The NISHI Talk : Crypto Conversations『DeFiの「真の分散性」と暗号資産業界の課題』|仮想NISHI × 内田善彦

2026/05/29 10:00 (2026/05/29 16:47 更新)
仮想NISHI
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The NISHI Talk : Crypto Conversations『DeFiの「真の分散性」と暗号資産業界の課題』|仮想NISHI × 内田善彦

“完全な分散型”というDeFiの矛盾

サマリ

1.「完全な分散型」の矛盾

近年多発するハッキングへの対応から、誰も責任を負わないというDeFiの建前と運用のズレが浮き彫りになった。受益者が存在する以上、金融や経済安全保障の観点から、今後は当局による監督や規制の対象へ移行していく可能性が高い。

2.米国の法整備と実装の壁

米国では暗号資産関連の法案が成立しつつあるものの、具体的な制度設計や執行の実装は先送りされている部分が多く、不確実性はすぐには解消されない。既存金融の強いロビー力や政権内の倫理的論点も、法案の進展を阻む要因である。

3.日本市場の課題と視点の刷新

日本が今後発展するには、規制当局が細部を詰めすぎてイノベーションの芽を潰さないよう見直すことが不可欠だ。さらに、大手金融機関が技術を深く理解し、従来の視野の狭さを振り返って積極的に投資や判断を行う姿勢が求められる。


クリプトアナリストとして活躍する仮想NISHI氏が「今、この人に話を聞きたい」と感じた人物とともに“本音”で暗号資産業界の動向などについて語り合う本企画。今回は、暗号資産規制等に精通する周南公立大学教授の内田善彦氏との対談を通じて、相次ぐハッキングや流動性ショックが発生しているDeFiの「真の分散性」、そして米国の規制動向や日本市場の課題について議論を深めた。

Kasou Nishi talk 1

仮想NISHI:最近、DeFiでハッキングや流動性ショックが相次いでいます。そこで議論になっているのが、「DeFiはそれほど分散型ではなかったのではないか」という点です。特に4月にハッキングが多発し、損失補填や顧客保護の仕組みをどうするのかという議論が出てきていますが、内田さんはどのように考えていますか?

内田善彦(以下、内田):そもそも、DeFiが本当に完全な自動執行で、誰も責任を持たない仕組みであるならば、損失補填という発想が出てくること自体、本来おかしなことです。ところが、実際には何か問題が起きた時に補填しよう、顧客を保護しようという動きが出てくる。そうなると、そこには何らかの意思決定者や受益者が存在するのではないか、という話になります。

仮想NISHI:つまり、「コードがすべて」「誰も責任を負わない」という建前と、現実の運用にズレが出てきているということですね。

内田:その通りです。DeFi事業者やDeFiを推進してきた人たちが期待していた「何をやっても規制の対象外になる」という考え方は、実態とは乖離していた可能性があります。

既存金融の目線からみると、通常時に利益を得ている人がいて、緊急時には一定の責任を負うべき人がいるのであれば、それは規制されてしかるべき事業ではないか、という見方になります。

仮想NISHI:一方で、DeFiはノンカストディアルであり、ロケーションフリーでもあります。法人登記の所在がみえにくい、誰が実際に運営しているのかもわかりにくい。そのため、既存の法律でどう規制するのかは難しいですよね。

内田:難しいですね。ただ、先進国の規制当局が「DeFiは自動執行だから規制対象外でよい」と整理する流れは、今後高い確率で止まっていくと思います。少なくとも、金融に近い機能を持ち、顧客資産や市場流動性に大きな影響を与えるのであれば、何らかの監督や規制の対象としてみられるようになるでしょう。

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