米SEC(証券取引委員会)は17日、暗号資産(仮想通貨)取引所Bittrexと共同設立者のウィリアム・シハラ(William Shihara)氏を、未登録の証券取引所、ブローカー、清算機関運営を行ったとして提訴したと発表した。
また、SECはBittrexの海外関連会社であるBittrex Global GmbHについても、Bittrexとオーダブックを共有し運用することに関して米証券取引所として登録していないとして提訴した。
Bittrexは昨年10月に米国財務省の対外資産管理局(OFAC)と金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)からも制裁プログラムと銀行秘密違反法違反で提訴されている。
訴状によると、SECはBittrexで取引されていたOMG Netowork(OMG)、Dash(DASH)、アルゴランド(ALGO)、Monolith(TKN)、Naga(NGC)、Real Estate Protocol(IHT)といった暗号資産が有価証券にあたると主張した。SECは訴状でこれらの暗号資産が有価証券に分類される根拠を列挙している。
発表によると、Bittrexは2017年から2022年にかけて米国の投資家から取引手数料として13億ドル(約1,750億円)の収益をあげてきた。
また、Bittrexと同取引所において2014年から2019年までCEOを務めていたシハラ氏が暗号資産発行者に対して、規制当局の監視を避けるため、価格予測、利益の期待などの「問題あるステートメント」について削除することを指示していたと主張している。
SECのゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は「本日の措置は、規制の明確性の欠如ではなく、暗号資産市場が規制遵守に苦しんでいることを改めて明確にしたものだ」と述べた。さらに、「Bittrexはコンプライアンス違反の責任を負わなければならない」と続けている。
また、SECの執行部門ディレクター・グルビル・グレワル(Gurbir S. Grewal)氏は「Bittrexは投資家保護よりも利益を優先した」と主張。
「Bittrexに対して投資家を危険にさらした不正行為の責任を追うだけでなく、連邦証券法下の違反についても問う。これは連邦証券法に準拠していないほかの暗号資産仲介業者に対する警告でもある」と述べた。
これに対し、Bittrexは「5年以上にわたってSECは証券法違反について何も通知してこなかった」と反論。「これまで証券とみなされる暗号資産について何度も質問してきたが、SECからの回答はまったくなかった」とし、改めて今回の対応が不当なものであると主張した格好だ。
なおBittrexは1日、今月30日をもって米国事業を閉鎖すると発表している。閉鎖の理由として、不明瞭な規制環境をあげていた。
参考:SEC発表、Bittrex発表
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