暗号資産(仮想通貨)分析企業マトリックスポート(Matrixport)は3日、最新のレポートを公開し、米SEC(証券取引委員会)が「すべてのビットコイン現物ETFを非承認する」との見解を示した。
このレポートを受け、ビットコイン(BTC)価格は急落。3日には一時40,500ドル(約588万円)ほどまで下落していた。ビットコインの下落による影響を受けアルトコインも大きく価格を落とすなど、年始の暗号資産相場は乱高下した。
なお、記事執筆時点でビットコインは44,000ドル(約640万円)まで上昇するなど、急落前の水準にまで価格を戻している。
マトリックスポートは2日、ビットコイン現物ETFが承認された場合、機関投資家による投資が進みビットコインは5万ドル(約726万円)へ上昇すると分析していた。
多くのアナリストなどの予想では、5日から10日にかけてビットコイン現物ETFが承認されるとの見方が広まっていた。実際に承認された際には、240億(約3兆4,800億円)~500億ドル(約7兆2,600億円)の資金が流入するとの分析もある。また、3月から4月にかけて予想されている半減期の前後では、新規発行量が減少することもあり、ビットコインの価格がさらに上昇するとも予想されていた。
マトリックスポートによると、現在申請しているビットコイン現物ETFのすべてがSECの基準を満たしていないという。その結果、1月の申請承認の可能性は低く、第2四半期(4月~6月)に承認されるであろうと述べた。
また、ビットコイン現物ETFの承認には政治的な問題も絡むと指摘。SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は昨年12月、「この業界にはより厳格なコンプライアンスが必要である」とコメントしている。こうした発言も踏まえ、政治的な観点からみればビットコインを価値の代替手段として正当化することになるビットコイン現物ETFを承認する理由はないと分析している。
非承認で約7,400億円相当のロングポジションが解消か
マトリックスポートによれば、昨年9月に投資家は暗号資産市場に140億ドル(約2兆400億円)の資金を投じた。こうした動きはFRB(米連邦準備制度理事会)がハト派に転じたことによる影響が関係しているとしつつ、140億ドルのうち100億ドル(約1兆4,500億円)はビットコイン現物ETFの承認を見据えたものであると指摘している。
一方で、SECがビットコイン現物ETFを非承認と判断した際には、ビットコイン先物に投入された51億ドル(約7,400億円)相当のロングポジションが解消される可能性が高いという。その結果、ビットコイン価格は20%ほど下落する可能性があると述べた。
しかし、たとえSECがビットコイン現物ETFを非承認したとしても、11月に行われる米国の大統領選挙とビットコインの半減期がプラスに働く可能性が高いため、価格は2024年末までに年初の4万2000ドル(約610万円)よりも高くなると予想している。
参考:レポート
画像:Shutterstock
関連記事
ビットコインは「パフォーマンスの高い資産の1つに」 カイコレポート
「ビットコイン現物ETFが成功するとビットコインは破壊される」 アーサー・ヘイズ氏指摘