SBIホールディングスは27日、米ドルに価値を裏付けられたステーブルコイン・USDコイン(USDC)を発行する米サークル(Circle)と包括的業務提携に向けた基本合意書を締結したと発表した。
両者は日本国内におけるUSDコインの流通や、サークルの銀行口座開設及びWeb3.0関連サービスの普及を目指す。
あわせて、規制当局の承認を前提として、電子決済手段等取引業の登録を目指す方針である国内暗号資産(仮想通貨)取引所SBI VCトレードにて、USDコインの取り扱いを行う予定であることも明らかにした。今後、2024年中にもSBI VCトレードが電子決済手段等取引業の登録を完了し、その後取り扱いが開始されるものとみられる。
さらに、SBI新生銀行が口座開設を通じてサークルに日本国内で銀行サービスを提供する予定だ。これにより、日本国内の事業者を始めとしたユーザーのUSDコインへのアクセスと流動性の向上が期待されるとしている。
そのほか、SBIはデジタルアセット関連の戦略の一環として、サークルのプログラマブルウォレット、ブロックチェーンインフラ、スマートコントラクト管理ツールなど、さまざまなWeb3.0関連システムの提供に向けた協業でも合意したと説明している。
今回の提携について、サークルのCEOであるジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏は「日本及びアジア太平洋地域の拡大計画における重要なマイルストーンだ」と述べた。また、「SBIグループとサークル社は、これらの取り組みを通じて、日本国内におけるステーブルコインのユースケースの拡大に向け尽力してまいります」と続けている。
SBIの代表取締役会長兼社長である北尾吉孝氏は、「日本国内では2023年6月に施行された改正資金決済法でステーブルコインに関する制度整備が行われるなど、ステーブルコインの本格的な導入に向けた土壌が着実に整い始めている」との見解を示し、「SBIグループはステーブルコインを活用したあたらしい金融の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと考えています」と語った。
国内で加速するステーブルコインを巡る動き
サークルが発行するUSDコインは11月17日時点で累計12兆7000億ドル(約1,880兆円)以上の取引が行われるなど、世界有数のステーブルコインとして知られる。暗号資産市場におけるステーブルコインの時価総額では、テザー(USDT)に次ぐ2位に位置している。
今年6月に施行された改正資金決済法により、法定通貨担保型ステーブルコインの取り扱い等について定義された。これにより、現在ステーブルコインの取り扱いを巡る動きが活発化している。
今月6日には、三菱UFJ信託銀行がGinco及びProgmatとともに、暗号資産交換業者間の資金決済効率向上を目的とした「暗号資産業界横断ステーブルコイン」の発行に向け取り組みを開始した。
本取り組みでは、Progmatが手がける「プログマコイン(Progmat Coin)」を活用し、円貨建てステーブルコイン「XJPY」を発行する予定だ。さらに、米ドル建ての「XUSD」を発行することもあわせて発表されるなど、今後加速度的に取り組みが進められていくものとみられる。
参考:発表
画像:Shutterstock
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