ナガトモ:ありがとうございます。次にF4Xの強みを教えてください。
エマン:デジタルバンクとしての強みは、送金時間とコストの削減があります。さらに、隣国カタールでNo.1規模の銀行であるQNB(カタール国立銀行)と業務提携していることも大きな強みの一つです。彼らのバックアップがあることで、顧客資産の安全管理などセキュリティ面においても非常に大きなアドバンテージとなります。QNBは世界27カ国に展開しており、中東アフリカエリアでは2番目の規模の銀行です。また、日本のみずほ銀行とも業務提携を行っています。我々はUAEの厳しいライセンス基準をクリアした事業者であり、法律で守られることが顧客にとっても事業者にとっても大きな安心につながります。
ナガトモ:確かに。昨今、米国の銀行や取引所の破綻など、世間を震撼させるニュースが相次ぎましたが、伝統金融として強い地盤を持つ銀行とのパートナーシップは非常に心強いですね。このF4Xのプロジェクトの背景にはどのようなストーリーがありますか?苦労された点なども教えてください。
エマン:銀行自体のアイデアは10年ほど前からありました。理由はマーケットが求めていると感じたからです。設立の背景としては、主要株主であるカタールのコングロマリッド企業AL-Jaber Groupの会長Mohammed Sultan Al Jaber氏の心強いサポートのもとスタートしました。
技術的な話をすると、この3年はシステム開発に力を入れてきました。特にこの1年はトランザクション処理速度を上げることや、法定通貨とクリプトのスワップに多大な努力を注ぎました。トライアンドエラーを繰り返し、テスト費用も高額になりましたが、今まで誰もやったことのない領域への挑戦だったため、まず構想が実際にうまくいくかどうかのテストを行うことが最重要課題でした。
ニコラス:我々はこれまで「伝統金融では成し得なかった銀行」という大きな信用の箱に、クリプトの機能を実装することができました。裕福な国もあればそうでない国もあります。貧しい国では、このようなシステムを開発する予算も十分ではありません。しかし、我々がシステムを提供すれば、彼らが負担する開発コストはゼロになります。
貧しい国の人々でも簡単に銀行口座を開設でき、クリプトを利用して日々の生活や家族への仕送りを早いスピードと低コストで実現できれば、その先には車や不動産の購入、教育、投資など経済活動が活発化するでしょう。
ナガトモ:日本のマーケットに対してはどのような印象をお持ちですか?
エマン:日本はとても強いマーケットだと思います。しかし難しいマーケットでもあります。日本人は質の高いサービスに慣れており、求める基準が他国と比べて高いからです。そのため、我々はサービスの質を向上させ、日本支社を作りたいと考えています。
ナガトモ:日本支社のオープン予定はいつ頃ですか?
エマン:まだ未定ですが近い将来です。その際は招待状を送りますよ。
ナガトモ:ありがとうございます。最後に我々の読者へメッセージをお願いいたします。
ニコラス:アラブには「My home is your home」という言葉があります。日本の皆様にも、まるで自分の家にいるような気持ちでF4Xのサービスを利用してほしいと考えています。すべての人を歓迎します。ぜひご利用ください。
Profile
◉エマン(Ayman AL Abdbeen)
First Element Group CEO
現在のドバイ首長であるムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム オフィス代理人。
◉ニコラス(Nicholas Erekose Sim)
Fiduciary Group-Group CEO
メリルリンチアジアパシフィック、スタンダードチャータード銀行、フィリップ証券などで20年以上、上級管理職を歴任。ニューヨーク証券取引所、NASDAQ、香港証券取引所などで著名な中国企業のIPOを主導した経験や、Anbang Insurance Groupの投資部門では2,000億米ドル以上のグローバル資産を管理した経験もある。現在はFiduciary Groupにて証券仲介や投資銀行サービスを提供するフィンテックプラットフォームを展開。UAE初となる変動持分事業体モデル(VIE)によるアブダビ証券取引所へのIPO実現や、中国企業の中東市場への進出のサポートなども行っている。これまでの金融やフィンテック分野での知見を活かし、Fintech4xではマネジメントチームとして指揮を取っている。また、世界トップクラスのIQを持つ団体として知られているメンサの会員でもある。
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