CZ恩赦がもたらすBinanceの復権と日本展開強化の現実味

2025/10/25 10:00 (2025/11/04 16:40 更新)
八木 紀彰
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CZ恩赦がもたらすBinanceの復権と日本展開強化の現実味

Binanceとトランプ政権の再接近

トランプ大統領が、暗号資産(仮想通貨)取引所Binance(バイナンス)の創業者チャンポン・ジャオ(通称CZ)氏に対して恩赦を与えた。

バイデン政権下で有罪となった人物に対する政権復帰後の大統領恩赦。これは単なる個人の救済ではなく、米国の暗号資産政策が規制から振興へと舵を切っていることを示す象徴的な出来事ともいえるかもしれない。

恩赦の発表と同時に、CZ氏は「米国を暗号資産の首都にするため全力を尽くす」とXに投稿した。米国最大の取引所Coinbase(コインベース)との競争を再開し、Binanceがグローバル展開において再び中心に立つ日も遠くはないのかもしれない。

CZ氏は2023年にマネーロンダリング対策法違反で有罪となり、5,000万ドルの罰金と4ヵ月の禁錮刑が科された。Binanceも43億ドルの罰金を支払い、米国でのグローバル版の事業を事実上停止する措置を受けていた。

恩赦は「罰金の免除」ではなく、「有罪記録の抹消」が主とされるが、結果としてCZ氏及びBinanceが科された重荷を取り払うものであり、Binanceの米国市場復帰への道を大きく切り開く出来事だ。

具体的には、Binanceが世界各国で暗号資産ライセンスや銀行口座を再取得する際の障害も減少する見込みだ。現CEOのリチャード・テン氏も「信頼性、手数料削減、イノベーションに焦点を当てた次の章を構築する」と述べており、グローバルでの巻き返しに向けた動きが加速しつつある。

BINANCE image

今回の動きには、単なる政策転換を超えた政治的思惑も絡む。Binanceはトランプ大統領の一族が展開する暗号資産事業「World Liberty Financial(WLFI)」の主要支援者であり、戦略的に密接な関係にあるとされる。恩赦の背景には、業界団体からのロビー活動と同時に、Binanceとトランプ陣営の共闘体制があったとの指摘もあるようだ。

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