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Web3.0×福岡
Web3.0
NFT
金融・経済

「Web3.0×福岡」国内屈指のWeb3.0積極活用地域の取り組みとは——

Iolite 編集部
2024/01/29

歴史的にも重要な役割を担ってきた福岡県が世界に通ずる"Web3.0の玄関口"になる

自治体として初の試みも見受けられる国内屈指のWeb3.0積極活用地域 「福岡」

近年、Web3.0関連の取り組みを行う地方自治体は増加傾向にある。なかでも、最も早く動き出していた都道府県の1つとしては福岡県があげられる。福岡県はまだWeb3.0という言葉がそれほど浸透する前からブロックチェーンの活用に本腰を入れており、県全体で取り組みが盛んだ。

福岡県は九州地方最大の都市であり、西日本屈指の経済力を有することで知られる。

人口も九州地方で最も多く、なかでも福岡市は人口増加数で全国1位(総務省自治行政局住民制度課「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント(令和5年1月1日現在)」参照)になるなど都市として高い魅力を有する。

古くより、福岡県は国際港の重要な拠点として栄えてきた。特に博多港は1世紀より中国との交流を図る上で重要な役割を担ってきた。一方で、時には戦乱に巻き込まれ荒廃に追い込まれるなど、時代の潮流による影響を大きく受けたともいえる。

現在、福岡県は空港や交通機関の整備が進んだことに伴い、陸海空の要所として機能している。いわばビジネスや観光の“玄関口”としての顔を持っているといえる。

そんな福岡県では、Web3.0領域に対して非常に明るい展望を持っているだけでなく、積極的に活用しようという動きが実際にみられている。

2021年には、県の令和3年度予算案において「ブロックチェーン」「宇宙」「バイオ」の3分野をあらたな成長産業の柱としてあげた。

また、政令都市である福岡市は自治体として初めて、日本発のパブリックブロックチェーンであるアスターネットワーク(Astar Network)に関連した組織「アスタージャパンラボ」にも参加。Web3.0の促進を図るべく、企業や自治体との連携を強化する構えだ。

しかし、福岡県がWeb3.0ネイティブな自治体であることを印象付けたのは同県の飯塚市であるといっても過言ではない。


飯塚市ブロックチェーン推進宣言

飯塚市は2020年に「飯塚市ブロックチェーン推進宣言」を発表。産学官を結集し、ブロックチェーンに取り組むべく連携していくことを強調した。実際、飯塚市ではブロックチェーンの活用に積極的な姿勢をみせており、2020年と2022年の2度にわたって公的証明書の実証実験を行っている。

この実証実験では、株式会社chaintope、株式会社ハウインターナショナル、株式会社カグヤ、Gcomホールディングス株式会社、そして飯塚市の5者が連携し、住民票や所得証明書の電子交付に関する検証が行われた。

特に2回目に実施された所得証明書に関する実証実験では実データを活用した検証が行われ、回答者数238名のうち83%に相当する197名が「機会があれば利用したい」「利用する」と答えるなど、一定の支持を集めることに成功している。

なお、これら公的証明書の電子交付を実現するには法改正が必要になる。そのため、飯塚市はブロックチェーンに関する取り組みを継続しつつ、来たる時に向け準備を進めていくこととなる。

行政だけでなく、福岡県は民間によるWeb3.0に関する事例も多数ある。まず、福岡県を拠点とするスポーツチームではNFTの活用やDAOを設立する動きが見受けられる。


民間によるWeb3.0事業

プロ野球の福岡ソフトバンクホークスは2022年6月より公式NFTとして「タカコレNEXT」の提供を開始。このNFTではホークスに所属する選手が試合で活躍するシーンや練習時のオフショットなどを閲覧することができる。また、NFTを3DViewerで360度体験できる点も魅力の1つだ。

さらに、サッカー・J1リーグに所属するアビスパ福岡は、2023年2月に「Avispa Fukuoka Sports Innovation DAO」を立ち上げた。このDAOはブロックチェーンを活用したトークン発行型のクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を提供するフィナンシェの協力を受け展開されている。

「Web3×スポーツの力で、福岡から世界に広がるイノベーションモデルを共創する」というビジョンを掲げ、日本のプロスポーツチームとしては初となるDAO組成となった。

DAOではさまざまなプロジェクトを通じてチームやファンが意思疎通を図るだけでなく、選手育成やスタジアム体験等についても議論が行われる。また、地域貢献・課題解決についてともに議論することで、福岡県のまちづくりや関係人口創出についても取り組みを進めている。

このDAOに参加するにはアビスパ福岡が2021年よりFiNANCiEで発行したアビスパトークンを保有する必要がある。トークンの保有数量によって受け取れるNFT等のリワードが異なるため、手にしたいものがある場合には積極的に参加するのもいいだろう。

