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豊島区をWeb3.0のハブに——大塚駅を舞台にした大型フェス「TOKYO OTSUKA NFT FES」イベントレポート

2023/04/24Iolite 編集部
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豊島区をWeb3.0のハブに——大塚駅を舞台にした大型フェス「TOKYO OTSUKA NFT FES」イベントレポート

豊島区をWeb3.0のハブに

4月22日から23日にかけて、東京豊島区・大塚駅周辺でNFTや暗号資産、メタバースなどにフォーカスした大型フェス「TOKYO OTSUKA NFT FES」が開催された。

主催者は、NFT専門メディア「NF times」を運営する株式会社boom nowと、地元大手不動産の株式会社ironowa。本イベントは、豊島区が掲げる「国際アート・カルチャー都市構想」を推し進め、NFTクリエイターやWeb3.0起業家を大塚に誘致する文化・制度を作るという目的から開催された。

豊島区にWeb3.0の若い起業家や企業を呼び込み、グローバルIT企業へと発展していくWeb3.0スタートアップが池袋や大塚に本社を置く。そして将来的に豊島区が日本におけるWeb3.0・NFTのハブとなることが最大の目標だ。

本イベントの司会はWeb3.0インフルエンサーのゆなゆな氏が務めた。

イベントは、ironowa社が所有する大塚のビル「ba」で開催。「ba」というビル名は「魅力的な”場”を提供する」の「場」が由来している。

イベントの中心となったのは国内外で活躍するWeb3.0領域のトップランナー20名がトークセッションを行ったba01ビル。1階にある「eightdays dining」には人気NFTコレクションで有名な「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」の現物の絵画が鎮座する。

boom nowの代表である西川勇佑氏によれば、このBAYCは人気ダンス&ボーカルグループ「EXILE」の関口メンディー氏が48ETH(約2,300万円)で購入したものであるという。今回、メンディー氏と面識がありNFTとリアルアートを融合した作品を手がける「GASHO2.0」より、ironowaの武藤氏がBAYCの著作料及び絵画を購入したことで展示が実現した。

会場はWeb3.0やNFTに関心を持つ多くの人たちが集まり、イベント開催時間前から熱気に満ち溢れていた。

興味深い点として、従来のWeb3.0系イベントでは若い世代が中心になることが多いが、このセッションには老若男女が多数参加していたことがあげられる。これはまさにWeb3.0・NFTのマスアダプション化の前兆ともいえるのではないだろうか。

NFT、暗号資産、メタバース——多種多様にわたるトークンセッション

オープニングセッションでは、開催社であるboom nowの西川氏とironowaの武藤氏が登壇。

もともと知人の画家から付き合いで絵画を購入していたという武藤氏は、西川氏が渋谷で開催したNFTのイベントで初めてNFTアートを知ったという。

優れたアートでも著名でないものはまず売れない。それでも、創造力溢れる才能を持つアーティストを世に出したいという想いがそこにはあった。

将来的には、「大塚を中心として豊島区全体を使ったNFTアートイベントを開催する」ことが目標と語った。

▶︎左からboom now・西川氏、ironowa・武藤氏

2つ目のセッションの登壇者は企業変革支援事業等を手がけるエッグフォワードのChief Innovation Officerである山本大策氏とChief Growth Officerの早川裕太氏。

両者は「暗号資産ガイドラインの最新動向とNFTによる資金調達の未来」について語り合った。

山本氏は「アップバニラ(AppVanilla)」でNFTを作成・販売できるサイトの構築に関するサービスについて説明。早川氏はNFTを手掛ける起業家は「暗号資産ガイドライン」を熟読する必要性を訴えた。

▶︎左からエッグフォワード・山本氏、早川氏

次のトークンセッションは、豊島区政策経営部SDGs未来都市推進課の施策調整係長の高井敦氏と、CSV経営を実践するmoccu株式会社CEOの山田佳乃氏が登壇した。テーマは「なぜ今 大塚なのか」。

山田氏は大塚にはすでにWeb3.0スタートアップが多数集まっているとし、日々刺激を受けていると述べる。

一方の高井氏は、「スタートアップは渋谷などでオフィスを持つことを考えても家賃が高額であるため無理。その点、大塚はちょうど良い」と語った。

また、現在の大塚はかつて五反田が若いITスタートアップが集まることから「ゴタンダバレー」と呼ばれていた頃に似ているという。そうした背景から、これから「大塚ビレッジ」が始まると強調した。

▶︎左からmoccu・山田氏、豊島区政策経営部・高井氏

4つ目のトークセッションは、「Web3.0で起業!国内Web3.0スタートアップ最前線」をテーマに3名が登壇。登壇者はチケットのNFT化を手がける株式会社チケミーCEOのチケ男(宮下大佑)氏、QRでNFTを認証・確認できるサービスを展開するシンシズモ株式会社の代表・赤川英之氏、権利売買プラットフォーム「PARKET」を運営するChain Craft CEOの山崎朋征氏だ。

