せきぐちあいみが見据える「メタバース」
J-CAMブースのセッションでトップバッターを飾ったのは、グローバルで活躍するVRアーティスト・せきぐちあいみ氏だ。せきぐち氏にはメタバースの未来像について語ってもらった。
まずガジェットの面でせきぐち氏は、Metaが開発するOculusからAppleのApple Vision Proへと軸足が移行しつつあるなかで、それぞれの特性や、実現できることとできないことについて言及。Apple Vision Proが空間コンピューティングに焦点を当てていることから、既存のガジェットとの比較などについても語った。また、セッションでは実際にApple Vision Proを活用して絵を描いてもらう場面もあった。
メタバースの今後については、率直に「みえない部分がある」としながらも、今後登場するガジェットへの期待を覗かせた。また、そうした次世代ガジェットを活用した自身の今後の活動についても含みを持たせていたことが印象的だ。
Ioliteをコンセプトにした生パフォーマンス
引き続き、せきぐち氏はブースにてIoliteをコンセプトにした公開制作を実演。圧巻のパフォーマンスを、多くの来場者が息を呑んで見守っていた。
この公開制作で描かれたものは、せきぐち氏の2日目のパフォーマンスにもつながっていくため、詳細は後述する。
ブロックチェーンゲームの発展に求められる“真髄”
『ブロックチェーンゲームの発展に必要な要素と求められるトークノミクスとは?』と題したセッションでは、人狼ゲームをブロックチェーンゲーム化した「WLF PROJECT」のKAZU氏、バーチャルワールド「Yay!」を手がけるナナメウエ・石濵崇博氏、Web3.0ゲーム「キャプテン翼 -RIVALS-」を手がけるBLOCKSMITH&Co.・真田哲弥氏が登壇。
特に現在の状況を踏まえた「ブロックチェーンゲームの普及に必要な要素はとは何か?」という部分で議論が白熱した。
真田氏は現在のブロックチェーンゲームについて2極化しているとし、「かなりリッチなものにする」か、「パズルゲームなどの手軽なものにして広告を盛り込む」かの2つのモデルでないと事業者が利益をあげるのは厳しいという認識を示した。
その上で、ブロックチェーンゲームを手がけるためにWeb2.0にはないWeb3.0ならではの要素が必要だとし、現時点ではハイクオリティなゲームではなくてもいいのではないかとの見解を述べた。
これに石濵氏も概ね同じ考えを示した上で、「Web3.0っぽさ」を出す上で重要となるのは“換金性”であると語る。従来のゲームにはない“お金を得る”という要素があることでユーザーにあらたな体験を届けることができ、さらにはそれがブロックチェーンゲームの真髄ではないかという考えを示した。
一方、KAZU氏は自身のこれまでの経験から、クオリティの高さが必要だと言及。WLF PROJECTにおいても、「ゲームのプレイ中にユーザーが浮かべる表情まで意識したコンテンツにしたい」という想いがあると述べた。また、今後WLF PROJECTに関してもアプリ上でそうした表情が映し出されるような作り込みをしていくという。
ステーブルコインの現在地とトップランナーたちの今後の取り組み
続く『ステーブルコインの現状と今後 日本での普及には何が必要になる?』と称したセッションには、日本円ステーブルコイン「JPYC」を手がける・JPYCの岡部典孝氏、デジタルアセットプラットフォーム「Progmat(プログマ)」のProgmat・齊藤達哉氏が登場した。両社は、昨年「信託型JPYC」の発行に向け協業を発表している。
まず、期待されている国内でのステーブルコイン流通時期について、齊藤氏と岡部氏はともに今秋〜今年中との見通しを示した。
当初の見込みよりも流通時期が遅れている背景についてはさまざまな要因を解説。またステーブルコインに限らず、Web3.0領域は新興分野であることもあり、提携する企業同士がお互いの調査を行う点でも時間がかかるほか、規制当局側の確認にも時間を要していることが進展に影響していると言及していた。
そのほか、ステーブルコインの普及に必要な要素についても国内のステーブルコイン領域を牽引する2人ならではの見解が示され、ブースにも大変多くの来場者が集まるなど盛況となった。
また今後の展開について、齊藤氏は近日中に控えている発表について言及。こちらの詳細は、ぜひProgmat公式の続報を待っていただきたい。
岡部氏もJPYCのIPOに向けた意気込みを語ったほか、現在米サークル社と進めている取り組みの進捗や、Progmatと信託型JPYCの発行に向け、引き続き協力していく姿勢を強調した。
ブロックチェーンゲームの現状とセキュリティ
Web3.0セキュリティツール「KEKKAI」を手がけるKEKKAIのDanny氏と、「Astarで日本にワクワクを!」を掲げるAstarGamesの小澤健太氏が登壇した『ブロックチェーンゲームは「安全」なのか? セキュリティ面からみるあらたなエンタメの世界』では、ブロックチェーンゲームの現状とセキュリティ面に関して議論が行われた。
ブロックチェーンゲームの現状について小澤氏は「トークンがなくてもプレイできるようなゲームが出てきた」と話す一方、それに伴い一般のユーザーが参入することでUI/UXに関する課題が出てきたと述べる。今後の課題として、Web2.0ゲームに慣れたユーザーに対応した設計をしていくことをあげた。
Danny氏は、ブロックチェーンゲームにおいてもフィッシングやアドレスポイズニングといった詐欺がみられると言及。また、いずれの詐欺もユーザー自身の不注意で被害に遭うケースが多いとし、注意喚起を行った。
このセッションでは、今後2社間で連携を図っていくことが示唆された。近日、大きな発表を行うことを明らかにしたことから、各社の発表を注視していただきたい。
現場だからこその本音が語られる「暗号通貨トーーク!」Iolite出張版
1日目最後のセッションとなった『「暗号通貨トーーク!」出張版 暗号資産市場の注目トピックを最前線で解説』には、SBIVCトレードの仮想NISHI氏と、Ava Labsの平田路依氏が登壇。Xのスペースにて配信されている「暗号通貨トーーク!」のリアル現場出張版として、ここでしか聞けない国内外のWeb3.0領域に関する本音トークが展開された。
また、両者が注目する企業、プロジェクトについても語られ、特に注目領域としては決済があげられていた。来場者からの質疑応答も行うなど最後までセッションは盛況であった。