今年11月に行われる米大統領選挙の共和党候補であるドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が9日、「暗号資産(仮想通貨)に対する敵意を止め、受け入れるべきだ」と語った。
これはトランプ氏のNFTコレクション「Collect Trump Cards」の保有者を対象に開催された集会で発言したものだ。同氏は大統領在任中より暗号資産に対して否定的な姿勢をみせてきたが、近頃は態度を軟化させている。
トランプ氏は集会で、「規制当局の敵意が暗号資産企業を米国から追い出している」と述べ、SEC(米証券取引委員会)などの対応を批判。その上で「暗号資産は敵意により、米国から流出しつつある。私はそれを止めたい。(暗号資産関連企業が)事業を行えるように受け入れる必要がある」と強調した。
また、トランプ氏はジョー・バイデン(Joe Biden)大統領を名指しし、「バイデンは暗号資産に反対している。暗号資産を何なのか理解できず、暗号資産業界に敵対しているのだ」と非難した。
さらに、SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長についても触れ、「彼も暗号資産に大反対しており、民主党はその動きに大賛成だ。私はこう主張するが、多くの人も同じことを考え支持するだろう」と述べた。
トランプ氏はこのように言及した上で、「暗号資産を支持するのであれば、トランプに投票するべきだろう」と語った。加えて、トランプ氏は選挙運動への寄付をビットコイン(BTC)などの暗号資産で受け入れることも可能であるとした。一連の発言は大統領選を見据え、暗号資産支持派を取り込む狙いも透ける。
暗号資産への態度を軟化
大統領在任中、トランプ氏は暗号資産業界について「違法行為を助長する可能性がある」と批判していた。「私はビットコインやそのほかの暗号資産のファンではない。これらはお金ではなく、その価値は非常に不安定で、詐欺や犯罪行為に使われている」とも言及している。
その一方で、トランプ氏は自身のNFTコレクション「Collect Trump Cards」をリリースするなど、大統領退任後は暗号資産に対して融和姿勢をみせつつある。
なお、トランプ氏はCBDC(中央銀行デジタル通貨)については断固拒否の姿勢を貫いている。「CBDCが発行されることで国民の資産が連邦政府などに盗まれるおそれがある」などと私見を述べ、再選した場合には関連する取り組みを阻止することも辞さない考えを示している。
参考:トランプ氏発言
画像:Shutterstock
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