暗号資産

10月の注目材料は「ビットコイン現物ETF」の承認可否 注目銘柄は【柴犬コイン(SHIB)】│マネックス証券 松嶋真倫

2023/09/28松嶋 真倫
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10月の注目材料は「ビットコイン現物ETF」の承認可否 注目銘柄は【柴犬コイン(SHIB)】│マネックス証券 松嶋真倫

暗号資産の市場動向を解説

みなさんはじめまして。
マネックス証券で暗号資産アナリストを務める松嶋真倫a.k.a「まりん」です。

この度、Iolite本誌の連載企画として、ビットコイン相場の振り返りと今後の相場展望について解説することになりました。また「まりんの注目銘柄」と題し、私が今注目する個別銘柄についても紹介していきます。

少しでも読者のみなさまに役立つ情報を発信できるよう努めますのでよろしくお願いいたします!

8月のビットコイン相場振り返り

8月のビットコインは米国金利が上昇するなかで軟調に推移しました。米国における堅調な経済指標と根強いインフレを受けて年内の追加利上げへの懸念が強まりました。前回のFOMC議事要旨で参加者の意見がわかれていることが明らかになり、金利見通しの不透明感が強まるとBTC=370万円台まで大幅下落しました。

また航空宇宙会社のスペースXがビットコインを一部売却したとの報道により、同社のCEOを務めるイーロン・マスク氏との関わりから思惑的な売りも広がりました。その後、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演内容に注目が集まりましたが市場予想通りの無難な発言となり、ビットコインは買い戻しが優勢になりました。

そのなか、米国において資産運用会社のグレースケールがSECとの訴訟問題で勝訴したと伝わり、ビットコイン現物ETFへの期待からBTC=400万円台を回復しました。しかし、31日にSECがブラックロックを含む複数の会社による申請に対する決定を10月まで延期すると発表し、失望売りによって再びBTC=370万円台まで下落しています。

そのほか、8月は米国の銀行格下げや中国の不動産バブルなど懸念材料が相次ぎ、金融市場全体でリスクオフムードが広がりました。カーブ・ファイナンスなど主要なDeFiプロジェクトでのハッキング事件や、米国における暗号資産規制の不透明感も相場の重しとなり、ビットコインの価格は前月比で約9%下落しました。

これは単月でみると株式よりも下落幅が大きいですが、年初来では依然として70%超のパフォーマンスで最大となっています。

10月のビットコイン相場展望

10月のビットコインは米国の金融政策を巡る動向に左右される展開が継続すると予想します。月末に予定されるFOMCにかけては経済指標や当局者発言などを見極める動きとなり、その内容次第で利上げ停止観測が強まれば、リスクオン買いが強まることは考えられます。

年内残り1度の利上げが大方の予想となっており、仮に追加利上げの可能性が浮上した場合でも相場の下げは限定的になると思われます。上述したように、米国のSECによるビットコイン現物ETFの審査も注目材料です。

SECがその決定を再度先延ばしにした場合には、相場はネガティブに反応するでしょう。一方、グレースケールとブラックロックを筆頭にいずれかの申請分が承認されることがあれば、ビットコインの買いが急速に強まるでしょう。

SECとバイナンスの訴訟に関連して何か悪材料が出る懸念は残っていますが、米国の司法界では暗号資産に前向きな判決が続いており、暗号資産規制の不透明感も次第に薄れることが期待されます。これらの要素が好材料としてあわさった時にはBTC=500万円台まで高騰する可能性も考えられます。

まりんの注目銘柄:柴犬コイン

「まりんの注目銘柄」では、マネックスクリプトバンクが提供するMCBクリプト格付けの評価対象となっている30銘柄を中心に、直近で大きなニュースやアップデートがあったアルトコインについて紹介します。

初回なのでMCBクリプト格付けについても簡単に説明しましょう。この格付けモデルでは流動性や法規制リスク、集中リスク、ハッキングリスクなど7つの項目から30種類の暗号資産を相対的に評価しています。暗号資産への投資を検討する際に投資家がチェックすべき重要な要素を選定し、それらにスコアを付けることによって、各銘柄の立ち位置をわかりやすく示しています。

今回は評価対象の1つである【柴犬コイン(SHIB)】について紹介します。

柴犬コインはその名の通り、柴犬をモチーフとした暗号資産です。同じ犬をモチーフとしたドージコイン(DOGE)と同様にイーロン・マ スク氏による支持をきっかけに大きな注目を集め、今では人気のミームコインの1つとして知られています。

2023年8月末時点で時価総額は約7,000億円規模となっており、CoinMarketCapのランキングでも16位に位置しています。

そんな柴犬コインはイーサリアム互換のレイヤー2ネットワーク「シバリウム」を公開したことが話題となっています。ミームコインというと特別なユーティリティのないものが一般的ですが、運営側はシバリウムの開発によってその地位を脱却し、柴犬コインを本格的な暗号資産プロジェクトとして発展させる計画を立てています。

SHIBはシバリウムの手数料として使用される予定であり、今後はイーサリアムのようにシバリウム上でさまざまな分散型アプリが作られることが期待されています。

シバリウムは公開してすぐにネットワーク内で一時的な障害が発生し、不安の残るスタートとなりました。しかし、今後はミームコインとしての人気をそのままに数多くのアプリやトークンの誕生によってSHIBエコシステムが拡大し、それによってSHIBの価格も高騰する可能性はあるでしょう。


Profile


◉松嶋 真倫(Masamichi Matsushima)
マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ 暗号資産アナリスト
大阪大学経済学部卒業。都市銀行退職後に調査会社Baroque Streetのメンバーとして暗号資産・ブロックチェーン業界の業界調査や相場分析に従事。マネックスクリプトバンク株式会社では業界調査レポート「中国におけるブロックチェーン動向(2020)」、「国内外のサプライチェーン領域におけるブロックチェーン活用事例と課題」「Blockchain Data Book 2020」などを執筆。国内メ ディアへの寄稿も行なう。2021年3月より現職。

◉マネックスクリプトバンク株式会社
マネックスクリプトバンク株式会社は、2017年12月に設立され、暗号資産やブロックチェーンのサービスに関する調査、研究、企画、開発及びコンサルティングを提供しています。東証一部上場企業であるマネックスグループ株式会社の100%子会社であり、暗号資産・Web3.0・ブロックチェーンに関するニュースレターやリサーチ、相場展望を配信しているほか、ビットコインがもらえる二ュースアプリ「Cheeese」などのサービスを運営しています。【HP】https://cryptobk.jp/

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