ビットコイン現物ETFの現状をみてみよう。
※Iolite編集部 作成ご覧の通り、2024年1月以降に再度承認期限を迎えるビットコイン現物ETFがいくつかみられる。先にあげた市場の期待を背負ったブラックロック申請の「iShares Bitcoin Trust」の承認期限も1月15日となっているため、2024年内にビットコイン現物ETFが米国にて承認される可能性は、90%を超えるとも市場予測されているようだ。
ビットコイン先物ETF承認までの歴史

2013年7月、ビットコインETFの申請を、世界で初めてウィンクルボス兄弟が行なってからおよそ8年。SEC(米証券取引委員会)は、ビットコインの価格操作の危険性について、対策が必要だとして長らくビットコインETFの申請を却下してきた。
2019年には、ビットワイズ(Bitwise)が提出したビットコインETF申請についても却下。その際に「原資産に関連する規制を受けた、かなりの規模の市場との監視共有協定が必要である」と述べている。
ここでいう、「原資産に関連する規制を受けたかなりの規模の市場」というのは、米国最大規模の暗号資産取引所コインベース(Coinbase)と監視協定共有が必要であったことを示唆していたと想像する。
ウィンクルボス兄弟のビットコインETF申請から約10年以上の歳月をかけて、2021年10月15日に米国で初めてビットコイン先物ETFがSEC(米証券取引委員会)に承認された。
先んじて先物ETFが承認されることになったが、これはビットコインの価格操作の懸念を商品先物取引委員会(CFTC)の管理下にある、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で上場されることによって、対策がなされていると判断されたことが理由と考えられている。
ゴールドETF承認までの歴史

デジタルゴールドとも比喩されることがあるビットコイン。ゴールドのETFの承認までの歴史はどうだろうか。
1974年、ニューヨーク商品取引所で金の先物取引が開始された。1970年代初頭に35ドルだった金価格は、1980年に一度700ドル近辺の高値をつけたものの、当時の紛争リスクが緩和されつつあったこともあり、ゴールドの価格はジリジリと1990年代後半まで値を下げていきます。
しかし、1999年に欧州中央銀行が「中央銀行ゴールド合意(CBGA)」に署名し、市場への金の売却・貸し出しを制限。
また、2004年には米国で初の金現物ETFが承認された。
金の供給量は減ったことに加えて、コストやリスクを抑えてゴールドを機関投資家等も取引することができるようになったことから下落トレンドからの転換を迎えることとなった。
その後に起こった地政学的なリスクやパンデミック、昨今の世界的なインフレ等の要因によって、「有事の安全資産」として再び注目を浴び、2023年11月現在、約1,800ドル/toz付近で価格は推移している。
今後の見通し

先にあげたように、現段階でSECは商品先物取引委員会の管理下にあるCMEにて、上場されたビットコイン先物の市場が、十分な規制下にあると判断しているといえる。
そうなれば、自ずとビットコイン現物ETFの上場先の監視協定の相手としても認められる可能性は高く、SECが承認要件の1つとしてあげてきた、監視共有協定の課題がクリアになる。
このような理由から、ビットコイン現物ETFが承認される可能性は極めて高いといって良いだろう。サプライズがなければ承認期限が近いタイミングで、SECはビットコイン現物ETFを承認するとみられる。直近では2024年1月中旬、1つの節目を迎えることとなるだろう。