ナガトモ:WLF PROJECTで通常の「人狼」と差別化した点、また差別化を図る要素を取り入れようと思った理由はなんですか?
KAZU:人狼は会話による議論スポーツなので、自然と左脳的なロジカルなゲーマーやゲーム実況者がムーブメントの中心となってきました。けれども、昨今ではもっとライトにコミュニケーションを楽しむシーンが見受けられます。この先人狼が世界的なコンテンツへと成長するには、ロジカルスポーツに進むのではなく、サッカーやF1のようなオーディエンスも一体となって楽しむエンターテインメント性の強いスポーツへと成長すべきじゃないかと考えています。
そのため、私たちはファッション・音楽・ダンスといった、これまでの人狼とは正反対の要素を取り入れ差別化を図っています。これは、世界中でプレイされることを意識した戦略でもあります。
ナガトモ:WLF PROJECTのクリエイティブチームにm-floの☆Taku Takahashi氏やファッションデザイナーのKEITA CHRISTOPHER OSADA氏が参加されていますが、どのようなきっかけで参画されたのでしょうか?
KAZU:m-floは僕が人生の中で最も再生したアーティストであり、作曲をしているTakuさんは憧れの人でした。世界中の人々が言葉の壁を超えて、音楽に合わせてプレイする人狼ゲームを開発しようと考えた時に、Takuさん以外の人は思い浮かびませんでした。OSADAさんは、僕が20代の頃から最も憧れたファッションデザイナーです。彼の美的感覚は圧倒的で、今でも神のように尊敬しています。現在開発している「WOLF-FLOW」が3Dアバターでプレイするゲームになると決まった時点でOSADAさんに相談しました。つまり今回のチームは、僕にとって「夢の共演」なんです。
ナガトモ:WLF PROJECTではガバナンストークンとしてWLFを発行していますが、どのようなエコシステム設計になっているのでしょうか?
KAZU:WLFトークンのエコシステムを「利用方法」「売上と報酬」「経済拡散性」の3つに分けて簡単に説明します。
まず「利用方法」について、初期段階でWLFトークンは「応援プラットフォーム」での選手の応援、結果予想ゲーム及びNFTゲームへの参加などで使用される予定です。将来的には、人狼コミュニティに参加する企業とのコラボレーションで利用シーンを増やしていくことを想定しています。
次に「売上と報酬」では、私たちはサービスの売上をWeb2.0ユーザー向けとWeb3.0ユーザー向けで分けて考えています。Web2.0ユーザー向けには手間のかかる暗号資産決済を設けず、通常のスマートフォンゲームとして展開します。ゲーム内アイテムの法定通貨での売上も含めて、WLFトークンの健全なエコシステムを維持できればと考えています。
Web3.0ユーザー向けには、プレイヤー間のバトルの勝敗によって勝った人がトークン報酬を得られるという設計をしています。その際、WLFトークンの値下がりにつながるような無尽蔵にトークン報酬を配り続ける設計にしないよう努めています。
最後の「経済拡散性」では、Web3.0サービスで課題となっている取引及び処理時のガス代に焦点を当てています。ガス代をゼロにするため分散的なセキュリティ管理による「WLF POCKET」を開発しました。これにより、サービス間、ユーザー間のトークンのやり取りが円滑に行われます。僕たちはこのツールをオープン化して、多くのビジネスパートナーに利用してもらおうと考えています。
WLF PROJECTでは積極的にファッションや音楽に精通する発信力のあるメンバーをコミュニティに入れようとしています。僕はこうしたコミュニティを「インフルエンサー」ならぬ「インフルコミュニティ」と呼んでおり、2026年以降のプロモーションの主流になると考えています。
ナガトモ:WLF PROJECTの日本での展開については今後どのように考えていますか?
KAZU:日本においては暗号資産の利用が簡単になるまでWeb2.0サービスから展開しコミュニティを強化していく予定です。量より質で我々のコンテンツを世界に広げていく基盤作りをしていきます。海外に対してはWeb3.0サービスをどんどん押していきます。
Profile
◉Kazu Suzuki
事業家、ゲームクリエイター。ドバイ政府公認デジタルアーティスト。2011年にスマホゲーム「人狼ゲーム 牢獄の悪夢」をリリースし、人狼ゲームブームのパイオニアとなる。本アプリのダウンロード数は1,000万DL、総プレイヤー数は8億人を超える。「人狼ゲーム」の商標ホルダーであり、商標をオープンライセンス化するなど、人狼ゲーム市場の活性化に貢献。「人狼ゲーム 牢獄の悪夢」においては、プログラミング、デザイン、イラストレーション、サウンドデザインなど、アプリ開発に関わるすべてを一人で行う。一方、2007年から2020年まで広告代理店電通でプロデューサーを経験し、コンテンツプロモーション、プロジェクト設計、事業立ち上げを多数行ってきた。
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