このことからも、全世界の人々がメタバース空間で活動をするのには非常に大きな壁が存在すると思われる。現代において、可処分時間をそもそもメタバースに使おうと思うのだろうか。一般的には平日は仕事や家事、育児があり、休日には仕事の疲れを癒すために気の知れた友人に会うなど仮想空間での活動に重きを置く理由が見当たらない。メタバースが再起する可能性として考えられるシナリオは以下の2つ。
魅力的なインセンティブ オートノマスワールド(Autonomous World)
魅力的なインセンティブ 前述したEpicGames社の、「Engagement Payouts」のようなわかりやすいインセンティブ設計が、現時点では最もメタバースが盛り上がる要因となると考えている。重要なのは、クリプトを活用し富の再分配をするようなGameFiのような収益モデルではなく、完全に確立された収益モデルの上にメタバース上の活動が追加で評価され収益が分配されるということ。
実際のところ今やっている仕事よりも、メタバースで活動する方が稼げるとなれば、多くの人がメタバース上での活動に当てる時間の配分を増やすことは容易に考えられる。厳密には「Engagement Payouts」という仕組みは仮想空間の開発が条件となっているため、今は参入障壁があることは確かだが、将来的にはさまざまな活動にインセンティブが付く可能性はあると思う。
オートノマスワールド(Autonomous World) 仮想空間に存在する世界が完全に自律的に稼働する。フルオンチェーンゲームから始まったともいわれているオートノマスワールド(Autonomous World)は、ETH Globalでは同領域をテーマにハッカソンが開かれるなど、注目を集め始めている。
オンチェーンにすることによって、データの管理は分散され、組み込まれたロジックはスマートコントラクトにより、自動で実行される。ご存知の通り、改ざんのリスクは極めて低く、中央集権的な組織に富を奪われることもないだろう。
要約すれば、ブロックチェーン上にゲームを作っていたら、経済圏も生まれて理想的な世界が作れそうだ、というような捉え方でも問題ないと思う。
たとえば仕事のなかで、チャットボットでも返せるような業務は、オートノマスワールドに存在する自分に行わせても良いだろうし、営業であればアポ取りもできるかも知れない。捉え方によっては、メタバースのあたらしい形といっても良いだろう。