ソニー銀行は8日、日本円に連動したステーブルコインの発行に向け、実証実験を始めたことを発表した。個人が決済・送金する際の手数料負担を抑えられる利点を生かし、ソニーグループが開発・運営するゲームやスポーツなどの知的財産を使ったビジネスでの決済手段として活用することを検討する。
実証実験ではポリゴン(MATIC)のブロックチェーンを使用する。手数料が安く、実績を考慮しポリゴンを選択したようだ。また、開発についてはベルギーに拠点を置くブロックチェーン開発会社セトルミント(SettleMint)に委託するという。
実証実験は数ヵ月を予定しており、日本円を裏付けとしたステーブルコインの送金や法的な面で問題がないかを確かめていく。
ステーブルコインを使うことで、ゲームなどソニーのコンテンツ利用者がデジタル資産を取引しやすくなるというメリットがある。
ソニー銀行は、デジタル資産を管理するWeb3.0エンターテインメント領域向けスマートフォンアプリ「ソニーバンク・コネクト(Sony Bank CONNECT)」を今夏にもリリースする予定だ。ソニーバンク・コネクトは、「誰もが簡単に安心して楽しめる。広がる感動体験へつながる」をテーマにし、クリエイター・ファン経済圏拡大への貢献を目的とする。
SNFT社が運営するサービス「SNFT」と接続することで、SNFTで保有するNFTを表示し、楽しめる機能を提供する。
2024年夏のリリースの際には、ソニー銀行が過去にキャンペーンで配布したNFTや、ソニー銀行のデジタル証券「合同運用指定金銭信託受益権(米ドル建てグリーンファイナンスセキュリティトークン2024年第1号)」を購入、アンケートに回答したユーザーへプレゼントされるデジタルコンテンツも楽しむことができる。
現在ソニーでは、ブロックチェーンを基盤としたウォレットのリリースに向けた要件定義や設計を進めており、ソニーバンク・コネクトはその第1段として位置付けられている。
国内のステーブルコインを巡る現状
日本のステーブルコインを巡っては、北國銀行が1日、同行が発行する預金型ステーブルコイン「トチカ」の提供を開始した。トチカはブロックチェーンを利用し預金資金を裏付け資産とする預金型ステーブルコインとして日本初の発行事例となった。
また、すでにプリペイド式支払手段として発行されている日本円連動型ステーブルコインのJPYCも、プログマ(Progmat)が運営する「プログマコイン(Progmat Coin)」を活用した「信託型JPYC」の発行を検討しているほか、国内暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスジャパン(Binance Japan)も準備を進めている。
信託型ステーブルコインは早ければ今年夏にも登場する見込みで、リリースを皮切りに競争が激化する可能性がある。
参考:発表
画像:Shutterstock
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