合成ドルステーブルコイン・USDXがディペッグ 0.5ドル台まで下落

2025/11/07 14:00 (2025/11/07 14:19 更新)
Shogo Kurobe
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合成ドルステーブルコイン・USDXがディペッグ 0.5ドル台まで下落

連鎖的な悪影響続く

6日、合成ドルステーブルコイン・USDXの価格が大幅に下落した。記事執筆時点では0.59ドル(約90円)で推移しており、依然としてディペッグ解消に向けた動向は不透明なままだ。

USDXは米ドルなどを担保として発行される法定通貨型ステーブルコインとは異なり、アルゴリズム型ステーブルコインとして発行されている。具体的には、ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)の現物を担保資産とし、同時にオプション取引におけるポジションを組み合わせることで価格の安定性を図り、米ドルと連動する価格を実現している。

最大6億8,000万ドルを有し、主にDeFi(分散型金融)領域で取引されていたUSDXは、3日に発生した大手DEX(分散型取引所)のBalancer(バランサー)における不正流出や、創設者フレックス・ヤン(Flex Yang)氏に関連するウォレットの不審な動きなどの影響を強く受けた格好だ。

あわせて、同じくDeFiプラットフォームのStream Financeが巨額の運用損失を出したことにより、同社が発行するxUSDが大幅なディペッグを起こしたことでDeFiに対する信用不安が広がったこともUSDXの価格に影響を与えた。

Lista DAOやPancakeSwapといったDeFi関係プラットフォームは「状況を注視している」といった趣旨の声明を出しており、USDXの発行体であるStable Labsに改善を求めている。なお、Stable Labsは今回のディペッグに関して、現時点で対応策等の発表は行なっていない。

思い起こされる「テラルナ騒動」

過去にもステーブルコインのディペッグが起きた例はあるが、なかでも今回と類似する事例としては「テラルナ騒動」があげられる。

この騒動はテラ(Terra)上で発行された暗号資産ルナ(LUNA)と、関連プロジェクトとして発行されていたアルゴリズム型ステーブルコイン・テラUSD(UST)の価格が価格維持メカニズムの崩壊に伴い暴落したことで、暗号資産市場に混乱をもたらしたものだ。この事件をきっかけとして、世界各国でステーブルコイン規制の整備が加速度的に進められた。

今回発生したUSDX等のディペッグに関しても、事態が収集に向かわない場合には関係するDeFiサービスにおいて何らかの対応が行われる可能性があるほか、暗号資産市場全体に悪影響を及ぼすことも考えられる。また、ほかのステーブルコイン等にも影響が及ぶ可能性があるため、今後の動向を注視する必要がある。

画像:Shutterstock

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