SEC(米証券取引委員会)がイーサリアム(ETH)について調査しており、イーサリアム財団と取引のある関連企業に召喚状を発行したことがわかった。20日、米フォーチュン紙が事情に詳しい関係者の話として報じた。
SECから召喚状を受け取った企業の関係者の話によると、問い合わせはイーサリアム財団に関するものだったという。最近召喚状を受け取った企業もあれば、イーサリアムが2022年9月に実施した大型アップグレード「マージ(The Merge)」でコンセンサスアルゴリズムをPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に切り替えた直後に召喚状を受け取った企業もあったようだ。
フォーチュンの報道によれば、SECは企業に対してイーサリアム財団とのやり取りに関連する文書や財務記録の提出を求めたという。
SECのこの動きは、イーサリアムの有価証券性を判断する一環であるとの見方が大きい。フォーチュンによれば、SECはこの調査を通じてイーサリアムを有価証券として分類しようとしているという。
イーサリアム現物ETFの実現遠ざかるか
イーサリアムが有価証券としてみなされた場合、現在申請されているイーサリアム現物ETFの早期承認は遠ざかる可能性もある。
SECはこれまでイーサリアム現物ETFの承認決定を延期している。20日にはヴァンエック(Vaneck)の承認決定を5月23日まで延期したばかりだ。
イーサリアム現物ETFを巡っては、当初5月中の承認が有力との楽観的な見方が強かった。アナリストの間で承認確率は一時70%以上にのぼっていたが、最近では30%前後にまで低下している。
SECのゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、以前PoSを採用する暗号資産(仮想通貨)について「すべて有価証券とみなされる可能性がある」と主張していた。その後、多くの暗号資産が有価証券に該当するとの判断が下されてきたが、イーサリアムについては明言されてこなかった。
今回の調査によりイーサリアムが有価証券と判断された場合、多くの取引所等においてサービスの見直しなどを迫られる可能性もある。同時に現在申請されているイーサリアム現物ETFについても見直しを行うことは必至ともいえることから、5月中の承認は厳しさを増すものとみられる。
参考:報道
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