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次世代技術が切り拓く時代の本質を見極める「TEAMZ WEB3/AI SUMMIT 2025」イベントレポート

2025/04/18Iolite 編集部
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次世代技術が切り拓く時代の本質を見極める「TEAMZ WEB3/AI SUMMIT 2025」イベントレポート

Web3.0ソリューション企業、株式会社TEAMZが企画【Day1】

2025年4月16-17日に、株式会社TEAMZが企画した「TEAMZ WEB3/AI SUMMIT 2025」が開催された。

初日のオープニングでは、同社CEOのTianyu Yang氏が登壇し、本イベントへの意気込みと今後のテクノロジーの発展への期待を語った。

「昨今、私たちはオンライン上にあるデータを活用して、将来何が起こるかを予測しているものの、日々の変化は激しく何が起こるのかを推測することは非常に難しい。そうした世界に私達は生きている」と言及。オンライン情報の重要性や学び、情報収集の必要性を強調した上で、ビジネスの世界では、物理的なオフラインの関わりから生まれるイノベーションがあるという信念について語った。

本カンファレンスを通して、イノベーションのきっかけが生まれることに期待を寄せ、そのような環境を提供することがTEAMZの使命であり、TEAMZが挑戦的な取り組みを続ける動機であると強調した。

Tianyu Yang

“未来社会の実験場”で「EXPO2025デジタルウォレット」は歴史的事例になるか【Day1】

2025年4月13日から開催された大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)にちなんで、大阪の国際金融都市への発展を考察するセッション「EXPO2025デジタルウォレットが拓くWeb3.0の未来と大阪国際金融都市への飛躍」が行われた。

The Future of Web 3.0 Opened by the EXPO2025 Digital Wallet and Osaka's Leap to Becoming an International Financial City

SBIグループのリソースを活用し、大阪・関西地域でフィンテック分野に注力する企業への支援を目的として、2025年4月1日に大阪市内に「SBI FinTech Center OSAKA」が設立された。

また、SBIホールディングス常務執行役員であり、JVCEA(日本暗号資産取引業協会)会長も務める小田玄紀氏は、同年7月11日に「ブロックチェーンビジネスコンテスト」の開催を予定していることを紹介し、大阪からイノベーションを盛り上げていきたいという強い意欲を見せた。

万博との連携という観点では、SBIグループは会場内への出展に加え、公式キャラクター「ミャクミャク」に関するイベントやキャンペーンに参加しており、それらを通じて取得可能なNFTの発行基盤として、技術提供を行っている。

公益財団法人大阪産業局 スタートアップ支援事業部の国際・広域担当部長である中村奈依氏は、同局のインキュベーションプログラムにおいて、大阪・関西を中心としたスタートアップ支援を展開しており、そのなかにはWeb3.0領域も含まれていることに言及。世界的に注目度の高いWeb3.0分野の活性化に向けて、支援環境を整備していきたいとの姿勢を示した。

Web3.0分野の動向としては、2025年9月にイーサリアムの国際開発者会議「EDCON(Community Ethereum Development Conference)」が大阪で開催される予定で、ブロックチェーン技術の先端的応用やWeb3.0の未来に関する議論が当地で活発に行われることが期待される。

株式会社HashPortの代表取締役・吉田世博氏は、万博初日の来場者数が14万人を超えたとした上で、「EXPO2025デジタルウォレット」の利用者数が、万博公式アプリ「ビジターズアプリ」に次ぐ規模となっていることに触れ、本万博の大きなテーマである「キャッシュレス」に大きく貢献している実感があると述べた。

さらに、1893年のシカゴ万博でエレベーター技術が初めて展示され、その後の普及につながった歴史的事例を引き合いに出し、万博を「未来社会の実験場」とする理念を、デジタルウォレットの普及を通じて体現したいと語った。経済産業省が設定する来場者目標2,820万人に対して、同ウォレットの利用者数は1,000万人を超える可能性もあるとし、ブロックチェーン技術を基盤としたグローバルな展開にも意欲をみせた。

