【詳報】改正金商法が閣議決定—— 暗号資産関連事業者を救う「特例」と、守るべき「鉄則」の境界線

2026/04/15 12:24 (2026/04/15 12:36 更新)
Iolite 編集部
文:Noriaki Yagi
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【詳報】改正金商法が閣議決定—— 暗号資産関連事業者を救う「特例」と、守るべき「鉄則」の境界線

金商法移管がもたらす「光と影」

改正金融商品取引法—3つの要点

1 | 暗号資産は「決済手段」から「金融商品」へ

改正金商法により暗号資産は金商法の対象となり、情報開示・監査・インサイダー規制など証券並みの厳格なルールが適用。市場の信頼性は向上する一方、コンプライアンス負担は大幅に増加する。

2 | スタートアップ救済の「特例」と資産保護の「鉄則」が併存

特例業者制度により資本規制や準備金の負担は軽減されるが、顧客資産の分別管理・コールドウォレット管理・履行保証などは義務化。特に「資産を預かるか否か」が事業設計の重要な分岐点となる。

3 | 市場の公正性強化と新ビジネス機会の同時発生

インサイダー規制やステマ禁止、無登録営業の厳罰化で不公正行為は厳しく排除。一方で「仲介業」解禁によりあらたな流通モデルが可能に。ただし外部委託の設計次第では違法リスクが高く、適法な販売網構築がカギとなる。


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2026年4月10日、政府は「金融商品取引法(金商法)及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定した。日本の暗号資産業界にとって重要な転換点となる出来事である。

振り返れば2025年末、金融審議会のワーキンググループ(WG)が報告書案を提示した際、業界には期待と不安が入り混じっていた。

暗号資産が「決済手段」という枠を超え、証券市場と同等の「金商法」の規律下へ移管されるという方針は、信頼性の向上という「光」をもたらす一方で、膨大なコンプライアンスコストという「影」を予感させたためである。

日本の暗号資産制度は“金融インフラモデル”へ本格転換すると予測されてきたが、閣議決定された法案を読み解くと、その予測はより具体的かつ戦略的な形で結実していることがわかる。 

今回の改正案の核心は、単なる一律の規制強化ではない。実態にあわせて「特定暗号資産」や「特例業務」といったあらたな定義を設け、スタートアップの可能性の芽を摘まないための「特例(セーフハーバー)」を設ける一方で、顧客資産の保護という点においては一歩も引かない「鉄則」を敷いた点にある。

日本の暗号資産市場は、いよいよ「実装」のフェーズへと移行する。本稿では、最新の改正案に基づき、事業者、そして投資家が直面することになる「あらたな境界線」を、暗号資産に関連する箇所を中心に詳報する。

資金決済法から金商法へ――「金融商品」としての再定義と開示ルール

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今回の法改正における最大の変更点は、暗号資産の法的地位が資金決済法から「金融商品取引法(金商法)」へと移管される方針である。これまで「支払い手段の一種」として扱われてきた暗号資産は、有価証券とは別の金融商品と位置付けられることになった。 

この移管は、単に管轄する法律の名称が変わるという形式的な話ではない。取引の「透明性」と「公平性」に対し、証券市場と同等の重い責任が課されることを意味する。

「特定暗号資産」の定義と発行者の義務

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改正案では、特定の者のみが発行する権限を持つ暗号資産を「特定暗号資産」と定義した。いわゆる「IEO(Initial Exchange Offering)」などで発行されるトークンがこれに該当する。 

「特定暗号資産」の発行者は、今後、そのトークンの募集や売出しに際して「特定暗号資産情報」の公表が義務付けられる。これは株式における有価証券報告書に類するものであり、発行後の「定期情報」や、重要な出来事があった際の「臨時情報」の継続的な開示もセットで求められることになる。

「監査証明」というハードル

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投資家保護のための具体的な数値も盛り込まれた。

原則として、特定暗号資産の発行者が募集・売出しを行う際には、公認会計士や監査法人による「監査証明」を受けることが義務付けられる。しかし、投資家が払い込む額が「少額」である場合(詳細は今後内閣府令で定められるが、現時点では株式投資型クラウドファンディングと同様の枠組みが想定される)は、この監査証明が免除される規定も設けられている。「少額」の具体基準は政令・内閣府令事項であり、現時点では未指定である。

一方、監査法人の厳しいチェックを受けていないトークンについては、投資家1人あたりの投資上限額(原則50万円等)が設定される予定である。これは、資金調達の自由度と投資家保護のバランスを取るための、現実的な線引きといえる。

情報不足への厳しいエンフォースメント

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虚偽の情報を公表した場合には、民事責任の規定が整備されるとともに、厳しい課徴金の対象となる。暗号資産が金商法の対象となったことで、もはやホワイトペーパーに記載した内容の齟齬が許される状況ではなくなった。

投資対象としての地位を確立するということは、その裏にある情報の正確性に対して、法的・金銭的な重いペナルティを負うことを意味する。

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