[ビットコイン相場]
半減期でバブル相場は再び訪れるのか?
マネックス証券で暗号資産アナリストを務める松嶋真倫 a.k.a まりんです。今回は特別編としまして、今年4~5月頃に予定されているビットコインの「半減期」とそれによる相場への影響について解説します。
2024年1月に米国でビットコインの現物ETFが承認されました。これを受けてビットコインは日本円・ドル建て双方で史上最高値を更新するまで高騰し、今回も半減期アノマリーが継続する期待が高まっています。
半減期とは、ビットコインの新規発行量が約4年に1度のペースで半減するイベントで、バブル相場の周期イベントとして大きな注目を集めています。以下では、過去3回の傾向を振り返りながら、4回目となる今回の半減期後の相場を予想します。
半減期ごとに見るビットコイン価格の推移
下記図表はビットコインの半減期と価格動向をまとめたものです。
これをみると、過去3回とも半減期時点から翌年末にかけて価格が大きく上昇している一方で、その上昇率は回数を重ねるごとに縮小していることがわかります。これは時価総額が大きくなるとともに、価格の伸び代も小さくなっているためです。
今回も同様の傾向が継続するという前提で、半減期時点の価格をBTC=50,000ドルと仮定した場合、翌年の2025年末にかけては上昇率を200%と小さく見積もっても、BTC=100,000ドルに達する予測になります。
一方で、半減期ごとにビットコインの最高値から底値までの下落率に目を向けると、これまで最高値の翌年に起きた大事件をきっかけに80%前後の暴落を繰り返しています。
4回目の半減期で、仮に2025年にBTC=100,000ドルを超える水準まで高騰した場合であっても、その後に何か暴落を引き起こす大事件が起こりうることには注意しなければなりません。現物ETFなどにより、金融市場のお金が暗号資産市場へ流れやすくなっているため、次のショックは金融市場を巻き込んだ大規模なものになる恐れがあります。
まりんの注目銘柄:チェーンリンク(LINK)
今回は主要なオラクルプロジェクトの1つとして知られるチェーンリンク(LINK)について紹介します。
通常、ブロックチェーンでは記録されるデータがアドレスやトランザクションなどに限定されているため、分散型アプリ(以下、dApps)をブロックチェーン上で開発する際には、外部から価格情報や気候情報など各種データを取り込む必要があります。それらのデータのやり取りを仲介するのがオラクルであり、その最大手がチェーンリンクになります。
チェーンリンクは暗号資産やNFTの価格データのほか、為替や株価などのレートを取得することができ、今では金融分野を中心とするdAppsで利用されています。また最近では任意のAPIから各種データを取得できるあたらしい機能を発表し、今後はブロックチェーンゲームやそのほかの非金融領域においてもオラクルの利用拡大が予想されます。
オラクルを通じて配信されるデータの信頼性を分散的なシステムでどこまで担保できるのかという課題は残りますが、dAppsの発展、すなわちWeb3.0の発展を支える1つの機能としてチェーンリンクはその価値を伸ばしていくでしょう。
Profile
◉松嶋 真倫(Masamichi Matsushima)
マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ 暗号資産アナリスト
大阪大学経済学部卒業。都市銀行退職後に暗号資産関連スタートアップの創業メンバーとして業界調査や相場分析に従事。2018年、マネックスグループ入社。マネックスクリプトバンクでは業界調査レポート「中国におけるブロックチェーン動向(2020)」や「Blockchain Data Book 2020」などを執筆し、現在はWeb3ニュースレターや調査レポート「MCB RESEARCH」などを統括。国内メ ディアへの寄稿も多数。2021年3月より現職。
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