10月の振り返り
ビットコインは8月と9月が弱く、10月は強いという季節性があり、「Uptober」と呼ぶこともありますが、その月初は売りから始まりました。イスラエルがレバノンへ地上侵攻を開始し、さらにはイランがイスラエルを弾道ミサイル等で攻撃するなど、両者の全面衝突にエスカレートする事態を懸念し、ビットコインは60,000ドルを割り込みました。
しかし、予想市場でトランプ氏がハリス氏を再逆転、リードを広げると「もしトラ」トレードが再開。ビットコイン現物ETFフローが2-3月の水準に回復すると、ビットコインは7月後半の「ほぼトラ」トレードで付けた戻り高値70,000ドルに肉薄しました。
また、今年3月の史上最高値更新を演出したビットコイン現物ETFの買い手の多くは個人でしたが、900社以上にのぼる資産1億ドル超の機関投資家が少額の打診買いを開始しています。こうした機関投資家が本格的に購入を始めるETFブーム第2弾が今年後半以降に始まると早くから予想されていました。
8月から9月にかけては政権がどちらに転ぶかわからず、機関投資家としては手が出し難い状況となり、ETFフローも低迷しましたが、10月に入りトランプ氏がリードを拡大、ハリス氏も暗号資産への態度を軟化させたことで、選挙結果を待たずにETF買いフローが拡大し始めた形です。11月5日にトランプ氏が勝利した場合は、さらに大きなフローが期待され、年末にかけて大きく上昇しそうです。
供給面からみた12月の見通し
ビットコインの供給は現在1日450BTCで一定ですが、半減期によって約4年毎に半分になります。従来のパターンでは、半減期の1年〜1年半前から期待先行で価格は上昇し、半減期を迎えると、そうしたポジションの利食いに加え、半減期で収入が半分になったマイナーの投げ売りでしばらく低迷します。しかし半減期から半年〜1年ほど経過すると供給減の累積効果が効き始め、本格上昇を始める傾向にあります。
直近では今年4月に半減期を迎えており、低迷期から本格上昇期への過渡期にあるイメージです。トランプ氏が勝利することが前提ですが、11月の選挙後から本格上昇が開始し、年末には10万ドル(155円換算で1,550万円)に到達すると予想しています。
テクニカル面からみた12月の見通し
ビットコインは3月に史上最高値を付けて以降、下降チャネルを形成しています。この大きく上昇してから下降チャネルを形成するパターンを「上昇フラッグ」と呼び、レンジ上抜けを示唆しています。
セオリー的には、この上昇フラッグに入る前に39,000ドルから59,000ドルへ20,000ドル上昇しており、今回このチャネルをブレークした場合、7月末の戻り高値70,000ドルをスタート地点とすると、同じ幅で20,000ドルの上昇をみせ、90,000ドル辺りが目先の目途となります。こうした状況も加味すると、年末にビットコインが10万ドルに到達していても何ら不思議はありません。
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