改正金融商品取引法—3つの要点
1 | 暗号資産は「決済手段」から「金融商品」へ
改正金商法により暗号資産は金商法の対象となり、情報開示・監査・インサイダー規制など証券並みの厳格なルールが適用。市場の信頼性は向上する一方、コンプライアンス負担は大幅に増加する。
2 | スタートアップ救済の「特例」と資産保護の「鉄則」が併存
特例業者制度により資本規制や準備金の負担は軽減されるが、顧客資産の分別管理・コールドウォレット管理・履行保証などは義務化。特に「資産を預かるか否か」が事業設計の重要な分岐点となる。
3 | 市場の公正性強化と新ビジネス機会の同時発生
インサイダー規制やステマ禁止、無登録営業の厳罰化で不公正行為は厳しく排除。一方で「仲介業」解禁によりあらたな流通モデルが可能に。ただし外部委託の設計次第では違法リスクが高く、適法な販売網構築がカギとなる。

2026年4月10日、政府は「金融商品取引法(金商法)及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定した。日本の暗号資産業界にとって重要な転換点となる出来事である。
振り返れば2025年末、金融審議会のワーキンググループ(WG)が報告書案を提示した際、業界には期待と不安が入り混じっていた。
暗号資産が「決済手段」という枠を超え、証券市場と同等の「金商法」の規律下へ移管されるという方針は、信頼性の向上という「光」をもたらす一方で、膨大なコンプライアンスコストという「影」を予感させたためである。
日本の暗号資産制度は“金融インフラモデル”へ本格転換すると予測されてきたが、閣議決定された法案を読み解くと、その予測はより具体的かつ戦略的な形で結実していることがわかる。
今回の改正案の核心は、単なる一律の規制強化ではない。実態にあわせて「特定暗号資産」や「特例業務」といったあらたな定義を設け、スタートアップの可能性の芽を摘まないための「特例(セーフハーバー)」を設ける一方で、顧客資産の保護という点においては一歩も引かない「鉄則」を敷いた点にある。
日本の暗号資産市場は、いよいよ「実装」のフェーズへと移行する。本稿では、最新の改正案に基づき、事業者、そして投資家が直面することになる「あらたな境界線」を、暗号資産に関連する箇所を中心に詳報する。