サマリ
自動翻訳による市場拡大
Xの自動翻訳機能により言語の壁が消滅し、日本語圏に閉じていた市場が世界規模に拡大する。投稿がバズるスケールが1桁上がり、一般ユーザーやクリエイターが巨額の収益を獲得するチャンスが飛躍的に高まると指摘されている。
グローバルな炎上リスク
言葉の壁がなくなることで、国内の表現が海外の価値観と衝突し、世界規模で炎上するリスクが高まる。企業は広告や情報発信において、当初から海外での見え方を前提とした慎重なブランド防衛策を講じる必要がある。
グローカル2.0の到来
ローカル文化が世界で再解釈されるグローカル2.0が進む一方、海外の過激な政治対立が流入し国内の分断が先鋭化する懸念もある。翻訳精度の向上に伴い、文化交流と外交・文化的摩擦の両面に注視しなければならない。
──X(旧Twitter)が突如アップデートされ、世界中の人と母語で自動的にやり取りできるようになりました。いまだ不完全とはいえ、IT技術により言語の障壁がなくなることで、どんな未来が訪れるでしょうか?
佐々木俊尚(以下、佐々木):Xの自動翻訳機能は結構インパクトが大きくて、各所に波及しているのを感じます。たとえば広告業界の知人からは、「今後はネット広告を出す際に、海外からどうみられるかまで意識しなければならなくなった」という話を聞きました。
これまで日本は、「日本語」という独自性の高い言語に守られた市場のなかでビジネスが成立してきました。人口約1億2,000万人という規模は、テレビや新聞、出版といったメディア産業が国内だけで成り立つには十分であり、必ずしもグローバルを強く意識する必要がなかったわけです。
しかし、インターネットの普及以降、この構造に変化があらわれました。2000年代後半のブログブームでは、広告収入を目的とする「プロブロガー」が登場しましたが、日本のブロガーの収入は「英語圏の約10分の1程度」といわれていました。
これは、日本語の市場規模が約1億人に限られるのに対し、英語圏は最大10億人規模に及ぶため、ブログ収入に大きな差が生じたためです。こういう問題が一気に解消されて、より混ざり合った世界が訪れる可能性があると考えています。
現時点ではどこまで広がるかは不明ですが、日本語のX投稿がこれまで5,000〜10,000いいねで「すごい」と話題になるレベルが、50万〜100万規模までバズる世界が来るかもしれない。
言葉の壁がなくなればバズる規模のスケールが1桁上がり、普通のユーザーでも10〜20万円、トップ層なら何百万円単位の収益も見込めます。