SEC(米証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は12日、米CNBCの「Squawk Box」に出演し、「ビットコイン現物ETFの誕生は皮肉なことに、サトシ・ナカモト氏が提唱した分散型金融から中央集権化につながった」と語った。
ゲンスラー委員長はインタビューのなかで、「私たちは長年にわたってビットコイン現物ETFを承認してこなかった。しかし裁判所が下した判決を受けて私たちは前進した。国民の期待に応えることが私たちの使命だと考えている」と、11つのビットコイン現物ETFを承認した経緯について語った。
グレースケール(Grayscale)社が訴訟を起こした裁判で、裁判所はSECに対して再審を求める判決を下していた。この判決がビットコイン現物ETFの実現に大きな影響を与えたという。
しかし、ゲンスラー氏がビットコインに関しては否定的な考えを持っていることに変わりはないようだ。同氏は「私たちはビットコイン自体を承認していない。ビットコインは実に投機的で不安定な資産だ。マネーロンダリング、ランサムウェアを通じた詐欺などさまざまな犯罪行為に使われている」と指摘した。
また、今回のビットコイン現物ETFの誕生により「ビットコインは主要な証券会社を通じて購入できるようになり、中央集権化した」と断じた。続けて「証券会社を通じて購入できるという中央集権化と伝統的な金融手段となった。ETF化することはすべての点で多くの集中化がある」と述べている。
さらに、エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員が「ビットコイン現物ETFの承認は間違っている」と批判したことについて尋ねられ、ゲンスラー氏は「この問題の反対側にいた人たちにも深い敬意を抱いている」と述べ、同時に現行法に対しても敬意を持っていると付け加えた。
最後に、注目されているイーサリアム現物ETFの実現の可能性についても言及。「今週私たちが行ったことは、過去に金の現物ETFを承認したのと同じようなことで、ビットコインと呼ばれる非セキュリティ商品に限定される」と述べ、現時点でイーサリアム現物ETFの承認については否定的な姿勢を示した。
参考:米CNBC
画像:Shutterstock
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