DAT(Digital Asset Treasury)企業とは、ビットコインなどの暗号資産を企業の準備資産として大量保有する企業を指す。
代表例として米Strategy社などが知られるが、これらDAT企業には、暗号資産価格が企業の平均取得単価を下回ると「負の循環」に陥りやすい構造的欠陥がある。
まず、保有資産の評価損が拡大してバランスシートが毀損すれば、株価の下落を招き、企業の資金調達力は低下する。低株価での増資は株式の希薄化を招くため実行が難しく、新規の暗号資産を購入する余力も失われる。さらに市場では「資産を売却せざるを得ないのではないか」という懸念が強まり、それが暗号資産価格そのものを押し下げる要因となる。
財務悪化が長引けば、上場維持すら危うくなる。米市場では、債務超過や継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)への不安が顕在化した企業に対し、改善計画の提出や厳格な審査が行われる。ここで資本回復の見込みが立たなければ、上場廃止に至る恐れがある。 日本の東証スタンダード市場も同様に基準は明確だ。純資産や時価総額などの維持基準に抵触した場合、原則1年間の改善期間が与えられるが、期間内に適合できなければ監理・整理銘柄を経て上場廃止となる。資金調達を外部に依存して暗号資産を取得し続けるDAT企業にとって、この制度的リスクは無視できない。
※画像はAIにより生成こうした企業の動向は、暗号資産市場全体にも影響を及ぼす。これまでDAT企業は継続的な買い手として市場を支えてきた。そのため、彼らの調達力低下は単なる「売りの増加」に留まらず、「買い需要の消失」という形で市場構造を変質させる。結果として、価格の上昇力は著しく鈍化するのだ。
結論として、「価格下落 → 評価損拡大 → 株価下落 → 調達力低下 → 購入停止・売却懸念 → さらなる価格下落」という負のスパイラルが形成されやすいのが、DAT企業の抱える本質的なリスクである。
(執筆日:2026年2月6日)
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