香港のSFC(証券先物取引委員会)は23日、暗号資産(仮想通貨)取引所の規制要件に関する協議を完了し、その結果を発表した。
これに伴い、当初の予定通り6月1日からあらたな暗号資産規制が施行されることとなる。
あらたな暗号資産規制では、個人投資家保護の観点からライセンス制を導入する。3月末まで実施していた規制に関する意見募集でも、ライセンスを得た暗号資産取引所が個人投資家に対してサービスを提供することに賛成する声が圧倒的に多かった。
また、今回の規制ではガバナンス面や入会基準および開示に加え、トークンのデューデリジェンスなどを強化し、より堅牢な個人投資家保護措置を講じるとしている。
なかでも、トークンのデューデリジェンスでは最低でも2つのプロパイダーによって指数が組まれ、独立している暗号資産の取引を許可するとしている。さらに、時価総額の大きさも条件に盛り込まれるとし、流動性を確認する必要があるとした。
なお、ステーブルコインについては「個人投資家には不向きな暗号資産」と言及。2023年から2024年にかけて実施されると見込まれているステーブルコイン規制が整備されるまでは認めるべきではないとして、現時点では取引できないと決めた。
理由としてSFCは、ステーブルコインの価格が裏付け資産から乖離してしまうリスクや、償還時に投資家へ返金することができなくなってしまう可能性をあるためとしている。
暗号資産取引所等の事業者に対しては、コールドウォレットなどを活用した資産管理や、顧客資産の分別管理等を義務付ける。
こうしたルールをまとめた暗号資産取引所事業者向けガイドラインやマネーロンダリング及びテロ資金供与対策ガイドラインは25日に公布されるという。
香港は昨年より暗号資産のハブを目指すと公言し、注力する姿勢をみせてきた。すでに複数のレポートでは、香港が世界で最も暗号資産に関する環境整備が進み、普及に適した国・地域であるとする結果が出ている。
参考:発表、協議結果
画像:Shutterstock