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注目BCG『SNPIT』を生み出したギグワークス・ガルシス・チューリンガムがプロジェクトの誕生秘話や今後を語る――

2024/03/28Iolite 編集部
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注目BCG『SNPIT』を生み出したギグワークス・ガルシス・チューリンガムがプロジェクトの誕生秘話や今後を語る――

注目ブロックチェーンゲーム『SNPIT』の誕生秘話や展望、そしてWeb3.0マーケティングの在り方を赤裸々に語る

写真を撮って稼ぐ「Snap to Earn」というあらたな概念を持ったブロックチェーンゲーム『SNPIT』。早くも注目を集める同タイトルを巡り、どのような経緯から生まれたのか、また今後の展開、目指すビジョンについて座談会という形で各々に思いの丈をぶつけてもらった。

ギグワークス傘下のガルシスとチューリンガムが共同開発して2023年にリリースされたあらたなブロックチェーンゲーム『SNPIT』。スマートフォンのカメラ機能を使用し、より良い写真を撮った方が勝利できる「Snap to Earn」という発想は、そのわかりやすさから今後ますます広がりをみせる可能性を秘めている。

今回の企画では、そんなSNPITを手がけるガルシスとその親会社であるギグワークス、そしてチューリンガムのトップたちに集まってもらい、プロジェクトの今後の展望やWeb3.0領域において重要となる「マーケティング論」などについて、本誌に本音を語ってもらった。

参加人口10万人、20万人という規模ではなく1,000万人、1億人をグローバルから呼び込んでいく

――まずはSNPITを開発、さらにはSnap to Earnというジャンルを発想するに至った背景・経緯についてお聞かせください。こちらは大塚さんと三瀬さんが主軸となって作られたとのことですが、いかがでしょうか?

大塚敏之(以下、大塚):SNPITに関していうと、我々はもともとpictier(ピクティア)という別のカメラアプリを作っていて、当初は「世の中にあるまだデジタル化していない広告を撮ることで報酬を得る」といったような、今とは全然違う形のSnap to Earnのモデルを作ろうとしていたんですよ。

ですが、その構想が出始めた頃にSTEPN(ステップン)が流行りだして、それに私がハマって結構やっていたんです(笑)。そんな時に、村田から「これはカメラ版STEPNにした方がいいんじゃないか」と意見をもらい、そこからスタートしました。

そこでブロックチェーンゲームにしようとなった時に、トークノミクスなどで専門的な知見を持っているチューリンガムさんに相談して進めた方がいいだろうということで現在の形でプロジェクトをスタートさせました。

三瀬修平(以下、三瀬):最初お話を聞いた時、非常に面白い取り組みだなと思いました。

大塚さんの考えをお聞きしていると、STEPNに広告をうまく絡ませて、長く社会のインフラ的に使われるようなものを目指しているということでしたので、それを持続的に支えていけるような仕組みを作れないかなと思い、ぜひ一緒にやらせてくださいという形で今に至ります。企画から開発までも比較的スムーズに進んだのではないかと思います。

大塚:たしかにそうですね。最初にご相談をさせていただいてから動き出したのは去年の5月ぐらいで、プロジェクトとして表に出して8月から少人数でのクローズドベータ版を開始したという流れでしたので、そこまではトントン拍子だったかなと思いますね。

――SNPITの開発やトークノミクスなどを設計するにあたり、こだわった点や苦労した点、ほかの「X to Earn」と違う点などについてはどのように考えていますか?

大塚:過去のブロックチェーンゲームの課題を踏まえた上で、もともと我々はトークンの発行上限は設けない形を考えていたんですが、三瀬さんから「発行量を定めた方がいいよね」というアドバイスをいただき改めました。

事業を持続的、かつインフレやデフレの影響を受けず長期的にできるようにするというところはずっと議論しながら進めているところです。

三瀬:STEPNが出たタイミングではさまざまなプロジェクトがデュアルトークンモデルを採用していたのですが、これはデメリットも大きいので、最初にお話させていただいた時に特に議論をさせていただきました。

結果的にシングルトークンの方がより価値を残しやすいですし、大塚さんの目指す未来に合致しているなというところで、このような形となりましたね。

――三瀬さんから「大塚さんの目指す未来」というお話が出てきたのですが、少し詳しくお聞かせください。

大塚:Web3.0はデータを各々が保有することによって、そのプロダクトに貢献したらちゃんと恩恵を受けられるという世界なのでそこがいいなと思っています。しかし、ずっとユーザーが広がり続けないと持続性がないのも事実です。