セッションのモデレーターを務めたN.AVENUE株式会社代表取締役CEO・神本侑季氏は、「EXPO2025デジタルウォレット」はWeb3.0プロダクトでありながらも、ユーザーにブロックチェーン特有の複雑さを意識させない設計となっている点を高く評価している。

セッションの締めくくりには、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 企画局 局長の河本健一氏からビデオメッセージが寄せられた。

河本氏も万博を「未来社会の実験場」と位置付け、先端技術やあらたな社会システムの社会実装を進めるべく、会場内でのキャッシュレス決済の全面導入と「EXPO2025デジタルウォレット」の実証という2つの挑戦を掲げ、顔認証による決済や、来場体験そのものが個人のストーリーとしてブロックチェーン上に記録される仕組みは、万博の枠を超えた取り組みであり、ひいては大阪が目指す国際金融都市としての進化にもつながるものであるとして、期待をにじませた。

The Future of Web 3.0 Opened by the EXPO2025 Digital Wallet and Osaka's Leap to Becoming an International Financial City

Web3.0・AIがもたらすあたらしい経済圏と社会の未来【Day1】

「Web3.0・AIがもたらすあたらしい経済圏と社会の未来」と題したセッションでは、5名の パネリストが熱弁を奮った。

The Future of a New Economy and Society Brought About by Web 3.0 and AI

自由民主党広報本部長・デジタル社会推進本部長の平井卓也衆議院議員は、これまでに暗号資産に関するホワイトペーパーを公表してきた経緯を踏まえた上で、今回の提言の重要なポイントとして、現在日本国内における暗号資産の口座開設数が1,200万口座を超え、総資産は5兆円規模に達している事実をあげた。加えて、これだけ多くの国民が暗号資産を資産として保有していることから、市場の健全な発展と投資家保護を図るため、分離課税制度を軸に政策を推進すべきであると述べた。

また、資金決済法と金融商品取引法とのバランスを考慮しながら、社会実装に向けたあらたな制度領域の構築を目指す姿勢を強調し、暗号資産が多様かつ流動的であることから、すべてを一律に分類し規制や緩和を行うことは困難であり、今回のホワイトペーパーはその前提に基づいて設計されたものであるとしている。

AI領域に関しては、日本の法体系としては稀な、柔軟なアプローチを採用しており、著作権や個人情報保護のリスク、さらにはガバナンスへの配慮を前提に、AIビジネスの発展を促す意図が込められている。また、Web3.0とAIの融合による未来に対しても、前向きで寛容なスタンスを示した。

モデレーターを務めたJVCEAの小田氏は、暗号資産が金融商品取引法の範囲内にはあるものの、有価証券ではないという判断が明言された点について、大きな意義があると評価した。

SONY BLOCK SOLUTIONS LABS PTE. LTD.の渡辺潤氏は、エンターテインメント領域のユーザーに対して楽しさを提供する取り組みを継続しつつも、暗号資産の金融的な側面における発展の必要性を指摘。直近では、同社が提供するイーサリアムのレイヤー2ブロックチェーン・ソニューム(Soneium)のトランザクション数が、グローバルで4位となった実績を紹介し、リリース直後での成果に自信をのぞかせた。

また、著作権違反を伴うプロジェクトをチェーン上から除外した唯一の事例であると述べ、ユーザーの信頼獲得にはそのような措置が不可欠であるとの認識を示した。

技術研究は2017年から継続されており、ソニュームの開発からはすでに2年が経過している。今後は、ユーザーにとってわかりやすく直感的なサービスづくりに注力していく方針であるとした。

株式会社bitFlyer Holdingsの代表取締役・加納裕三氏は、今回の提言がJBA(日本ブロックチェーン協会)として従来より求めてきた内容とほぼ一致していると述べた。とりわけトークン発行体に関する定義付けについては、なお課題が残されており、引き続き調整が必要であるとの見解を示している。