このセッションでは特にチケミーの人材登用に関して着目すべき点があった。チケ男氏によれば、人材は「眼の優しい人」を選んだとのこと。

また、暗号資産の冬を通じ「NFTの価値=実体経済の紐付け」がやりやすくなったとした上で、今後の展開として「ブロックチェーン×AI」を注目ポイントとしてあげた。

▶︎左からChain Craft・山崎氏、シンシズモ・赤川氏、チケミー・チケ男氏

続いてのトークンセッションの登壇者はドリコムが手がける「GGGGG」プロジェクトマネージャーの安井雄平氏、スクウェア・エニックスが開発する「SYMBIOGENESIS」プロデューサーの玉手直之氏、そしてLGG Marketing Directorの川口美樹氏がモデレーターを務める。テーマは「NFTアート×ゲームの可能性」だ。

「GGGGG」と「SYMBIOGENESIS」は共に国内発ブロックチェーンゲームとして高い注目を集める。

セッションでは、ブロックチェーンゲームが既存のゲームと異なり、開発会社とコミュニティが共に作り上げていくものである点が特徴的であると語られた。

さらに、日本にはまだ2万個ほどのウォレットしかないが、マスアダプション化するにはNFTに対する投資ではなく、ゲーム自体が面白いかどうかにかかっていると述べる。

ウォレットの普及についてはコミュニティを強くすること、しいてはゲームに対する熱量を高めることが必要不可欠とした。その上で、「Web3.0=エンタメ、投資、ユーティリティ」とし、こうした要素がマスアダプションを進めると語った。

また、ブロックチェーンゲームではコミュニティとの「AMA(Ask Me Anything=何でもきいてください)」を実施することが非常に重要で、これが売上につながる可能性がある。実際、玉手氏は海外ユーザーとAMAを繰り返す間に売上が上昇するという感触を得たという。

▶︎左からLGG・川口氏、ドリコム・安井氏、スクエニ・玉手氏

6つ目のトークンセッションは、NFTプラットフォーム「XANA」のユーティリティトークンであるXETAを複数の暗号資産取引所で上場させたことで知られるNoborderz Group Founder兼CEOのRio(Takeshi Kubo)氏。同社はNYとドバイを拠点に世界5ヵ国に事業を展開している。

セッションの相手はboom nowのアドバイサーである望月裕也氏が務めた。

XANAは日本国内で最大規模のメタバースを展開しており、世界でも3位の規模を誇るという。

セッションは「今後世界はメタバース内で1つ2つのアバターを所持する時代が来る」というRio氏の言葉が印象的に映った。

同氏はメタバース内で仕事を展開する時代が到来するであろうと述べ、「自分のAIアバターがメタバースで稼ぐ時代が来る。映画マトリックスの世界観が実現する」と語気を強めていた。

▶︎左boom now・望月氏、画面中央Noborderz Group・Rio氏

この日最後のトークンセッションとなった「日本におけるWeb3へのロードマップ」には、Web3.0領域に投資するアニモカブランズ(Animoca Brands)の日本法人であるアニモカブランズ株式会社共同創業者の岡澤恭弥氏とMetaHeroesのアドバイザーでScalably株式会社代表取締役の山本純矢氏が登壇。

Scalablyはエコシステム全体の情報を発信し続ける多言語コミュニケーションプロトコル「is Protocol」とエコシステムとコミュニケーションをつなぐ情報SaaS「EcoMedia」の開発を行っている。

岡澤氏は「Web3.0は資本主義が行き過ぎたことから生まれた」と持論を展開。「2018年、GAFAはデータを取りすぎた。私たちの個人データを取り込むことで自らの財産に変えていった。つまり広告だ。なんでも行き過ぎたら、そこには修正が入る。それが今の状況だ」と述べた。

また、「日本は無形資産の価値をテクノロジーで作るべき時を迎えている」との主張も印象に残った。有形資産は過去に証券化されてきたとし、その例として石油等をあげ、「有形資産はゴールドから石油と証券化され、産出国は多大な財を得た」と語った。

その上で、「世界で最大のIPが日本に埋まっている。ゴールドや石油に匹敵する財産が地下に埋まっているということだ。ブロックチェーンを活用して埋もれた日本のIPを掘り起こす。今の今、Web3.0領域において、日本は世界と戦える、先導を切る国となる最大で最後のチャンスである」と、こちらも語気を強め警鐘を鳴らした。

▶︎左からScalably・山本氏、アニモカブランズ・岡澤氏

Web3.0のハブに近づいた1日

本イベントの全会場は終始熱気に包まれていた。

ba07ビルでは6階の出店ブースエリアで24ものNFT企業やプロジェクトが出展。日本では夏と冬に開催される「コミケ」が有名だが、NFTにおいてもこうした即売会の必要性が感じられる空間であった。

また、ba02ビルの駐車場ではNFT作品展示と大塚ビール祭りが開催。ba01ビルB1にあるping pong baではアフターパーティーも開催されるなど、まさにNFTを「飲んで、食べて、学ぶ」という充実したプログラムとなった。

このような大規模イベントを大塚という場所で行い、多くの関心が寄せられたことは非常に意味のあることだ。同時に、渋谷や港区などで行われる傾向の強いWeb3.0系イベントだが、大塚にこれだけの人数が集まったというのは、改めてWeb3.0という領域に興味関心を持つ人たちが増えているという証左であるともいえる。

「豊島区をWeb3.0のハブに」

この言葉に込められた人々の期待が垣間見えたひとときであった。

画像:TOKYO OTSUKA NFT FES、Iolite

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