サマリ
1. 円安と財務戦略を背景に、コンヴァノが「BTCトレジャリー」を本格採用
ネイル事業 FASTNAIL の安定した収益基盤を背景に、2027年3月までに21,000BTC保有を目指すDAT戦略を開始。円安進行を契機に「余剰資産を円のまま持つリスク」を見直し、財務上の“理念を守る手段”としてビットコイン保有を決断したのが根底にある。
2. 成長事業 × オプション戦略でBTC保有を拡大──他社にない“二刀流モデル”
BTCを単に買い増すのではなく、
- 成長事業による営業利益向上
- 株価連動型の増資タイミング調整
- オプション戦略でのインカム獲得
という独自手法で取得単価を平準化・低減。目標の「21,000BTC」は発行上限2,100万枚の0.1%に由来し、将来的価値上昇を見据えた“夢のある財務戦略”として位置づけられている。
3. 株主還元と理念遵守を両立──BTCは“身を守る手段”として社会へ広げたい
戦略の前提には「株主の資本で成り立つ」という意識があり、株価希薄化を避けつつ成長投資とBTC調達を進める姿勢を明言。FASTNAIL の理念から外れない範囲でBTCを扱い、日本円の価値下落が続く環境下で「ビットコインは身を守る手段になりうる」という認識を社会へ広げることを目指している。
2027年3月末までに21,000BTC(約3,700億円相当)の保有を目指すコンヴァノ。ネイル事業「FASTNAIL(ファストネイル)」で築いた安定した収益基盤を軸に、上場企業として異例のDAT(デジタル資産トレジャリー)戦略を本格的に進めている。その中心にいるのが取締役の東氏だ。
単なる“ビットコイン(BTC)を買う企業”ではなく、「理念を守るための財務」としてビットコインを扱うコンヴァノ。なぜ彼らはこの道を選び、どのような未来を歩もうとしているのか。その真意と哲学に迫った。
ナガトモ:東さんのご経歴について教えてください。
東大陽(以下、東):私のもともとのバックグランドはITです。企業向けにITシステムを設計・開発・運用するシステムインテグレーターの仕事を6年間やっていました。「農業×IT」や「医療×IT」など、新規事業の開発に携わりました。その後は家具の商社やITコンサルなどを経たのですが、それらはどちらかというとフィンテックの領域に近かったので、金融の分野も少しかかわりがあった形です。
コンヴァノとの出会いは、医療法人のサポートをしているメディカルフロンティアという会社で働いていた際、支援をしていたTCBという美容クリニックの創業者である青木先生からの紹介でした。
青木先生からは「面白い社長がいるから東さんも話してみないか」とお話をいただき、そこで紹介されたのが弊社代表の上四元でした。その後、去年3月頃に渋谷のオフィスでお話しさせていただき、事業をグロースさせていきたいと思ったのがコンヴァノに入社したきっかけです。
ナガトモ:どのような流れでトレジャリー戦略を進めることになったのですか?
東:去年の5月に孫会社にあたる虎ノ門キャピタルという会社を立ち上げたんですが、そこでもともと投資の戦略として、Strategyやメタプラネットの株を買っていくのがよいのか、それともビットコインを現物で買うのがよいのか、検討をしていた時期がありました。
その一方で、昨年夏ぐらいから円安が進んできた際に、これは親会社でも何かしなければならないという話になってきたんです。ネイル事業もようやく黒字になってきて、資産が貯まっていくフェーズだったので、貯まった資産を円のまま保有をするのか、はたまた何か別のものにするのかという議論をしていたのですが、ようやく今年6月の終わりぐらいから余った資産をビットコインで保管していくトレジャリー戦略を採用する方針に変わった形です。
