イベントは住信SBIネット銀行の酒井剛士氏による挨拶で幕を開けた。同社は今回の主催団体とともに学生主体のイベントづくりを後援しており、会場となった六本木オフィスを提供した立場から歓迎の言葉を述べた。

酒井氏は、銀行業の常識を覆す同社の組織文化に触れ、「役員のほとんどが40代、最年少課長は入社4年目。支店を持たないデジタルバンクとして、あたらしい金融の形をつくりたい」と語りかけた。
「銀行=硬い」という固定観念を超え、金融を“再発明”していく仲間を求めていると呼びかけた姿が印象的であった。
その後、主催であるWeCreate3と千葉工業大学Web3研究会から、イベント趣旨と参画コミュニティの紹介が行われた。受付前列に座る学生パートナーたちの姿は、本イベントが“若い世代によって駆動されている”こと、そして学生たちが発展するテクノロジーに対して熱心に情報収集する姿が強く示していた。

Web3.0学生コミュニティ最大規模であるWeCreate3代表の矢野大雅氏は、「今日を行動する日にしてほしい。登壇者に声をかければ、キャリアの突破口が生まれる」と力を込めた。

続けて、早稲田大学の朝日透教授が協賛団体として登壇した。AI・Web3.0を“ツールとして扱える人材”の重要性を説き、「専門×技術」があらたな価値を生むと強調した。

自身が研究所を立ち上げたブロックチェーン講座を7年前から継続してきた経験に触れ、「今はAIとWeb3.0が誰にとっても身近な技術になりつつある。専門が何であれ、技術を理解し、組み合わせる力が重要だ」と語り、学生時代に築いたネットワークが研究・キャリアの礎になっていると振り返り、「今日ここで出会った人とのつながりが、必ず未来に活きる」と参加者を鼓舞した。
Keynote & Pitch|スポンサー企業が語る“次の金融とキャリア”
続くキーノートパートでは、学生に人気の高いインフルエンサーでもあるMichikusa代表 臼井拓水(usutaku)氏がビデオメッセージで登場した。就活の不安やAIに代替される職業への恐怖など、若い世代が抱えるリアルな悩みに寄り添いながら、「AI時代に残る価値は“好きなことをやり続ける力”である」と強調した。

臼井氏は、自身のキャリア形成が偶然の積み重ねでつながっていった経験を語り、「行動し続ければ、点と点は必ずつながる」と学生にエールを送った。SNS発信、動画編集、渡航経験、インターン——すべての“行動の蓄積”がキャリアを形づくるというメッセージは、会場の若者の心を強く揺さぶったことだろう。
Main Sponsor|Slash Vision Labsが描く“お金のインターネット”
メインスポンサーであるSlash Vision LabsのCEO 佐藤伸介氏は、日本の金融システムを革新する明確なビジョンを提示した。同社は「伝統金融と暗号資産をつなぐお金のハブ」を掲げ、ステーブルコインを軸とした次世代金融アプリを開発している。
佐藤氏は、ステーブルコインを「お金のインターネット」と定義し、情報のデジタル化と同じように、資金移動・運用・決済を一体化した未来像を描く。日本の法律に準拠したセルフカストディ型ウォレットとVisa対応の暗号資産カードを組み合わせることで、“ドルを扱うように円を、円を扱うようにドルを”使える世界をつくろうとしている。
特に印象的だったのは、ステーブルコイン運用による4〜8%の利回りへのアクセスを「一般ユーザー向けに解放」するという構想。そして、円安が進む日本で、若い世代が“自分の未来を守る”ための金融手段を提供するという社会的使命の2点。
「AIは既存の世界を進化させる技術だが、Web3.0は仕組みそのものを変える技術である」と語り、AI×Web3.0の掛け合わせが未来をつくると強調した。

Sponsor Session|若手主体のテック企業・Virの挑戦
続いて登壇したのは、スポンサー企業であるVirの専務取締役・安藤天晟氏。同社は社長以外のメンバーが全員20代前半という極めて若い組織で、ゴルフウェアブランドから出発し、AIリスキリング、受託開発、イベント協賛など多角展開を進める異色のスタートアップである。
安藤氏は、自身が大学4年生でありながら複数企業の役職を兼務していることを紹介し、若手が主導するあたらしい事業づくりの可能性を示した。補助金依存ではない“本質的なAI教育”を提供する姿勢や、学生イベントへの積極的支援は、まさに今回のイベントのテーマと共鳴するものである。
Virは今後、アパレル事業の全国展開や学生主導のAIイベントとの共同開催も予定しており、若い技術者・クリエイターの接点を広げる役割を担っていくと語った。
