岡三証券グループは、岡三証券、みずほ証券、みずほ銀行、三菱UFJ信託銀行と協業し、国内個人向け公募ST(セキュリティトークン)債を発行すると発表した。本取り組みはセキュリティトークン事業の第1弾として位置付けられ、Progmatが開発・運営するデジタルアセット発行・管理基盤「プログマ(Progma)」を活用する。
発行額は過去最大規模となる20億円分で、「岡三証券グループ創業100周年記念ST債」を発行する。12月20日に発行し、償還期間は1年間。岡三証券の運転資金にあてる予定だ。
岡三証券グループは2023年4月4日に創業100周年を迎えた。「金融のプロフェッショナルとしてお客さまの人生に貢献する」ことをミッションに掲げ、金融市場の発展に貢献することを目指してきた。
岡三証券グループは、かねてより協業企業との連携で資本市場にあらたな価値を創出するというビジョンのもと、ST債の募集と発行について標準的な枠組みの構築を進めてきた。そうしたなか、本枠組みにおける第1弾として、岡三証券グループ100周年の節目を記念し、ST債を発行することになったという。
今回協業するみずほ証券は今年3月、国内初となる公募不動産ST(適用除外電子記録移転権利)の取り組みを行った。また、「有価証券表示権利(トークン化有価証券)の取り扱いをあらたに開始した。
みずほ銀行は公社債受託ビジネスのトップバンクであり、長年にわたって社債管理者・財務代理人ビジネスを営んできた。協業各社との連携のなかで、ST債における社債管理や資金決済実務の構築を牽引している。
三菱UFJ信託銀行は、Progmatがライセンス提供するプログマを活用した社債原簿の管理、秘密鍵のカストディを担う。プログマを活用した公募ST債への取り組みは本件が初となる。プログマを活用したSTの公募事例はこれまで17事例あり、原簿管理対象資産残高は約882億円となる。
公募ST債の詳細
「岡三証券グループ創業100周年記念ST債」はプログマを活用した初の公募STだ。従来の証券保管振替機構を利用したスキームとは異なり、社債原簿記録の管理はプログマを用いる。発行から償還までの権利移転、権利者情報などがブロックチェーンにより管理されることになる。
銘柄は「株式会社岡三証券グループ 第1回無担保セキュリティトークン債(社債間限定同順位特約及び譲渡制限付)」。愛称は「岡三証券グループ創業100周年記念ST債」だ。発行額は現在未定ではあるものの、20億円を上限とする。申込単位は100万円。発行予定日は12月20日で償還予定日は2024年12月20日だ。
協業企業の役割は、岡三証券グループが発行、岡三証券とみずほ証券が引受と販売、みずほ銀行が社債管理者、発行・利払・償還業務を担う。また、三菱UFJ信託銀行がプログマを活用した社債原簿管理とカストディを担い、プログマがデジタルアセット発行、管理基盤プログマのライセンスを提供する。
▶︎本取り組みのスキーム及び各社の役割(発表より引用)
参考:発表
画像:Shutterstock
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