米ニューヨーク州連邦地裁の陪審は2日、昨年破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの創業者で元CEOのサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried)被告に対し、詐欺罪など7つの罪すべてにおいて有罪の判決を下した。
量刑は来年3月28日に言い渡される予定で、最大で懲役115年、または終身刑となる可能性がある。一方、バンクマン=フリード被告が一連の罪を自ら認めれば、量刑が大幅に軽減される可能性も残されている。
ロイターなどによれば、バンクマン=フリード被告側は引き続き無実を主張しており、「今後も訴訟と戦っていく」としている。
裁判は先月より開始し、約1ヵ月間行われた。バンクマン=フリード被告は裁判で一貫して無実を主張していたが、すでに罪を認めていた元側近らによる証言であらたな事実が次々と明らかになるなど、情勢が好転する見通しは立たなかった。
証言のなかでは、バンクマン=フリード被告の指示により貸借対照表などが改ざんされていたことや、顧客資産を故意に流用していたことなどが明かされている。また、証言をもとにした検察による問いに対し、一部曖昧な回答を繰り返すなどといった姿勢も有罪判決に拍車をかけた格好だ。
今回の判決を受け、バンクマン=フリード被告の罪を「米国史上最大規模の金融詐欺」と表現していたニューヨーク州南部地区連邦地検のダミアン・ウィリアムズ(Damian Williams)検事は「こうした事件は昔から起こるものだ」とし、今後もバンクマン=フリード被告の不正を追及する構えをみせた。
今回有罪となった罪のほかにも、バンクマン=フリード被告は収賄共謀罪や証券詐欺罪など5つの容疑がかけられており、来年3月にあらたな裁判が行われる見込みだ。
いずれの罪においてもバンクマン=フリード被告は無実を主張することが予想され、今回の裁判と同様に元側近による証言や同被告の回答が不明瞭なものとなれば、さらに刑期が伸びる可能性もある。
参考:発表
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