米デジタル資産運用会社のヴァルキリー(Valkyrie)は先月30日、SEC(米証券取引委員会)に提出したビットコイン現物ETF「ヴァルキリー・ビットコイン・ファンド」の申請書を修正した。更新された申請書は、ビットコイン現物ETFの承認に向けたあらたな一歩となる。
このETFがSECの認可を受けることができれば、ナスダックに上場し、ティッカーシンボル「BRRR」で取引されることになる。申請書はまだ最終的なものではなく、今後も変更される可能性がある。
ヴァルキリーがビットコイン現物ETF申請書を修正するに至った経緯としては、9月下旬にSECがヴァルキリー・ビットコイン・ファンドの承認の審査を延期したことがある。
ブラックロック(BlackRock)、ビットワイズ(Bitwise)、フィデリティ(Fidelity)、グレイスケール(Grayscale)、ヴァンエック(VanEck)、アークインベスト(ArkInvest)などの大手企業もSECの審査延期を受け、ビットコイン現物ETFの申請書を修正していたが、ヴァルキリーも同じように修正を行った格好だ。
多くの企業がビットコイン現物ETFの申請書の修正を行っているなかで、未だ着手していない大手企業もある。インベスコ(Invesco)、グローバルX(GlobalX)、ハッシュデックス(Hashdex)、フランクリン(Franklin)などは修正を行っていない。
ブルームバーグの暗号資産ETF・シニア・アナリストであるジェームズ・セイファート(James Seyffart)氏などによれば、こうした継続的な修正を行っていることは、ビットコイン現物ETFがSECに承認される進展的なシグナルであるという。
今回の修正は、SECが歴史的な決定を下すことに近づく水面下での交渉が進行していることを示すものでもある。
SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長が10月下旬に発したコメントによると、SECの専門チームが現在、8件から10件のビットコイン現物ETF申請を審査中であるという。
また、SECは米控訴裁判所からの判決再検討の命令を受け、グレースケール(Grayscale)によるビットコイン現物ETFへの転換申請について話し合う非公開会議を計画中でもある。今月2日に開かれるこの会議は、同投資商品の承認に向け極めて重要なものとなることから、注目が集まる。
SECによるビットコイン現物ETFの審査期限は軒並み来年1月から3月に迫っている。同時に、市場や米議員、裁判所から、ビットコイン現物ETFを最終的に承認するよう圧力がかかっている状況だ。
ビットコイン現物ETFの承認は暗号資産市場の成熟を象徴するものであり、暗号資産業界の進展につながると市場関係者はみている。
参考:申請書
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