「Web3&AI超会議2025 秋」イベントレポート

2025/12/01 16:25
Iolite 編集部
文:Noriaki Yagi
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「Web3&AI超会議2025 秋」イベントレポート

現代で20代が直面するキャリアの転換点

「Web3&AI超会議2025 秋」3つの要点サマリ

AI×Web3.0が再定義する“キャリアの前提”

AIは業務の置き換えを超え、仕事の設計そのものを変える段階に入っている。Web3.0は金融インフラや価値移転の仕組みを根本から書き換えつつある。20代が備えるべきは、専門×技術を掛け合わせる自律的なキャリアの設計力。

未来の金融はトークン化・ステーブルコイン・AIエージェントが主役

証券・銀行・通信・Web3.0企業が語ったのは、金融の土台が丸ごと更新される未来像。「コードが24時間動き続ける金融」「AIエージェントが自動決済する世界」は既に現実化している。若手に必要なのは、“体験”を通じて理解する金融リテラシーのアップデート。

行動し、問い続ける者だけがチャンスを掴むという共通認識

登壇者が共通してあげたキーワードは「素直さ・実行力・没頭」であった。AIを使いこなせるか、挑戦環境を選べるかは、行動量で決まると強調された。正解のない時代を前提に、“まずやる”姿勢こそがキャリアの突破力になると示された。


20代は何を選び取るべきか

AIが急速に発展し、Web3.0が新産業の基盤として存在感を強めるなか、20代のキャリアはこれまでの常識が通用しない局面に差し掛かっている。

2025年11月30日、住信SBIネット銀行本社及びオンライン配信で開催された「AI爆速成長時代に20代が取るべき選択 – Web3&AI超会議 2025 秋」は、急激な技術変化の潮流を前に、若手がどのように未来を切り開くべきかを提示することを目的としたイベントである。

主催はWeCreate3と千葉工業大学web3研究会、共催に住信SBIネット銀行、協力に早稲田大学グローバル科学知融合研究所が名を連ね、学生と若手社会人を中心に幅広い層が参加した。当日は先着50名にIolite最新号が配布されるなど、技術・金融・キャリアの最前線を学びたい若者たちにとって魅力的な構成となった。

AIとWeb3.0が融合し、産業構造そのものを再定義する時代において、20代は何を学び、どの領域に挑むべきか。本イベントはその問いに対する多角的な視点を提示し、参加者にあたらしいキャリアの羅針盤を与える場であった。

オープニング・スポンサーセッション

イベントは住信SBIネット銀行の酒井剛士氏による挨拶で幕を開けた。同社は今回の主催団体とともに学生主体のイベントづくりを後援しており、会場となった六本木オフィスを提供した立場から歓迎の言葉を述べた。

Web3 & AI Chokaigi 2025 Autumn 1

酒井氏は、銀行業の常識を覆す同社の組織文化に触れ、「役員のほとんどが40代、最年少課長は入社4年目。支店を持たないデジタルバンクとして、あたらしい金融の形をつくりたい」と語りかけた。

「銀行=硬い」という固定観念を超え、金融を“再発明”していく仲間を求めていると呼びかけた姿が印象的であった。

その後、主催であるWeCreate3と千葉工業大学Web3研究会から、イベント趣旨と参画コミュニティの紹介が行われた。受付前列に座る学生パートナーたちの姿は、本イベントが“若い世代によって駆動されている”こと、そして学生たちが発展するテクノロジーに対して熱心に情報収集する姿が強く示していた。

Web3 & AI Chokaigi 2025 Autumn 2

Web3.0学生コミュニティ最大規模であるWeCreate3代表の矢野大雅氏は、「今日を行動する日にしてほしい。登壇者に声をかければ、キャリアの突破口が生まれる」と力を込めた。

Web3 & AI Chokaigi 2025 Autumn 3

続けて、早稲田大学の朝日透教授が協賛団体として登壇した。AI・Web3.0を“ツールとして扱える人材”の重要性を説き、「専門×技術」があらたな価値を生むと強調した。

Web3 & AI Chokaigi 2025 Autumn 4

自身が研究所を立ち上げたブロックチェーン講座を7年前から継続してきた経験に触れ、「今はAIとWeb3.0が誰にとっても身近な技術になりつつある。専門が何であれ、技術を理解し、組み合わせる力が重要だ」と語り、学生時代に築いたネットワークが研究・キャリアの礎になっていると振り返り、「今日ここで出会った人とのつながりが、必ず未来に活きる」と参加者を鼓舞した。

Keynote & Pitch|スポンサー企業が語る“次の金融とキャリア”

続くキーノートパートでは、学生に人気の高いインフルエンサーでもあるMichikusa代表 臼井拓水(usutaku)氏がビデオメッセージで登場した。就活の不安やAIに代替される職業への恐怖など、若い世代が抱えるリアルな悩みに寄り添いながら、「AI時代に残る価値は“好きなことをやり続ける力”である」と強調した。

Web3 & AI Chokaigi 2025 Autumn 5

臼井氏は、自身のキャリア形成が偶然の積み重ねでつながっていった経験を語り、「行動し続ければ、点と点は必ずつながる」と学生にエールを送った。SNS発信、動画編集、渡航経験、インターン——すべての“行動の蓄積”がキャリアを形づくるというメッセージは、会場の若者の心を強く揺さぶったことだろう。

Main Sponsor|Slash Vision Labsが描く“お金のインターネット”

メインスポンサーであるSlash Vision LabsのCEO 佐藤伸介氏は、日本の金融システムを革新する明確なビジョンを提示した。同社は「伝統金融と暗号資産をつなぐお金のハブ」を掲げ、ステーブルコインを軸とした次世代金融アプリを開発している。

佐藤氏は、ステーブルコインを「お金のインターネット」と定義し、情報のデジタル化と同じように、資金移動・運用・決済を一体化した未来像を描く。日本の法律に準拠したセルフカストディ型ウォレットとVisa対応の暗号資産カードを組み合わせることで、“ドルを扱うように円を、円を扱うようにドルを”使える世界をつくろうとしている。

特に印象的だったのは、ステーブルコイン運用による4〜8%の利回りへのアクセスを「一般ユーザー向けに解放」するという構想。そして、円安が進む日本で、若い世代が“自分の未来を守る”ための金融手段を提供するという社会的使命の2点。

「AIは既存の世界を進化させる技術だが、Web3.0は仕組みそのものを変える技術である」と語り、AI×Web3.0の掛け合わせが未来をつくると強調した。

Web3 & AI Chokaigi 2025 Autumn 6

Sponsor Session|若手主体のテック企業・Virの挑戦

続いて登壇したのは、スポンサー企業であるVirの専務取締役・安藤天晟氏。同社は社長以外のメンバーが全員20代前半という極めて若い組織で、ゴルフウェアブランドから出発し、AIリスキリング、受託開発、イベント協賛など多角展開を進める異色のスタートアップである。

安藤氏は、自身が大学4年生でありながら複数企業の役職を兼務していることを紹介し、若手が主導するあたらしい事業づくりの可能性を示した。補助金依存ではない“本質的なAI教育”を提供する姿勢や、学生イベントへの積極的支援は、まさに今回のイベントのテーマと共鳴するものである。

Virは今後、アパレル事業の全国展開や学生主導のAIイベントとの共同開催も予定しており、若い技術者・クリエイターの接点を広げる役割を担っていくと語った。

Web3 & AI Chokaigi 2025 Autumn 7

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