ロシアのウラジミール・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、ロシアでの暗号資産(仮想通貨)マイニングを合法化する法律に正式に署名した。ロシア通信会社のTASSが報道した。
本法律では、デジタル通貨のマイニング、マイニングプール、マイニングインフラ事業者、アドレス識別子、マイニング活動する個人など、あたらしい概念が導入されている。
マイニング自体は、デジタル資産の発行ではなく、売上高の一部として認識されるようになる。
規制当局に登録されているロシアの法人および、個人事業主のみがマイニングする権利を持つ、ロシア政府が設定したエネルギー消費制限を超えない限り、登録していなくてもデジタル通貨をマイニングが可能だ。
文書によると、外国のデジタル金融資産は年あのブロックチェーン・プラットフォームで取引可能であり、ロシア中央銀行はロシアの金融安定に対する脅威と判断した場合、個別に禁止する権利を持つ。
またこの法律では、ロシア国内での大規模な暗号資産の広告を禁止することも導入された。過剰な宣伝は一切禁止することで、暗号資産特有の大きなボラティリティを抑えることが目的とされる。
TASSによると、プーチン大統領は7月に行われた政府関係者との会議で、デジタル通貨の導入と利用について議論をした。
プーチン大統領は、このダイナミックな分野は今後ますます有望視されるようになり、現時点ですでに貿易、銀行、国際決済のあり方を変えつつあると述べた。
さらに、「ロシアにとって、この機会を逃さず、適時に法的枠組みと規制を整え、インフラを整備し、国内および外国のパートナーとの関係においてデジタル資産の流通のための条件を整えることが重要だ」と指摘した。
デジタル通貨がロシアの経済発展に貢献
大統領は、デジタル通貨がロシアの経済発展に貢献する可能性を強調し、さらに国際貿易における貢献も指摘し、国内および国際的なデジタル資産の成長を支援するための適切な規制とインフラの必要性をも強調した。
暗号資産導入の背景には、国際貿易における基軸通貨である米ドルを回避することを目指すことがある。ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで形成されるBRICSは米ドル使用を減らすことを目的としている。
BRICSは2019年の第11回サミットで代替デジタル通貨の採用を提案した。しかし共通通貨の運用方法に関する主要加盟国間の意見の相違などの課題に直面した。中国などはあくまでデジタル元を主要通貨として広めることを目的とした。
そこでプーチン大統領はBRICS共通通貨の構想をデジタル通貨で実現させることを提案している。すでに主要加盟国が国際貿易決済のために新通貨を開発中である。
目指すところはユーロであろうが、そのために各国の通貨の価値が下がるリスクもある。共通通貨よりは現在あるビットコイン(BTC)を始めとする暗号資産を利用した方が良いという考えに移行したようだ。
参考:TASS
画像:Shutterstock
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