米SEC(証券取引委員会)は、暗号資産(仮想通貨)運用大手のグレースケール(Grayscale)が提供するGBTC(ビットコイン投資信託)の現物ETF転換を巡る裁判の判決について、控訴しなかった。控訴期限は現地時間13日だった。
この裁判はGBTCの現物ETF転換をSECが却下したことを受け、グレースケールが昨年6月に提訴したものだ。
その後、裁判所は今年8月末に「SECによる申請却下は恣意的で気まぐれ」と指摘し、ほかの類似商品との違いについても説明が不足しているとして、グレースケールの申請を再審査するよう命じた。
なお、今回勝訴したことによりグレースケールが申請するETF転換が承認される可能性は高まったが、SECは再びこれを却下することが可能だ。しかし、却下した際には再びグレースケールが法的措置に動く可能性があるほか、相応の理由を準備する必要がある。そのため、SECも承認可否を慎重に判断するものとみられる。
今回の訴訟の結果を受け、グレースケール以外の企業が申請するビットコイン現物ETFの承認についても追い風が吹く。
現在、世界最大の資産運用企業であるブラックロック(BlackRock)を始め、ヴァンエック(VanEck)、インベスコ(Invesco)などがビットコイン現物ETFの承認に向け申請をしているSECはこれまで幾多にわたり現物ETFの承認を拒否し続けているため、投資家保護など複数の項目で不備があるとして却下する可能性もある。
しかし、グレースケールとの訴訟で判例ができたことから、従来通りの判断を下すかは不透明な状況だ。
ブラックロックなどが申請した現物ETFの判断期日はいずれも来年1月頃まで延長されており、SECがどのような判断を下すのか注目が集まる。
参考:ロイター
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