テクノロジーは人々の未来を変える力を持っている——そう信じて疑わない女性がいる。グローバルに展開する大手暗号資産取引所BitgetのCEO、グレイシー・チェン氏。彼女は単なる暗号資産取引所の経営者ではない。テレビジャーナリストから起業家へと転身し、Web2.0・Web3.0の両領域で実績を築いてきた異色の経歴を持ち、その中心にはいつも「人」を見据える視点があった。
そんな彼女が、最近グローバルに発表したユニセフとのパートナーシップは大きな注目を集めている。若年層と女性を対象に、ブロックチェーンを活用した教育機会の提供を目指すこの取り組みは、CSR(企業の社会的責任)活動の枠を超え、テクノロジーが社会にはたす役割を再定義するものだ。
激動のベアマーケット下でも人材や教育への投資を惜しまず、「Blockchain for Youth」「Blockchain for Her」などのCSRプログラムを通じて、誰もが公平にチャンスを持てる社会の実現に力を注いできたグレイシー氏。その姿勢は、単なるビジネスリーダーの域を超えた強い起業家精神と社会的責任の融合にある。
今回の取材では、Web3.0の未来、Bitgetのビジョン、そして1人の女性としてのリーダーシップの哲学に迫る。未来を築くカギは、テクノロジーのその先にある「人間らしさ」なのかもしれない。

ナガトモ:Bitgetに入社する前は多様な経歴をお持ちですね。現在に至るまでのキャリアとターニングポイントを教えてください。
グレイシー・チェン(以下、チェン):私は2014年に大学を卒業し、学士号を取得しました。そして最初の1年間はテレビのジャーナリストをしていました。その頃、テレビ業界の友人たちから「ビットコインをチェックしてみなよ」といわれたんです。それが2015年のことでした。
それで私はビットコインのホワイトペーパーを読んだのですが、その数学的な美しさにすごく惹かれました。というのも、私は大学で応用数学を学んでいたんですね。そこから試しに少額の暗号資産を購入してみることにしました。
その後、私はWeb2.0のスタートアップ事業に集中して取り組みました。1つはフィンテック、もう1つはメタバース関連です。特にフィンテックの方は今でもかなり順調に運営されています。これは中国のフリーランス向けのスタートアップで、これまでに約800億USDTの取引実績があります。
私が働いたり、一緒に仕事をした企業は、プロダクトを作る上で非常に大切な「プロダクトマーケットフィット(市場のニーズにあった製品)」についての基礎を築かせてくれました。つまり、ユーザーが本当に必要としている課題を解決する製品をどう作るか、という考え方です。
なので、私にとっての最初の転機は、友人からビットコインについて知るよう勧められたことで、これはとてもラッキーかつ重要な出来事でした。そしてもう1つの転機は、ジャーナリストから起業の世界へと転身したことです。Bitgetに入る前の起業家としての道のり全体が私にとっては重要だったといえます。