ドナルド・トランプ前大統領は17日、今年11月の大統領選挙に向け共和党候補指名を争うニューハンプシャー州で行われた選挙イベントで、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入は決して許さない」と言及した。
Real Clear Politicsの世論調査によると、現在トランプ氏はバイデン大統領を1.6ポイントリードしており、大統領への返り咲きを予想する見方が強まっている。
トランプ氏はCBDCに関して「そのような通貨(CBDC)は連邦政府、つまり連邦政府に資金を預けることになり、彼らによって盗まれるかもしれない。そして、預けたあなた方はそれがなくなったことにさえ気づかないだろう」と述べた。
また、トランプ氏はCBDCの発行を阻止することで、米国民を「圧制」から守ると強調。「これは自由に対する危険な脅威であり、私はそれ(CBDC)が米国に来ることを阻止する」と誓った。
米国においてCBDC非難相次ぐ
トランプ氏によるCBDCへの反対声明は、ほかの共和党候補者と足並みを揃えた格好となった。昨年、フロリダ州知事で共和党の有力大統領候補者であるロン・デサンティス(Ron DeSantis)氏は、「(大統領に)当選したらCBDCを廃止するつもりだ」と有権者に語っていた。
同じく共和党の大統領候補者を目指すヴィヴェク・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy)氏も同様の公約を掲げている。なお、ラマスワミ氏は15日、党員選挙の結果を受け選挙戦から撤退した。ラマスワミ氏は暗号資産に対して前向きな姿勢を示しており、暗号資産規制の整備や業界の独立性及び自律性を確保すると公言していた。
共和党議員らはこれまで、CBDCの導入はおろか、導入に同意していないのにも関わらずバイデン政権が調査・研究を進めていると非難してきた。その後、バイデン政権はCBDCを「最も緊急性が高い」とし、導入支持を示唆している。これはCBDC分野で先行する中国を意識したものであるとの見方も強い。
昨年、フロリダ州マイアミで開催されたカンファレンス「ビットコイン2023」で、民主党の元下院議員であったトゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard)氏は、CBDCを「金融統制の手段」として非難した。同氏は「私たちの財布を他人に管理させるということは、彼らは私たちの自由を管理することになるのだ」と述べている。
また、テキサス州上院議員のテッド・クルーズ(Ted Cruz)氏も昨年3月、金融監視を防止するためにCBDCの進歩を停止する法案を発表した。クルーズ氏は「連邦政府には中央銀行を一方的に創設する権限はない」と非難した。
トランプ氏のNFT施策にも転換点
トランプ氏は昨年、自身のNFTを発売し、成功した。その後、昨年12月に発売されたトランプ氏のNFTトレーディングカード第3弾「マグショット・エディション(Mugshot Edition)」を発売開始。発行数は10万体だが、売り上げ状況は芳しくない。これを受け、19日には購入者に対してあらたな特典を付与すると発表した。
参考:世論調査、CollectTrumpCards発表
画像:Shutterstock
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