野村ホールディングスと同社子会社レーザー・デジタル・ホールディングスAG(Laser Digital Holdings AG)は「デジタル・アセットの投資動向に関する機関投資家調査2024」を実施し、結果を公表した。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)が年初来69%も上昇するなど、主要な暗号資産(仮想通貨)を中心に時価総額は2023年初めの8,000億ドル(約128兆円)未満から約1.2兆ドル(約192兆円)に上昇している。
日本においては法規制の整備が進むなど、デジタル・アセットを取り巻く環境は大きな変化をみせている。
こうしたなか、野村はデジタル・アセットに対する国内機関投資家の投資動向や意向を把握し、暗号資産への投資を検討する際に生じる課題を明らかにするため、機関投資家、ファミリーオフィス、公益法人などにおける運用担当者を対象としてオンラインにて調査を実施したという。
オンライン調査は運用担当者547人を対象として4月15日から26日に実施した。
回答者の54%が今後3年間で暗号資産に投資する意向があり、25%が暗号資産(特にビットコインとイーサリアム)に対してポジティブな印象を持っていることがわかった。知識レベルが高い40%が暗号資産に対してポジティブな印象があり、暗号資産に対する知識レベルの高さとポジティブな印象には関連性がみて取れる。
また、回答者の60%が暗号資産に投資したい理由として潜在的なリターンよりも、分散投資やインフレヘッジをあげた。
さらに回答者の62%が暗号資産を現金や株式、債券、コモディティ同様、分散投資の機会と捉えており、暗号資産に投資する場合、AUM(運用資産残高)に対する、最も好まれる配分比率は2~5%であることがわかった。想定する投資期間として80%が1年以上の投資期間を想定しているようだ。
暗号資産投資を加速する要因として、ETF、投資信託、ステーキングなどのさまざまな商品が開発されていることがあげられている。
規制やボラティリティの高さが障壁に
ポジティブな見方が強まっている反面、実際に投資を行っている機関投資家が少ないことから、知識レベルが高い投資家すべてが楽観的な意見を持っているわけではないようだ。
現在、暗号資産に投資をしない理由として障壁になっているのは、「カウンターパーティーリスクへの懸念」「ボラティリティの高さ」「社内で投資検討や承認されやすい環境が整っていないこと」「法規制面でのボトルネック」ことなどがあげられた。
障壁のなかでも、「法規制面でのボトルネックが最大」と認識する回答者が多かった。具体的な内容について、「監督指針含む法規制」「税制」「自己資本規制における暗号資産の取り扱い」「規制当局からの照合等による規制対応コストへの懸念」などがあげられている。
SEC(米証券取引委員会)がビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の現物ETFを承認したが、日本においても暗号資産への直接投資ではなく、上場投資信託を含むファンド形態への投資ニーズが高いことが今回の調査によりわかった。
53%がETFなど上場投資信託に興味を持ち、公募型投資信託への関心も40%が高い関心を示している。さらに、50%以上がステーキングやマイニング、レンディング等インカム投資に興味を持っていた。
参考:調査結果
画像:Shutterstock
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