OpenAIのCEOであるサム・アルトマン(Samuel Altman)氏が開発に携わる個人認証プロジェクト・ワールドコイン(World Coin:WLD)を開発するワールドコイン財団は17日、新規ユーザー登録の効率を向上させる目的で独自のレイヤー2ブロックチェーン「ワールドチェーン(World Chain)」を今夏に導入することを発表した。
ワールドコイン財団はワールドチェーンについて、「人間のために設計されたあたらしいブロックチェーンである」と説明したが、詳細については明らかにしていない。その一方で、「ワールドチェーンはコミュニティ・ガバナンスを備えたオープンでパーミッションレスなネットワークになる」と述べている。
このことから、「オーブ(Orb)」と呼ばれる機器で目の虹彩を読み取り生成する「ワールドID(World ID)」を必要することなく、誰もがトランザクションを生成することが可能となる。
なお、ワールドチェーンではワールドIDを有するユーザーのトランザクションを優先し、ゼロ知識証明技術を通じて認証済みユーザーのトランザクションを匿名化するという。
また、ワールドIDを持つユーザーはガス代(取引手数料)の無料請求も可能だと説明している。最終的に、ボットやパワーユーザーからの手数料でカジュアルユーザーのガス代を賄う予定であるという。当面の間はワールドコイン財団が負担する模様だ。
OPメインネットの主要アプリケーションに
ワールドコインは、オプティズム(OP)におけるOPメインネット上の全ネットワーク・アクティビティの約44%を占めていることを強調した。この割合は最大で80%を占めると述べており、OPメインネットにおける最大のアプリケーションになっているという。
ワールドコインはこうした成長を踏まえ、現在サービスを提供している1,000万人のユーザーの100倍にあたる10億人をサポートするには「専用ネットワークへの移行」が必要であると述べた。
ワールドコインを巡る各国の動き
ワールドコインはプロジェクトを通じてベーシックインカムの実現を掲げるほか、AIの発展の過程で、本人であることを証明することが不可欠であると主張する。
昨年には、AIの成長により、AIやボットと人間のユーザーを区別することがいかに困難になっているかを説明している。しかし、その際に「この問題はユーザー自身の本人証明によって解決できる」と述べていた。
ユーザーが増加傾向にあるワールドコインだが、現在規制やプライバシー保護への懸念から各国で活動を停止するよう警告受ける機会も増えている。具体的には、スペインやポルトガルなどで活動を停止するよう命令が下されているほか、韓国、香港、ケニアなど複数の国・地域においても調査が行われている。
こうした状況を受け、ワールドコイン財団はプロジェクトが合法であると主張し、一部をオープンソース化するなど透明性の確保に取り組んでいる。
参考:発表
画像:Shutterstock
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