米オンライン融資サービスを提供する大手SoFiは、今月19日までに暗号資産(仮想通貨)取引サービスを終了すると発表した。既存のアカウントはモバイルウォレットBlockchain.comに移行する。
既存のSoFiのユーザーには移行の詳細が記載されたメールが届く。Blockchain.comへの移行を希望するユーザーは事前にオプトインする必要があり、期限は今月19日までとなっている。移行を希望しないユーザーは保有する暗号資産を清算する必要があるとしている。
SoFiはBlockchain.comに移行することで、より多くのトークンの利用や高度な取引機能サービス、暗号資産の自己保管機能といったセキュリティ対策など、利用できるサービスが拡張されると説明している。
SoFiが取引サービスから撤退する背景には、FRB(米連邦準備理事会)による銀行領域への監視が強化されていることがある。FRBは8月、暗号資産を始めとするデジタル資産とブロックチェーンに関する企業の活動を監視する目的で、あたらしい活動監視プログラムを開始している。
Blockchain.comの共同創設者兼CEOのピーター・スミス(Peter Smith)氏は「このパートナーシップは、Blockchain.comの成長過程において極めて重要な瞬間となる」と述べた。SoFiの最新の収益報告書によれば、同社はユーザーから1億3,900万ドル相当の暗号資産を預かっているという。
規制当局からの監視が背景
2022年、SoFiは暗号資産関連事業における必要な承認を得るか、解散することを条件とする銀行認可を受けた。FRBは当時、暗号資産取引所SoFi Degital Assetが「銀行持ち株会社としてFRBが許容できないと判断した特定の暗号資産関連活動に従事していた」と指摘している。
SEC(米証券取引委員会)への提出書類によると、SoFiには許容されていない活動を拡大しない限り、1年間の延長を3回行うオプションがあったという。当時SoFiは暗号資産に関する事業を短期間で縮小し、市場の低迷中にユーザーの保有株を強制的に清算する可能性があると警告していた。
SoFiは2019年に暗号資産取引サービスを開始。しかし収益化は難航し、第3四半期に記録した暗号資産取引サービスにおける仲介関連手数料は600万ドル(約8億8,250万円)に留まった。こうした状況とFRBから厳しい監視の目を受けることを比較し、暗号資産事業から撤退することを決めたものとみられる。
なお、SoFiは暗号資産事業から撤退はするが、提供しているほかの投資サービスには影響がないとしている。また、証券口座や個人退職金制度(IRA)なども通常通り運用されている。
参考:発表、SEC資料
画像:Shutterstock
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