴史があるとした上で、「我々はハマスに対して逐年の手段を使うことをためらわない。ハマスのテロリストが残虐行為を行い、イスラエル国民を恐怖に陥れるための資金調達の手段とそれらを使用するための能力を完全に封じ込める」と強く主張した。
今回制裁を課せられる中心人物は、ガザ拠点の暗号資産交換サービスを提供するバイ・キャッシュ(Buy Cash Money and Money Transfer Company)のオーナーであるアハメド・アラカド(Ahmed M Alaqad)氏だ。同氏はハマスの投資家で、OFACにより2015年に「Specially Designated Global Terrorist(テロリストで国際的な制裁措置対象者=SDGT)」に指定されている。
バイ・キャッシュは2021年6月にイスラエルのテロ資金対策局によって押収されたウォレットと関連しており、ハマスの資金調達への関与に加え、ほかのテロリスト集団の関連組織による資金送金にも度々利用されてきたという。今後はバイ・キャッシュを介したハマス暗号資産の募金活動も阻止するとしている。
7日に起きたハマスによる奇襲攻撃を受け、イスラエル警察はハマスに関連する暗号資産口座を相次いで凍結している。
参考:発表
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