日本発Web3.0セキュリティ会社のCEOが顕在化するセキュリティの課題を語る
去年1年間でWeb3.0市場全体での不正な資金流出は18億ドルとなりました(HACKD3D 2023 ANNUAL REPORT)。
この数字は2022年の被害額である37億ドルと比べて約半分ほどの数字となっています。減少した要因として考えられるのは、技術的なアップデートとユーザーリテラシーの向上、そしてベアマーケットという市場環境も影響しているでしょう。
弊社が提供するセキュリティサービス「KEKKAI」も去年ユーザーグロースを達成し、被害抑制の一因になれたと感じています。
しかしながら、依然として大きな被害がWeb3.0領域において発生しており、今年来年で期待されているブルマーケットによる時価総額の上昇も伴って、被害額がさらに増加する可能性があります。
被害の内訳を分析すると秘密鍵の流出が被害が、47件と少ないにも関わらず、全体の半分近い被害額となっています。この部分の技術的なアップデートはKEKKAIでも注目しており、新サービスのコード監査事業「KEKKAI Audit」でも入念にチェックする箇所でもあります。
2024年のWeb3.0セキュリティ動向
今年はビットコインの半減期やイーサリアムの「Dencun(デンクン)」アップデー トなどのイベントにより、非常にポジティブな動きが予想でき、これは最近の値動きをみていても明らかでしょう。
これは角度を変えてみると、あたらしいユーザーの流入にもつながるといえます。
その反面、新規ユーザーの増加はより多くのハッキング被害を生むことにもつながる可能性があり、2022年に記録した過去最高の被害額を更新することも十分考えられます。
ユーザー個人がこのようなリスクの存在を認識し、対策することが必須です。私たちは、フィッシングによる被害抑制のためアプリとブラウザ拡張機能を開発しました。
現在も数百億のユーザー資産の保護に貢献しています。ぜひ少しでも暗号資産の管理などで不安を感じたら、私たちのプロダクトを活用していただき、それがより多くの方々の資産保全につながれば幸いです。
また、KEKKAIでは市場のトレンドを注視しています。やはり皆さんが注目している領域というのは、当然ハッカーたちも注目しており、セキュリティソリューションが求められるケースが多くなります。
私たちKEKKAIは最近、ビットコインエコシステム周りのセキュリティについて積極的な研究開発を行っています。
特にWeb3.0のような領域に投資する場合、フィッシングのほかに運営の資金の持ち逃げ、いわゆる出口詐欺が非常に多く見受けられます。
Web3.0領域に足を踏み入れるユーザーの皆さんには、くれぐれもこうした詐欺に注意してもらえればと思います。
とはいえ、このタイプの詐欺は気付きにくいのも事実です。投資家やチーム、ホワイトペーパーなどを確認し、わからない場合には信頼できる方にアドバイスを求めるのも良い手でしょう。
しかし、インフルエンサーなどを始め、第三者の意見を鵜呑みにすることは大変危険ですので、どこまでいっても注意深く状況を判断する意識は忘れないようにしてください。
https://kekkai.io
Profile
◉杜 瑪(To Ma)
株式会社KEKKAI CEO
高校卒業後、中国から来日し、大学在学中に起業。2023年1月には株式会社KEKKAIを設立。ブロックチェーンセキュリティーソリューションの提供等を展開する。現在はトランザクションのシミュレーション分析により、危険検知ができるWeb3.0セキュリティプロダクト「KEKKAI Plugin」や、NFT詐欺検出・取引シミュレーションができるAPI・SDKサービス、法人向けのWeb3コード監査事業をリリース。今後は現状のサービス向上と、さまざまな角度からユーザーのセキュリティ性改善のための製品をリリースし、業界全体の環境改善に貢献している。
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