また、レバレッジ取引の上限が25倍から引き下げられたことで、日本の存在感が相対的に後退しているとした上で、同社では40名超の人員をコンプライアンス及びセキュリティに充てるなど、十分な体制を整えていることを明かした。

現在の金商法に関する国内議論は、国際的にみても比較的柔軟な内容であるとした上で、今後はレバレッジやETFなどサービスの多様化に向けた提案を積極的に行っていく意向を示している。最後に「メイク・ジャパン・グレート・アゲイン」と述べ、力強い意気込みを示した。

コインチェック株式会社 執行役員CBDOの大塚雄介氏は、もともと技術領域から事業をスタートした経緯があることを踏まえ、今後はアプリケーション側の事業者がトークンを自由に発行できるような環境を整備することで、プロダクトの多様化が進むとの見解を示した。

その上で、アプリケーションサイドの企業がよりスムーズに展開できるよう、取引所としてのサポート体制を今後さらに強化していく方針を表明している。

The Future of a New Economy and Society Brought About by Web 3.0 and AI

豪華アナリストらが集結!2025年の暗号資産に強気相場は訪れるのか?【Day1】

1日目最後のセッションとなった「2025年の仮想通貨市場展望:次の強気相場は来るのか?」では、業界を代表するアナリストらが集まった。

年初からの値動きが芳しくない暗号資産市場の今後を予想する本セッションで、まず株式会社HYPERITHMの執行役員CSOの阿部喜一氏は、現状、米国が暗号資産相場を牽引しているとした上で、市況は良くないものの「中長期的にはポジティブにとらえている」と言及。また、VCという立場でみた際、リスクオフムードは広がっているものの、それは既存金融においても同様だとの見解を示した。

将来的な視点では、年金基金や保険会社などの大手投資家参入が進めば、本格的なブル相場へつながる可能性を指摘している。

マネックス証券株式会社の暗号資産アナリストである松嶋真倫氏は、貿易摩擦や関税問題があり、2025年前半は不透明な相場が続くと述べる。一方で、ビットコインは「デジタルゴールド」として一定の底堅さを持っており、さらには米国の暗号資産規制が7月頃から進展が見込まれることから、その時期を起点として2025年後半に相場は盛り上がりをみせる可能性があるとの見解を示した。

また、ビットバンク株式会社でマーケットアナリストを務める長谷川友哉氏も、オンチェーンデータ上でも現状あらゆる投資家が資金を引き上げており、短期的な投げ売りも観測されると指摘。ただし、底打ちの兆しもみえつつあり、マクロ経済の不透明感が払拭できれば、再び資金流入の動きが出る可能性があると述べた。

松嶋氏、長谷川氏の両名は、2025年のビットコイン価格について、最大20万ドル程度までの上昇は十分考えられるとの見解を展開した。その一方、エックスモバイル株式会社の専務取締役で、暗号資産アナリストである仮想NISHI氏は、「年初来高値を超えることはない」と断言する。

仮想NISHI氏は、トランプ大統領の発言などを踏まえると、投資家が資金を投入しにくいと述べる。そのため、現状では米国がビットコインを追加購入するなどのアクションを起こさない限り、最高値の更新はあり得ないと語った。

また、ビットコインは底堅い動きをみせるものの、現時点でビットコイン購入企業がリスクになる可能性が考えられるという。具体的には、ビットコインを保有し続けることで含み損が生まれ、売却せざるを得ない状況が訪れる可能性があると指摘した。特にビットコインを購入することで企業価値を上げ続けてきた米Strategy(ストラテジー)社の平均購入価格が危険水域になるとの見解を示した。

日本発ブロックチェーン・Japan Open Chainのファウンダーである近藤秀和氏は、ブロックチェーンインフラを設計する側の視点として、量子コンピュータの進展やイーサリアムのガバナンス変化などに注目していると語った。また、日本では2025年にステーブルコインの本格的な導入が見込まれており、大きな社会的インパクトが期待されると述べた。その上で、送金の高速化やコスト削減が進めば、あらたなビジネスモデルも生まれてくるとの見解を示した。

