暗号資産(仮想通貨)肯定派でCBDC(中央銀行デジタル通貨)の禁止を訴えるロン・デサンティス(Ron Desantis)氏は21日、「勝利への明確な道筋がない」と述べ、米大統領選挙から撤退すると発表した。今後はドナルド・トランプ前大統領を支持するという。
フロリダ州知事のデサンティス氏は米大統領選における有力共和党候補者として、トランプ氏を脅かす存在としてみられていた。
23日に控えているニューハンプシャー州予備選挙を前に同氏が選挙戦から撤退したことで、元サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)氏がトランプ氏の最大のライバルとなる。
15日のアイオワ州党員集会で、デサンティス氏は2位につけたものの、トランプ氏に30ポイントの大差で敗北した。この結果を受け、デサンティス氏は「なぜ(選挙戦を)続けるのか」という疑問に直面したという。その後、21日に同氏は「勝利への明確な道筋がなければ戦い続けることに意味はない」という結論を出した。
デサンティス氏はX(旧Twitter)投稿した動画で「私は今日、選挙活動を止める」と述べ、その上で「トランプ氏が現職のバイデン氏より優れていることは明らかだ」と語った。また、「私は共和党候補者を支持するという誓約書にサインしており、その誓約を尊重する。私たちはかつての共和党の守旧派に戻ることはできないため、トランプ氏を支持する」と続けた。
暗号資産に肯定的もCBDCには厳しいスタンス
デサンティス氏は暗号資産肯定派で知られる。2022年には州の予算において、暗号資産やブロックチェーンの推進に関する活動に対して予算を割り当てている。
また、大統領に就任した際にはビットコイン(BTC)を始めとした暗号資産を擁護すると公言し、「取引を認めるべく民主党が繰り広げる規制に関する戦争を終わらせる」と語っていた。
一方で、デサンティス氏はCBDCについて、断固として禁止すべきという立場をとっている。昨年7月にアイオワ州で開催された集会で、CBDCについて問われた同氏は「もし私が大統領になったら、すぐにCBDCを禁止する。終わりだ。この国ではありえないことだ」と真っ向からその存在を否定した。
デサンティス氏はフロリダ州におけるCBDCを貨幣として使用することを禁止する法案にも署名している。理由として、「CBDCは国民のプライバシーを脅かし、政府の絶対的な統制につながる可能性があると」と主張している。また、「消費者から中央当局への大規模な権限移譲につながる」として、海外のCBDCの使用も禁止すると述べていた。
なお、トランプ氏も先日、CBDCについて断固反対する姿勢を表明している。トランプ氏は「CBDCの導入は決して許さない」と述べ、「米国に来ることを断固として阻止する」と宣言した。
参考:デサンティス氏X
画像:Shutterstock
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