累計取引高500億円以上。DeFiデリバティブ市場を牽引する「Cega Finance」を生み出したグローバルで活躍する日本人Web3.0起業家の1人である豊崎亜里紗氏。そのルーツとグローバルスタンダードでみた日本、そして彼女が見据える未来、DeFiやWeb3.0の展望に迫る。
世界No.1のDeFiサービスを生み出した豊崎氏の「ルーツ」
アジア最大級の暗号資産カンファレンスである「TOKEN2049」。毎年9月にシンガポールで開催され、世界中からクリプト関係者たちが集まるビッグイベントだ。その壇上で流暢な英語でプレゼンをする1人の日本人がいた。豊崎亜里紗氏だ。彼女は分散型金融の専門家でありDeFiデリバティブのパイオニアである。
起業家として日本から世界を舞台に活躍する彼女のルーツ。豊崎亜里紗個人としての活動とCEGA社としての展開にフォーカスして話をうかがった。
失敗をベースに考えるのではなく、20代、30代のうちはとにかくやってみたいものすべてに挑戦すべき

ナガトモヒロキ(以下、ナガトモ):豊崎さんは幼い頃から起業家になることを考えていたのですか?
豊崎亜里紗(以下、豊崎):子供の頃はこれといって夢はなかったのですが、あれもこれも興味あることは全部やってみたいと思う性格でした。起業という点では両親の影響が大きいですね。2人とも別の会社でゼロからビジネスを構築して売却も経験している起業家でもあったので、自分も自然と起業家の道に誘導された感じはあります。
ナガトモ:初めての起業がCEGA社になるのですか?
豊崎:いえ、実は大学在学時にグラフィックデザインの会社を起業し、少額ですが、売却をした経験があります。Googleで働いていた時には副業でマツエクと眉毛ワックスのサロンを経営しておりました。
ナガトモ:行動力にびっくりです(笑)。現在、グローバルで活躍されている豊崎さんですが、海外と日本を比べた際に感じる違いにはどのようなものがありますか?
豊崎:日本は生活水準も高く中流階級の幸福度が高いので、日本人としてのモチベーションや、海外に出て成功してくるといったハングリー精神が足りないと感じます。
仕事の進め方に関しても、日本は文化的に村社会化しているのでトップダウンではなくボトムアップで周りとのコンセンサスを取らなければ決議ができないケースが多い。意思決定のスピードが速い海外と比べると小さいことを行うにも時間がかかるのは非効率的で非常にもったいないと思います。
ナガトモ:豊崎さんの経歴をみると華々しいキャリアなのですが、それを手放してまで起業を決意された背景にはどのような考えがあったのですか?
豊崎:まずキャリアを手放すという発想が間違いですね。キャリアを手放すという表現には2度と戻ってこないというアサンプション(思い込み)が入っています。スキルセットが身についていたり、自分の能力や成長を磨いていれば大手企業にはいつでも戻れると思います。
Google時代の私の上司には、2回Googleを辞めてスタートアップに挑戦して戻ってくるといったキャリアを歩んでいる人もいました。日本には終身雇用の考え方が根付いていますが、キャリアは一本道ではなくフレキシブルなものだと考えております。
失敗をベースに考えると歩み方がどうしてもコンサバティブ(保守的)になってしまうので、むしろ「ワンチャンいけるかも?」というマインドセットで特に20代、30代のうちはとにかくやってみたいものすべてに挑戦すべきだと思っています。