最後に、近藤氏は「Web3.0には夢がある。2025年がマスアダプションの年になればと思う」と述べ、セッションを締め括った。

2025 Cryptocurrency Market Outlook: Will the Next Bull Market Come?

東京都が取り組むWeb3.0とAI戦略【Day2】

2日目のオープニングでは、東京都議会議員・都民ファーストの会副代表である入江のぶこ都議会議員が登壇し、「Web3.0とAIが切り拓く東京のデジタル経済圏」と題し、現在の東京都における取り組みについて語った。

入江氏は、「TiB(Tokyo Innovation Base)」及び「SusHi Tech TOKYO」という2つの主要なイニシアチブを紹介し、フィンテック産業、ブロックチェーン、セキュリティトークン、ステーブルコインといった先端テクノロジーを東京都として積極的に支援している現状と、今後に向けた意欲を示した。

また、東京都のAI戦略としては、AIの行政活用における「ジャパンモデル」の構築を掲げ、「つかう力」「聴く力」「つくる力」の3つの視点から戦略的な推進を図っていると説明。都民の信頼と安心を得られるAIの活用に向け、自治体としてのAIガバナンス及びルールの確立に取り組む姿勢を明らかにした。

Mirrored Bodyが実現する自己主権型社会 - AI×Web3.0【Day2】

©2024 Yoichi Ochiai / 設計:NOIZ / Sustainable Pavilion 2025 Inc. All Rights Reserved.
©2024 Yoichi Ochiai / 設計:NOIZ / Sustainable Pavilion 2025 Inc. All Rights Reserved.

2025年4月13日より開催されている大阪・関西万博は、さまざまな革新的な技術やアイデアを展示する国際的なイベントだが、なかでも注目を集めているのが、シグネチャーパビリオン「null²(ヌルヌル)」だ。

このパビリオンは、メディアアーティストの落合陽一氏がプロデューサーを務め、デジタルとフィジカルの融合をテーマに、「有史以来行われてこなかった鏡の再発明」を目指しており、デジタルとフィジカルの境界を探求する空間を提供している。

そして、パビリオンに入る際に発行できるのが、「ミラードボディ(Mirrored Body)」という個人のデジタルコピーを作成するためのID基盤である。ユーザーの3Dモデルとブロックチェーン上のNFTを結び付けることで、個人データを蓄積し、リアルに成長するデジタル分身を作ることが可能だ。

本セッションは、同パビリオンの設計等に関わった各社の代表者が登壇したセッションである。

日本電気株式会社(NEC) バイオメトリクス・ビジョンAI統括部ディレクター 兼Web3 Thought Leaderである樋口雄哉氏は、これまでの事業においてはデータを保有すること自体が重要な要素であったが、今後はそのデータを活用し、良い行いがなされた際にインセンティブ等の設計がなされることで、初めてその仕組みが機能し始めると述べた。

株式会社マクニカDXコンサルティング統括部統括部長兼サステナブルパビリオン2025株式会社社外取締役である宮城教和氏は、「万博を通してミラードボディの100万体発行を目指す」とし、現時点でミラードボディの利用可能な機能として、健康診断データを入力することで、未来の自身の状態を可視化できることや、会議の議事録などの活用をあげた。

なお、ミラードボディは、「SBT(Soulbound Token)」として付与される設計となっている。

また、DID(分散型ID)が実現する世界においては、広告の在り方が大きく変革を迎えるとされた。nullは、あらたなプロダクトであると同時に、壮大な社会実験でもあると位置付けられている。

THXNET. CEO兼Co-FounderのAro Kondo氏は、データを誰が管理し、それをいかに活用していくかに関しては依然として議論の余地があるとした上で、仮にユーザーがデータを自ら管理する世界観が主流となれば、企業は情報をオープンにすることで、これまでデータ管理に充てていたコストを、よりリッチなユーザー体験の提供に向けることが可能になるのではないかと述べた。