結果的にその離隔は起こっていくことになると思うので、その離隔以上にユーザーの入りがないとなった時、プロダクトの恩恵をユーザーが受けられるのかということをずっと考えています。

インターネットの大きな転換期で捉えたら、Web2.0からWeb3.0に変わったことによってその恩恵を受けられる世界にしないといけないと思うんです。そうなると、今の10万人とか20万人が最大の規模になるブロックチェーンゲームで止まってしまうと意味がないですよね。

これを1,000万人とか1億人ぐらいの規模にまで持っていく必要があります。そう考えた時に、1,000万人、1億人というユーザーがSNPITのなかに入ってきてくれて、その貢献度合いでトークンがもらえ、かつ生活が潤うような手助けになったらいいなと思います。

それぐらいの規模を目指しているのですが、逆にそれぐらいの規模にならないとインパクトがあまりないと考えています。

三瀬:SNPITのすごくいいところって、写真そのものの価値と向き合うところなんですよ。

たとえば、SNSだとフォロワー数であったり、インフルエンサーの発信力というところに依存してしまうんですが、SNPITは1枚の写真をみて、その写真に価値があるかどうかを判断していくので、そこにどれだけの価値があるかを測ることができるモデルなんです。

現時点で影響力がなくても、本当に良い写真を撮ればバトルで勝ち上がって有名になったりだとか、1つテーマを決めてさまざまな人たちが同じような写真を撮って価値のあるものを競い合ったりできるので、SNPITはそこに無限の可能性を秘めていると思います。

いわゆるブロックチェーンとか暗号資産というのは価値の流動性を担保しているものなので、その価値がどこにあるのかという問題が重要だと私は思っていて、SNPITはそこにちゃんと向き合っているプロジェクトだと思っています。

Web3.0市場はキラーアプリの登場を待っている
同時に「価値と向き合うことの習慣付け」を実現する

――村田さんはこの構想をお聞きになった時にどのようなことを考えましたか?

村田峰人(以下、村田):もともとpictierを展開していたこともあり、「これはうちの本業につながるしビジネスになる」と感じました。

ただ先ほどの広告の話になると、都市圏はたくさん看板があったりするけれど、田舎はそれが少なくどうしても不公平になってしまいます。しかし、ブロックチェーンを使えばそれを解決することができる。

昨年、我々のグループ会社である日本直販の総合プロデューサーに就任した秋元康さんともSNPITの話題が出たんです。その際に「時価総額1兆円のゲームになったらすごいよね」と秋元さんがおっしゃった時、うちの大塚は「いや、1兆ドルですよ」と宣言していました(笑)。

でも、これはあながち馬鹿げた夢ではなくて、世の中を巻き込んでいけばそれぐらいの価値は生み出せると思うんです。SNPITは個人的にInstagramよりも十分面白いし公平性があると思っています。

日本の強みとして生き残っているカメラを武器に
ゆくゆくは既存のカメラメーカーとの連携も目指す

――公平性の担保などを考えた際にSNPITの発想にたどり着いたんですね。

村田:そうですね。僕自身カメラが好きなのと、あと日本のプロジェクトが海外に置き換われ始めているという現状も拍車をかけました。個人の見解になりますが、家電のなかで日本がまだ生き残っている領域というのはカメラと炊飯器だけなんです。

最近は炊飯器も海外製品が多くなっていますから、そうなると唯一残るのはカメラだけなんですね。Web2.0では日本が海外勢に押される構図ができてしまいましたが、なんかこれも悔しいじゃないですか。日本のモノが衰退したといわれ、若者が夢を持てなくなる世の中というのは非常に悲しいことです。

だからこそというわけではないですが、日本の強みとして生き残っているカメラならまだいけると思うんです。ですから、ゆくゆくは既存のカメラメーカーすべてとSNPITがつながるようにできたらいいなと考えています。

写真を撮る方々というのも圧倒的にご年配の方が多いんです。でも、せっかく写真を撮っても発表する場がないんですよね。発表して評価される場があるとさらに面白くなるでしょうし、深みがあるなと思うので、SNPITがその役割を担っていけたらいいなと考えています。

