2026年の暗号資産市場に影響を及ぼす可能性を秘めたテーマとは? 仮想NISHI Vol.4

2026/01/30 10:00
仮想NISHI
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2026年の暗号資産市場に影響を及ぼす可能性を秘めたテーマとは? 仮想NISHI Vol.4

2025年の暗号資産市場の振り返り

サマリ

1. 2025年の暗号資産市場は「期待と失望が交錯した成熟の年」

2025年の市場は、トランプ政権への期待、制度整備の進展、トレジャリー企業の台頭など複数の上昇要因があった一方で、政策の具体化遅れやステーブルコインのディペッグ、DeFiでの事故が相次ぎ、大きな調整も経験した。結果として、暗号資産市場は成長余地を示しつつも、構造的リスクとリスク管理の重要性が強く意識される年となった。

2. 2026年最大のテーマは「ステーブルコインを軸とした実需拡大と制度整備」

2026年の暗号資産市場に最も大きな影響を与えるのは、米国で施行されるジーニアス法(GENIUS Act)を起点としたステーブルコイン分野への本格参入である。大手金融機関、決済事業者、Web3.0企業が参入することで、暗号資産が決済・送金といった実体経済と直接結びつき、市場構造は投機中心から実需主導へと変化していく可能性が高い。加えて、SECとCFTCの管轄を整理するクラリティ法案は、異業種参入を後押しする重要な制度的転換点となる。

3. 「半減期アノマリー」は弱まり、2026年は制度と実需で評価される市場へ

これまで語られてきた半減期アノマリーの背景には、大統領選挙と金融緩和が重なる流動性要因があった。しかし2026年は、金融政策が比較的緩和的に維持される可能性がある一方で、価格形成は単なるアノマリーでは説明しきれなくなる。今後の暗号資産市場は、制度整備の進展とステーブルコインを中心とした実需拡大を軸に、中長期的な価値で評価されるフェーズへ移行していく年になると考えられる。


──2025年のビットコインは結果的に年初の価格を下回り終えました。改めて2025年の暗号資産市場はどのような年だったのか考えをお聞かせください。

仮想NISHI:2025年の暗号資産市場は、期待と現実のギャップが顕在化した1年であったと総括できます。年初時点では、ビットコインを中心に市場参加者の期待値は過剰な水準まで高まっていました。

しかし結果として、ビットコイン価格は年初の水準を下回って年末を迎えることとなり、この事実は多くの投資家にとって予想外の展開であったといえます。

2025年の相場動向は、5つのサイクルにわけて捉えると理解しやすいでしょう。

まず、2024年10月から2025年1月末まで(第1期)は、トランプ大統領就任への期待を背景とした上昇相場があげられます。

この期間、市場ではトランプ政権によるクリプトフレンドリーな政策転換への期待が高まり、シンシア・ルミス上院議員らが提唱した「米政府による100万BTC準備金構想」なども話題を集めました。

実際、大統領就任式前後にはビットコインが当時の史上最高値を更新し、トランプトークンが急騰するなど、強い期待相場が形成されました。

次に、2025年2月から4月(第2期)は、いわゆる「トランプ失望相場」でした。

就任前に織り込まれていた政策期待の多くは、2025年前半において具体化せず、3月に開催された「ホワイトハウス暗号資産サミット」でも市場が期待するような明確な成果は示されませんでした。

加えて、関税引き上げを巡る政策不透明感から株式市場が混乱し、リスク資産全般が売られる流れのなかで、暗号資産市場も下落基調を強めました。

しかし、4月から7月(第3期)にかけては、トレジャリー企業を中心としたあらたなテーマが市場を下支えしました。特に日本市場では、ビットコインを財務戦略に組み込んだメタプラネット社の株価が急騰し、時価総額ランキングで上位100社以内に入るなど、大きな注目を集めました。

海外のStrategy社を始めとするトレジャリー企業全般の株価上昇を通じて、これまで暗号資産市場と一定の距離を保っていた株式投資家層からの資金流入が確認された点は、2025年の重要な特徴といえます。

続く8月から10月初旬(第4期)は、米下院における「クリプトウィーク」を契機としたサマーラリーでした。この期間、米下院では暗号資産関連の重要法案3本が可決され、トランプ大統領がこれらに明確にコミットしたことが市場に好感されました。

なかでも、ステーブルコインを法的に定義した「ジーニアス法(GENIUS Act)」の成立は大きな意味を持ちます。同法は、世界各国の金融機関や決済事業者によるステーブルコイン参入を後押しする契機となりました。

一般に、ステーブルコイン発行残高の増加は、暗号資産市場における量的緩和と同様の効果を持ち、価格上昇要因として機能します。この流れのなかで、ビットコインは10月6日に史上最高値となる126,000ドルを記録しました。

しかし、10月から12月(第5期)にかけて、市場は再び大きな調整局面を迎えます。10月11日に発生したUSDeのディペッグを発端とする大規模清算は、後に「10・11ショック」と呼ばれる事態へと発展しました。

さらに、Balancerにおける資金流出事故や、一部アルゴリズム型ステーブルコインのディペッグが相次ぎ、市場心理は急速に悪化しました。

この一連の構造は、かつて市場全体を急落させた「テラ・ルナショック」のミニバージョンともいえるものであり、多くの市場参加者やマーケットメーカーが大きな損失を被りました。結果として、回復には相応の時間を要する相場環境となったわけです。

以上を踏まえると、2025年の暗号資産市場は、政策期待、制度整備、金融インフラの進展といったポジティブ要因と、ステーブルコインを巡る構造的リスクが交錯した1年であったといえます。

市場は成熟に向かう過程であらたな成長エンジンを獲得しつつも、同時にリスク管理の重要性を改めて突きつけられた1年でした。

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