また「Web3.0 as a Service」として、エンタープライズ向けに技術を提供していくことの重要性にも言及し、加えてブロックチェーンの特性についての考察もその先に必要であるとした。

A self-sovereign society realized by mirrored bodies - AI x Web 3.0

Web3.0に秘められた政治・行政の透明化と革新を図る可能性【Day2】

「国際情勢の変化とテクノロジーの交差点:Web3・AIがもたらす地政学的インパクト」というテーマで実施されたセッションは、「TEAMZ WEB3/AI SUMMIT 2025」の目玉の1つともいえる豪華な顔ぶれが集まったこともあり、多くのイベント参加者で会場は溢れかえった。

Intersection of Changes in the International Situation and Technology: Geopolitical Impact of Web3 and AI

株式会社フィナンシェのCEOである國光宏尚氏がモデレーターを務めたこのセッションでは、日本における課題をWeb3.0で解決することができるのか、また暗号資産を中心に日本のWeb3.0領域における課題についてさまざまな議論が行われた。

まず、元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹氏と、実業家の堀江貴文氏からは、政治・行政の不透明さをなくすことを踏まえてWeb3.0を活用していくことが有効との考えが示された。両者は特に意思決定や政治資金の透明化を図るべく、ブロックチェーンやWeb3.0の技術を活用すべきと主張した。これを踏まえ、自由民主党所属で総務大臣政務官の川崎ひでと衆議院議員も将来的に透明性ある仕組みを導入すべきとの考えを示した。

また政治に関連して、橋下氏はWeb3.0によって「市町村議会レベルの議員は不要になる」と述べた。DAO(分散型自律組織)によって十分な意思決定が行えるとし、具体的な事例としてイタリアの「五つ星運動」をあげ、「不平不満があるのであれば、自分たちで意思決定を行うということが、Web3.0で可能だ」と主張した。

実業家・起業家・インフルエンサーの三崎優太氏からは、暗号資産税制の見直しが行われ、分離課税の導入が検討されていることが切り出された。暗号資産の税制改正に対する注目度は日に日に高まっており、川崎氏は現在の自民党及び関係省庁の動きを踏まえ、「早ければ2026年にも法改正が実現するのではないか」との見通しを語った。

これに関連し、堀江氏からは自身の経験をもとに「暗号資産が資金調達に使えるかどうかはグレーゾーンだと思う」との発言もあった。IEOなどの整備が整っていても、実情としては審査の煩雑さなどから世に広まっていないと指摘し、どの資金調達ステージにおいても、もっと敷居を下げないと“使えない制度”で終わってしまうと語った。

政府が毎年発表する「骨太の方針」に関連し、もっと暗号資産を前提とした取り組みを盛り込むべきという堀江氏の主張も印象的であった。

橋下氏も堀江氏の主張を踏まえ、「現金給付だと貯蓄に回る可能性があるといって別の施策を考えるくらいなら、用途を限定したトークンを配布すればいい」と自身の考えを強調していた。トークンを活用すれば年収ごとに細やかな給付が可能になり、さらには使途を明確にすることで効果的な施策ができるとし、「次世代の政治家にはこうした施策を実現するようがんばってもらいたい」と奮起を促した。

このセッションでは、ほかにも米国のトランプ大統領が発行したミームコイン・TRUMPに関連して、「ジャパントークン」など、政治や経済の成果が価値に反映されるトークンの流通や、Web3.0への興味関心がさらに高まっていくことで、より多くの政治家を動かしていくことが可能になることなどが語られた。

Intersection of Changes in the International Situation and Technology: Geopolitical Impact of Web3 and AI

「103万円の壁」だけでなく、ステーブルコインの「100万円の壁」も改革へ【Day2】

直後に行われた「Web3・AIのグローバル競争における日本のポジションと政策支援」と題したセッションも、豪華な顔ぶれが揃ったことで会場には多くの参加者が詰めかけた。このセッションでは、暗号資産・ブロックチェーンメディア「あたらしい経済」編集長の設楽悠介氏がモデレーターを務めている。