田中遼(以下、田中):Web3.0というのは都市部と地方、日本とグローバル、そういった垣根がないものですので、日本初のプロジェクトであっても、すぐに世界で戦えるというフィールドだと思っています。そうした時に、Web3.0の良いところというのはやはりトークンを活かしてインセンティブを付与するところだと思うんです。

たとえば、従来の世界で不平等が生じているとしましょう。そうした時、Web3.0を活用するとこれまで不公平を感じていた方々のインセンティブに対するモチベーションが高まると思うんですよね。むしろ、そういう方々があらたなターゲットになりうると考えていて、誰もが気軽に参加できるというところがWeb3.0のプロダクトの良いところです。

SNPITも、トークンを絡めて良い写真を撮り勝ち抜いたユーザーがインセンティブを獲得できるところがプロジェクトを面白くしていると思います。誰でも参加できるというところが公平性という点でもいいですよね。

SNPITをきっかけに「ブロックチェーンを初めて知った」いうユーザーが増えてきた

――今後のブランディングやマーケティングという点で、SNPITをどのように展開していく予定なのかお聞かせください。

大塚:マーケティングに関していうと、今は海外向けにも動き出していて、海外ユーザーを集めるための施策を準備しながら、そろそろ大きく動かしていくところではあります。やはりブロックチェーンゲームのコアユーザーは世界でも100万人ぐらいかなと思っていて、日本ではまだ数万人程度のレベルなので、ここを抜けるというのはハードルが高いですよね。

興味を持っている人はすごく多いのですが、やはり「ブロックチェーンが詐欺に使われやすいものだ」という認識が根強く、浸透させるのがなかなか大変なんですよ。結局は一般層にどうやって浸透させるかがすごく重要で、よく業界の方々が口にするのが『KOL(Key Opinion Leader)』の存在です。

そうした影響力のある方々を通じてブロックチェーンの正しい認識を広げていくというのは定石なのですが、より幅広い層に広げていくというところでは秋元康さんのような方と組んだりして、今まで興味がなかった人をいかにして連れてくるかという点を現在とても意識しているところです。

田中:大塚さんがおっしゃるように、既存のWeb3.0のところに広げていくというのは我々が得意としているところで、そこから先、100万人以上にどう広げるかという部分は世界的にみてもまだまだチャレンジングな部分だと認識しています。

それに対して、影響力のある方々をプロジェクトに紐付けることができたのは、やはり村田さんや大塚さんの力があってこそのことです。これはある種、このチームだからこそできることで、今までと違う可能性を感じられる部分だと思いますね。

大塚:著名人たちがSNPITをプレイして、そこで初めて名前を聞いたという方も多いと思うんです。「SNPIT?何だそれ?」みたいな感じで(笑)。でもそういうのが大事だと思うんです。

実は、SNPITをきっかけに「ブロックチェーンを初めて知りました」という人も非常に多いんですよ。やはりSNPITは「写真を撮るだけ」というわかりやすさがあるので、それがWeb3.0に入るハードルをかなり下げていると思うんです。

田中:いわゆるイノベーターとかアーリーアダプターから、徐々にアーリーマジョリティに広げていくというキャズムを乗り越えるための取り組みにもつながっていると思います。

大塚:とはいえ現状、まだWeb3.0業界全体としてキャズムを越えられたわけではないですよね。

田中:そうですね。やはりそこを越えられる、ある種のキラーアプリをWeb3.0の市場が待っているような状況で、それがないと逆に広がっていくのはなかなか難しく、そこを目指していこうというのがSNPITの方向性かなと思いますね。

既存のWeb3.0領域に加え、そこから先の100万人に届けるべくこのチームでチャレンジしていく

――既存のビジネス領域及びWeb3.0領域の両面からみたこれからの「Web3.0マーケティング」やその在り方について、皆様のお考えをお聞かせください。

村田:僕にいわせると、SNPITのアプリのなかにあらゆる機能が実装されれば、その問題は解決するかなと。わからないことがあれば、SNPITを通じて理解することができるような機能ですよね。それぐらいまでいけば、Web3.0のマーケティングというのは成立するんじゃないかなと思います。

大塚:やること自体はすごくシンプルなので、写真の撮り方などの上手い下手は多少ありますが、普通にプレイすれば稼げたり勝負でも勝てたりするので、そういったハードルの低さというのはユーザーが続けやすいポイントです。

