サマリ
1. 日本版CARFの報告義務は取引主体に限定される
日本版CARFでは、暗号資産交換業者や金融商品取引業者など「取引」を業として行う事業者が報告義務の対象となる。一方で、単なる保管や移転のみを行う事業者は対象外とされており、制度の適用範囲は限定的である。
2. 制度の実効性確保のための調査権限と罰則が整備
税務当局には帳簿検査や資料提出を求める権限が付与されており、不提出や虚偽報告には罰則(拘禁刑や罰金)が科されるなど、制度の実効性を担保する仕組みが整備されている。
3. 情報把握の限界と制度全体の課題も
現時点では国内居住者の情報は自動的に税務署へ共有されないほか、CARF非参加国の取引所に関する情報も取得が困難である。取引所内取引のブラックボックス性もあり、制度の実効性や今後の改善が課題となっている。
前回に引き続き、日本版CARFの概要を整理した後、その問題点を確認します。
まず日本版CARFにおいて、所轄税務署長に報告事項を提供する義務を負っているのは、次に掲げる「報告暗号資産交換業者等」です。
- 資金決済法2条16項の暗号資産交換業者
- 資金決済法2条12項の電子決済手段等取引業者
- 金融商品取引法2条9項の金融商品取引業者
このように、顧客との間で暗号資産等取引をすることが想定される者として国内法で規定されているものが列挙されています。
ただし、暗号資産等取引のうち1~3のいずれかを業として行う者だけが、報告暗号資産交換業者等となります。
CARFにおいては、暗号資産の「保管」や「移転」のみを行う事業者は報告義務者とはされないため、日本版CARFにおいても、暗号資産等の「保管」や「移転」のみを行う事業者を報告暗号資産交換業者等の範囲から除外しているのです。