Japan's Position and Policy Support in the Global Competition of Web3 and AI

まず、1日目にも登壇したJVCEA会長の小田氏から、現状の日本における暗号資産口座の推移や暗号資産税制を始めとする規制改正に向けた取り組みについて説明が行われた。国内では1,200万口座が開設されるなど、右肩上がりに暗号資産に触れるユーザーが増えているものの、過去にレバレッジ倍率を25倍から2倍に引き下げたことで、今では日本の暗号資産取引シェアが世界でみた際に1〜3%程度にまで激減していると述べ、危機感をあらわにした。

こうした背景から、現在レバレッジ倍率の引き上げに向けて取り組んでいることを述べたほか、2025年に入り議論が本格化している暗号資産税制の改正についても言及。改正に向け一定の手応えを感じているとし、「今回は本当に変わる」と語気を強めた。

また、国民民主党代表の玉木雄一郎衆議院議員も、現在の暗号資産に対する税制が高すぎるとし、「改革が必要だ」と強調した。あわせて、政治の効率化・透明化を図る上でブロックチェーンは有効だと述べた。

暗号資産税制については、早ければ2026年6月にも可決される可能性が高まっている。その上で、「暗号資産税制の改正に関連する法案が与党などから提出された際には賛成するか?」という問いに対し、玉木氏は「絶対に賛成する」と断言した。また、法案が可決してから施行するまでに最大1年間の期間を要することについても「即施行するスピード感を働きかけていく」と語った。

さらに、ステーブルコインに関しても興味深い発言があった。現在、日本で発行されたもの以外のステーブルコインについては、現状1度の送金限度額は100万円までと制限されている。小田氏はこれを「100万円の壁」と指摘し、「103万円の壁と同様、改善してもらいたい」と訴えた。これを受け、玉木氏は「また突破すべき壁が増えた」と語り、取り組んでいく姿勢を強調した。

最後に、玉木氏は「分離課税」「レバレッジ倍率改正」、そして「暗号資産ETF」の3つをセットで実現させるためにスピード感を持って取り組むとし、「暗号資産の手取りも増やしていく」と宣言。暗号資産を国家戦略に位置付けて成果を出していくと述べ、今後のさらなる飛躍を誓った。

Japan's Position and Policy Support in the Global Competition of Web3 and AI

2026年のコンセプトは「Touch the tradition(伝統に触れる)」

イベントの閉会挨拶では、Yang氏より「TEAMZ SUMMIT 2026」を開催することが発表された。開催日は2026年4月15日と16日で、「Touch the tradition(伝統に触れる)」をテーマとして掲げている。

Yang氏は「もっと皆さんと明日を創る産業について語りたい。もっともっとディスカッションをしたい思いがある」と述べ、イベントが終了することに対する名残惜しさと、成功を収めたことを強調した。

TEAMZ SUMMIT 2026

Web3.0やAIの最先端に触れる絶好の機会に

ここまで、Ioliteが注目するセッションについて取り上げてきた。

セッションのみならず、ブース会場も熱気に溢れており、イベント全体が盛り上がりをみせていた。

Teamz Event
Teamz Event
Teamz Event

今回のイベントは、日々激しく移り変わるWeb3.0やAIの最先端に触れる絶好の機会になったことだろう。特に官民のWeb3.0に対する熱量、日本の独自性を活かす取り組みや、再び暗号資産の中心地として返り咲くことを目指す意気込みが感じられるセッションが多かった印象だ。

2026年も2日間にわたって開催されることが発表されたが、その頃にはいったい、どのような世界が私たちの前に広がっているのだろうか?

次世代技術が切り拓く新時代への期待と高揚感を抱きつつ、次回の「TEAMZ SUMMIT 2026」の開催を待ちたいところだ。

画像:Iolite

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