──ビットコインとイーサリアムは8月に過去最高値を更新しました。改めて最高値を更新した要因と、その後の推移について解説をお願いします。
仮想NISHI:8月は史上最高値を更新したものの、その後は低調な推移となりました。最高値更新の主因としては、ベッセント財務長官がFRBに対して利下げ要求を行ったとの報道があげられます。金利を生まないビットコインを始めとする暗号資産にとって、利下げなどの金融緩和は上昇圧力になりやすく、日本時間8月14日明朝にビットコインは史上最高値を更新しています。
しかし同日夜、ベッセント財務長官が連邦政府のビットコイン準備金について「150億〜200億ドル規模の没収資産のみで構築し、新規購入を行わない」と発言したことに加え、FRBへの利下げ要請を行わないと前言を翻したため、市場は急落しました。特に、米政府が税金を用いたビットコイン準備金を否定した点は大きな失望を招いた形です。
加えて、トランプ大統領当選時に共和党のシンシア・ルミス上院議員が掲げた100万BTCの準備金公約が3月以降進展していないことや、関税収入を原資とする新規取得を模索していたホワイトハウス暗号資産評議会のボー・ハインズ事務局長が退職したことは、米国の準備金構想を大きく停滞させた要因です。これが8月下旬の停滞の最大要因といえます。
──記事執筆時点では9月のFOMC会合で利下げが行われる可能性が高まっていますが、これによる影響は今後どの程度市場にあらわれると思いますか? あるいは、市場は9月の利下げをすでに織り込んでいるのでしょうか?
仮想NISHI:市場では、9月6日の米雇用統計が軟調であったことから、利下げの可能性はFedウォッチで98%超とされ、ほぼ織り込み済みの状況です。半減期翌年の年末は金融緩和政策が取られやすい傾向があり、暗号資産にとって強い追い風となる可能性が高いでしょう。したがって、9月FOMCでの利下げはすでに織り込みが進んでいるものの、正式決定がなされた場合には市場の追随的な買いが発生すると思われます。