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トランプ関税と米国の製造業 IT大国は製造業を復活させられるか 佐々木俊尚 Tech and Future Vol.14

2025/05/30 10:00
佐々木 俊尚
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トランプ関税と米国の製造業 IT大国は製造業を復活させられるか 佐々木俊尚 Tech and Future Vol.14

テクノロジーだけで国家は支えられるのか?

──トランプ大統領の“思い付き”にもみえる相互関税措置により、世界経済が大混乱を迎えています。それよりも疑問に思うのは、米国の製造業という基幹産業が衰退した場合、米国が得意とするデジタルテクノロジーだけで国内経済を支え切れるものなのでしょうか。

佐々木俊尚(以下・佐々木):話の入り口として、まずは大統領の就任式にイーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏といったビッグテックの顔ぶれが並んでいたことを考察していきます。ビッグテックは基本的にグローバリズムや自由貿易寄りの立場なので、本来ならばトランプ大統領とは相容れないはずなんです。でも、先の就任式をみると、ビッグテックの面々と仲良くしていて、ちょっと矛盾しているようにみえますよね。そこが、今の米国の矛盾を象徴している気がするんです。

もともと米国は日本と同じように製造業が中心だったんです。それが日本の高度成長が一段落した後に、米国は情報やサービスの産業に方向転換していきます。製造は中国や東南アジアにアウトソーシングして、代わりに自国は金融やITにシフトすることで、先進国として生き残ろうとしたわけですね。

英国の経済学者であるデヴィッド・リカード氏が唱えた「比較優位論」です。米国の基幹産業だった製造業は中国や東南アジアに任せて、自分たちはもっと付加価値の高い宇宙やIT、金融といった分野に集中した方が効率的で儲かるという発想が前提になっていました。

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