サマリ
1.市場成熟により「放置で儲かる時代」は終了、戦略は高度化へ
かつてのように買いポジションを持つだけで利益が出る相場は終わり、現在は環境変化に応じた戦略が不可欠となっている。特にDAT(デジタル資産トレジャリー)企業の増加は市場過熱の兆候とされ、相場のピークアウトを示唆する要因となった。
2.DEX・ボット・TGEを軸にトレード手法が進化
中央集権型取引所の制約が強まるなか、パーペチュアルDEXを活用した裁定取引やトレーディングボットの活用が主流に。加えて、TGE(トークン発行)に伴うポイント獲得など、中長期的なリワードを見据えた戦略が重要性を増している。
3.規制と既存金融の影響で環境は変化、それでもあらたな「戦い方」は生まれる
規制強化や既存金融の参入により、クリプト市場は従来の自由度を失いつつある一方、DEXはその価値観を取り戻す動きとして注目されている。環境が変わってもあらたな優位性(エッジ)は必ず生まれ、トレーダーはそれを見つけ続ける必要がある。
クリプトアナリストとして活躍する仮想NISHI氏が「今、この人に話を聞きたい」と感じた人物とともに“本音”で最近の暗号資産業界の動向などについて語り合う本企画。今回は、エンジニア、トレーダーとして古くから暗号資産に触れてきた「ヨーロピアン氏」と、価格下落局面におけるトレード戦略や、日々変わりつつある“クリプトの今と昔”について話を深めていく。

仮想NISHI:ヨーロピアンさんはエンジニア兼暗号資産トレーダーとして日々トレードをされているかと思いますが、ここ最近の相場を踏まえて取引戦略は何か変わりましたか?
ヨーロピアン:強気のイケイケムードもないので、いわゆるモメンタムトレードというか、買いポジションさえ作っていれば何も考えなくてもとりあえず儲かったというフェーズは過ぎ去ったと感じています。その変化には対応していかなくてはならないとは考えています。
ただ、こうした兆候はもともとみられつつありました。その典型がいわゆるDAT(デジタル資産トレジャリー)企業だと思います。
振り返ってみると、バブルが最終局面に差しかかる時には、いわば「最後のプレーヤー」があらわれるものです。後からみれば、「なぜこんなお金が流れ込んできていたのか」と思うような、決して合理的とはいえない投資資金が市場に入ってくる。結果として、そうしたスマートとは言い難い投資をしている層が最後に大きなダメージを受けることが多いです。
DAT戦略を展開するための資金源は株主など他人のお金であり、モラルハザードが起きやすい上、レバレッジをかけてビットコインを買い貯めていくようなものです。これは明らかに良くない兆候であると感じましたし、結果的にビットコインは昨年10月に最高値をつけた後、大きく価格を落としました。
ですので、DAT企業が増えていく度に相場のピークアウトが近づいていることを感じ、ここ直近ではポジションを持つ温度感を下げていました。
仮想NISHI:今の市況は2017年から2018年にかけての相場の雰囲気に似ているなと感じます。2018年は春からずっと横ばいで推移し、年末に急落したのですが、もしこの歴史をなぞるなら、「DAT企業が立ち行かなくなり年末に大クラッシュが起こる」というストーリーもあり得そうですよね。
ヨーロピアン:でも、それが起きたらある意味「あく抜き」ができたなとも思うんです。DAT企業やファンドが売却し、焼け野原のようになった後でも、そこからあたらしい芽が出てくる。クリプトはそういうサイクルでずっときていますので。
仮想NISHI:ちなみに、暗号資産市場では数年おきに大きな下落局面が訪れますが、そうした時にどのような心理状態になりますか?
ヨーロピアン:正直「無」ですよね(笑)。もう何度も経験しているので。むしろ昔の方がインパクトは強かったと思います。1日で50%下落するようなことも普通にありました。過去には取引所でハッキングが起こり2時間で30%下がるといったこともありましたからね。日本人が地震に慣れているといわれるのと同じで、10%前後下落しても何も思いません。