タイSEC(証券取引委員会)が、暗号資産(仮想通貨)を含むデジタル資産関連ビジネスと、現実資産に紐付いたRWA(Real World Assets)トークンの取引に関する新規則を発表した。
不動産とインフラという2つの資産に裏付けられたトークンなど、RWAトークンに対する投資家の制限を解除するという。
タイの個人投資家は不動産担保トークンや不動産収入に関連したトークンのICOに参加可能となった。これまで、30万バーツ(約125万円)まで取引可能という制限があった。また、インフラ関連のICO参加に関する制限も撤廃された。
タイSECは昨年7月にデジタル資産サービス事業者向けの規則を発表。投資家保護を目的とし、暗号資産取引のリスク警告の開示義務や、デジタル資産サービス事業者によるレンディングとステーキングサービスの禁止等を打ち出していた。
今回発表した措置の目的は、投資家保護と「国家開発」に向けた資金調達のバランスを取ることであるという。
また、タイSECは追加の事業分野の運営を希望するデジタル資産企業向けの規則についても発表した。タイSECが新規事業を評価するために使用する基準には、新規収益について以下の条件を満たしているかが問われるという・
- 中核となるデジタル資産ビジネスに利益をもたらすこと。
- デジタル資産ビジネスと利益相反を引き起こさないこと。
- 顧客の資産にリスクをもたらさないこと。またはリスクを適切にコントロールする仕組みを持っていること。
タイSECは、企業グループの一部であるデジタル資産保管ビジネスに対するあたらしい規則を導入した。目的はカストディ会社がデジタル資産ビジネスの共通株主を持っている場合に利益相反を防ぐことだ。
デジタル資産会社は、所有者が未登録ビジネスの運営などでデジタル資産違反で制裁を受けている、または告発されているほかの会社を介してサービスを提供することができない。
デジタル技術に前向きなタイ新政府
昨年9月に発足したタイの新政府は、国民に対し5,000億バーツ(約2兆円)相当のデジタル通貨を配布する公約を掲げ選挙を戦った。
現時点で実現に至っておらず、さらにタイ国務院によれば、デジタル通貨を配布するためには国債を発行する必要があるが、これが財政法に違反する可能性があるという。
タイ政府はまだこのプロジェクトを進めてはいるが、公約に掲げていた5月には実現するかどうかは見通しがみえていない。
参考:発表
画像:Shutterstock
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