「日本におけるNFTビジネス新潮流:新たな可能性を探る」と題されたセッションでは、テレビ朝日の増澤晃氏、SBINFTの高長徳氏、デジライズの茶圓将裕氏、集英社の金丸尚史氏、JR九州の牛島卓二氏が登壇。
このセッションでは「コンテンツを持っている企業のユースケースは増えつつある」と高氏が述べた一方、金丸氏は「ユーザー目線を持ったプロデューサーが不在という課題がある」と指摘。
また、ファン及びユーザーがどう楽しむかを考えたプロジェクトの裏側に、トークノミクスがあるかを考え始められる段階に現在あるとの認識を示した。その上で、IPホルダーや原作者にお金が回る設計と透明性が重要だというのがセッションの主題となった。
▶︎左から茶圓氏、高氏、金丸氏、増澤氏、牛島氏Web3.0ビジネスに関しては、SHAKE entertainmentの原島和音氏、N.Avenue/CoinDesk JAPANの神本侑季氏、平将明衆議院議員、Startale Labs Japanの海老島幹人氏、double jump.tokyoの満足亮氏が登壇した「世界と勝負する、日本発チェーンの『勝ち筋』」でも語られた。
このセッションでは、平氏が「AIとWeb3.0は相互に現在地を確認しながら相互に作用していく」と述べ、その上で時代を上回るメリットの提供が必要になるとの認識を示したことが特に印象的だ。さらに、大企業との連携が進行することを望むとした。
▶︎左から神本氏、原島氏、平氏、満足氏、海老島氏いずれのセッションでも、Web3.0技術が現在進行系で使われていることが示され、その上で社会実装化するために解決すべき課題へどのように向き合うか語られた形だ。
迫る「2025年大阪・関西万博」に向けた現在の状況
いよいよ来年に迫った「2025年大阪・関西万博」。そこで使用することが予定されている「EXPO2025デジタルウォレット」の話題を中心に、三井住友フィナンシャル・グループの磯和啓雄氏、神田潤一氏、2025年日本国際博覧会協会の河本健一氏、HashPortの吉田世博氏が「2,820万人が訪れる2025年大阪・関西万博で日本のWeb3とFintechはどのように変わるか」に登壇した。
▶︎左から吉田氏、河本氏、磯和氏、神田氏このセッションのなかで、河本氏は地方との連携でNFTが重要視されると言及。また磯和氏はEXPO2025デジタルウォレットを通じて顔認証だけで物品の購入ができる仕組みを導入することで「決済への没入感」を与えることができると述べた。その上で、すでにウォレットが当初の想像よりも利用されていると語った。
神田氏もNFTを活用することで、さまざまな地域との連携が可能になるとの認識を示し、「Web3.0は地方創生との相性が良い」とコメント。河本氏は地方や事業者との連携を通じて「万博を契機にWeb3.0が進めば」と期待感を示し、磯和氏もウォレットが人々にとって身近なものになってほしい」と願いを込めた。
セッションのモデレーターを務めた吉田氏は、「私たちは情熱を持って取り組んでいる。引き続き情熱を持って推し進めていきたい」と締めた。
境界線を超えた熱気
以上、ここまでIVS Crypto 2024 KYOTOの注目セッションを中心に当日の様子をお届けした。
昨年に続き京都を舞台として3日間開催されたIVS 2024 KYOTO及びIVS Crypto 2024 KYOTOでは、3日目途中の時点で12,000名が来場したと公式発表があった。これは過去のIVS史上、最多来場人数となる。

IVS Crypto 2024 KYOTOでは、昨年よりもブロックチェーンゲームに関するセッションが多く、また注目度も高かった印象だ。今後、日本のIPを活用したあらたなゲームの誕生に、国内外のプレイヤーがますます注目することだろう。
このほか、昨年盛況となった再度イベントも京都のさまざまな地で開催され、その数は公式に登録されているものだけで300を超えた。
“Cross the Boundaries”、 「境界線を越えよう」をテーマに開催された本イベントは、熱気と興奮が冷めないまま幕を閉じた。“スタートアップの祭典”ともいえるIVSを通じて、参加者の多くが次世代の波を感じ、また収穫を得たはずだ。
今回のイベントを機に、世界を驚愕させるあらたなスタートアップの誕生に期待したい。
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