たとえば、SNPITはオープンβ版が開始してから135日(取材時点)が経っているのですが、ほぼ最初からやり続けている人は200人近くいて、100日以上の人でも1,000人近くいる状態なんです。

ブロックチェーンゲームでありがちな早く利確したいという人たちはすでに離れていて、むしろゲームを楽しくプレイしてくれている人たちが非常に多くいるというのは、ものすごい強みだと考えています。

田中:大塚さんがおっしゃっているところはまさに1番重要なところだと思います。これをグローバルでやっていくというのが重要な点ですよね。極論、「稼げる」という目的で入る方々というのは、別にサービス自体が好きなわけじゃないんです。サービスじゃなくて、「稼ぐ」という行為が好きな人なんですよ。

SNPITでは、写真を撮るという行為に対して熱がある人たちがどれだけプレイしてくれるのかが重要です。これは国内だけじゃなかなか足りなくて、海外も巻き込んでいかないといけません。

このグローバルマーケティングをどれだけ成功させるかということと、熱量を取り込む仕組みを構築することは最も重要かなと考えています。この仕組み作りというのもある種マーケティングだと思いますね。

より多方面へと広がりのある計画を構想中
SNPITがWeb3.0をマスアダプションさせていく

――最後に今後の抱負やSNPITユーザーに対して一言お願いします。

三瀬:このプロジェクトは本当に目の付け所がいいと感じていますし、価値と向き合うプロジェクトだと思います。そうした「向き合うことの習慣付け」をさせるようなプロジェクトにしたいと思っていて、チューリンガムとしてはそれを仕組み側の方からサポートできればと考えています。

田中:さらに、我々としてはWeb3.0領域の専門家としてトークンの細かな設計や経済設計とその持続性をサポートするだけじゃなくて、業界全体のルール自体を変えていく取り組みも進めていきたいなと思います。

村田:SNPITは、今は「写真を撮って勝負」というアプリですが、今後は「どちらの写真が良いか」をユーザーが選べる機能の搭載などを構想しています。これを搭載すると、たとえば企業がパッケージを選定する際、「先に1,000票投じられた方の案を採用します」ということもできます。

こうした取り組みを通じて、企業のマーケティング費用削減といったところにも寄与できるかもしれません。そのほかにも、かなり広がりがある構想を練っていますので、ユーザーの皆さんには今後も期待していただければと思います。

大塚:どうしてもブロックチェーンゲームというと「一時は儲かるけどそこからなかなか儲からない」とか「損をする」みたいなイメージがあると思いますので、そこを打破していき、「SNPITがWeb3.0をマスアダプションさせた」とみんなが認めてくれるようなゲームにしていきます。


Profile

田中 遼|Ryo Tanaka
チューリンガム株式会社 代表取締役 CBO
東京都庁、Web3スタートアップを経て、LINEのブロックチェーン・NFT事業立上げに従事。JCBA NFT部会副部会長を歴任。2022年よりTuringumに参画しビジネス開発をリード。


三瀬 修平|Shuhei Mise
チューリンガム株式会社 顧問
早稲田大学政治経済学部卒業。三菱東京UFJ銀行とBNPパリバ銀行ではトレジャリーマネジメントに従事。bitFlyerではブロックチェーンビジネスの新規立ち上げを行う。Turingum参画後、2020年より代表取締役に就任。2023年5月、代表を退任し顧問に就任。


村田 峰人|Mineto Murata
ギグワークス株式会社 代表取締役社長
1997年9月に株式会社ウィルクリエイトへ入社、翌年1998年9月に同社取締役就任。2002年10月エスビーアイ・プロモ株式会社(現SBIリアルマーケティング株式会社)へ入社。2007年3月株式会社ウェルコム・パートナーズ(現SPRING株式会社)の代表取締役社長に就任。2014年1月ギグワークス株式会社の代表取締役就任、同年8月に同社代表取締役社長就任(現任)。


大塚 敏之|Toshiyuki Otuka
株式会社GALLUSYS 代表取締役社長
2017年ギグワークス株式会社のコールセンターコンサルティング子会社へ従事。2020年9月にギグワークス株式会社のグループ会社として株式会社GALLUSYSを設立。代表取締役社長に就任し現職。2021年3月に非言語SNS「ピクティア」をグローバルでリリースし、2023年10月にSnap to Earnサービス「SNPIT」をリリース。


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