このほか、JR九州では「JR九州NFT」の提供を2023年7月より開始している。JR九州NFTは、あたらしい体験や九州の楽しみ方などをユーザーに提案するプロジェクトとして立ち上がった。NFTはすべてアスターネットワーク上で発行されている。

この取り組みではNFTをコレクションや売買のためのコンテンツとして使用するだけにとどまらず、駅や列車、バス等の交通や商業・宿泊施設等を実際に利用した際に配布する。これにより、NFTを記念品や証明品として、付加価値のついたコンテンツとして楽しむことが可能になる。


ふるさと納税NFT

福岡県ではふるさと納税でもNFTを取り入れる動きがみられている。北九州市は2023年5月、NFTの普及を推進する一般社団法人北九州NFTネクサス及びNFTコミュニティ「Big Hat Monkeys」とコラボしたオリジナルNFTをふるさと納税返礼品として提供すると発表した。

このNFTはオリジナルマンホールとしてデザインが施され、Big Hat Monkeysより誕生したNFTコレクション「KURENAI」をモチーフに、北九州市の観光名所となっている小倉城をアレンジしたデザインを表面に採用。

そして裏面には北九州市の環境マスコットキャラクターである「ていたん」と「ブラックていたん」が小倉城をバックに描かれた実際に使用されているデザインが施されている。

ほかにも、福岡県においてふるさと納税の返礼品としてNFTが採用された事例としては、朝倉市が開始した「朝倉市×JUNKeeeeS(ジャンキーズ)コラボ旅するNFT」があげられる。この取り組みは朝倉市においてシティプロモーション課が2023年に新設され、市のプロモーションに注力する過程で発行されている。

一方、JUNKeeeeSはポテトやハンバーガー、ピザ、ドーナツ等のジャンクフードをモチーフにしたキャラクターブランドNFTで、2022年に誕生した。

両者のコラボによって生まれた旅するNFTは100枚限定で発行され、JUNKeeeeSの人気キャラクター6人が朝倉市の名所5ヵ所を巡り、時間帯の異なる景色を旅する様子が描かれている。旅する名所は「三連水車」「秋月の黒門」「筑後川の鵜飼」「甘木公園の桜」「原鶴温泉」となっていて、キャラクターや名所、名産品などはすべて異なる組合せとなっている。

今後も朝倉市はNFTを活用した関係人口の創出や観光誘致を積極的に行う姿勢をみせており、あらたな返礼品を開発していく予定だ。

ここまで福岡県におけるWeb3.0を活用した事例を紹介してきたが、県内ではこのほかにもさまざまな取り組みが見受けられている。いわば“ブロックチェーン活用の要地”ともいえる福岡県では、今後も県全体でWeb3.0に関する事例が生まれることだろう。

そして、歴史的にも世界とつながる上で重要な役割を担ってきた福岡県は、今後さらに加速するデジタル社会においてもグローバルに通ずる玄関口として、より存在感を増していく可能性を秘めている。


福岡のWeb3.0事業

▶タカコレNEXT

プロ野球・福岡ソフトバンクホークスが提供を開始した公式NFT。ホークスに所属する選手が試合で活躍するシーンや練習時のオフショットなどを閲覧することが可能なほか、NFTを3DViewerで360度さまざまな角度でみることができる。

【導入している企業・団体】
福岡ソフトバンクホークス


▶Avispa Fukuoka Sports Innovation DAO

サッカー・J1リーグに所属するアビスパ福岡は、2023年2月に立ち上げた国内プロスポーツ初のDAO。チームやファンの交流・意思疎通を図るだけでなく、福岡県のまちづくりや関係人口創出についても取り組みを進めている。

【導入している企業・団体】
アビスパ福岡
フィナンシェ


▶JR九州NFT

JR九州が2023年7月より提供を開始したNFTサービス。あたらしい体験や九州の楽しみ方などをユーザーに提案するプロジェクトとして立ち上がった。NFTは購入するだけでなく、実際に駅や列車、バス等の交通や商業・宿泊施設等を実際に利用した際にも配布される。

【導入している企業・団体】
JR九州


▶北九州市デザインマンホールNFT

北九州市が一般社団法人北九州NFTネクサス及びNFTコミュニティ「Big Hat Monkeys」とコラボしてオリジナルNFTをふるさと納税返礼品として提供。北九州市の観光名所である小倉城をアレンジしたデザインが施され、SBTとして発行されている。

【導入している企業・団体】
Big Hat Monkeys
一般社団法人北九州NFTネクサス


▶旅するNFT

朝倉市がジャンクフードをモチーフにしたキャラクターブランドNFT「JUNKeeeeS(ジャンキーズ)」とコラボして誕生したふるさと納税返礼品NFT。100枚限定で発行され、朝倉市の名所5ヵ所を巡り、時間帯の異なる景色を旅する様子が描かれている。

【導入している企業・団体】
JUNKeeeeS
レッドホースコーポレーション
一般社団法人北九州NFTネクサス



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