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STEPN密着取材&共同創業者Yawn氏インタビュー

2023/08/01Iolite 編集部
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STEPN密着取材&共同創業者Yawn氏インタビュー

7月25日から26日の2日間、国内最大級のWeb3.0カンファレンス「WebX」が東京国際フォーラムで開催された。

「Hall E」のピッチステージを囲むようにして設置されたイベントブースには、100以上のプロジェクトが出展し、各プロジェクトの体験や情報交換が行われていた。

今回、Ioliteでは本カンファレンスで最も盛り上がりをみせていたプロジェクトの1つである「STEPN(ステップン)」を密着取材。

WebXの公式サイドイベントや、7月29日に行われたSTEPNオフィシャルAMAと公式コミュニティイベントの様子、そして密着取材によって実現したSTEPN共同創業者・Yawn Rong氏(以下、Yawn)の独占インタビューまでをレポートとして展開していく。


共同創業者Yawn氏独占インタビュー

——STEPN開発に至った経緯を教えてください。

Yawn:まず共同創設者のJerry Huang(以下、Jerry)が私の家の近所に引っ越してきたことがきっかけです。私の車のプレートにはCRYPTOと読める文字が入っており、Jerryが「ブロックチェーンに関心がある人がいる」と思い私の家を訪ねてくれたことが始まりです。

——当時、暗号資産は怖くありませんでしたか?

Yawn:私自身、あたらしいモノには抵抗がありません。もちろんインターネットなどでビットコインやほかの通貨をリサーチしてやってみようと思いました。特別怪しいなという先入観はなかったです。

——JerryとSTEPNを共同創業しましたが、お互いの役割について教えてください。

Yawn:最初は2人の間で明確な役割がない状態で、ブレインストーミングでゲームの話などをして、さまざまなアイデア交換をしていました。

その後2つのチームに分かれ、今はゲームの開発をJerryがやっています。そして、トークンエコノミクスやマーケティング要素のある部分を私が担当するようになりました。今回のようなインタビューなど外部のコンタクトは私の役割です。

STEPNがリリースされた最初の頃こそ、Jerryと2人でセッションに出たりもしましたが、ここ1年弱は私が1人で出ている形です。彼はテクニカルな才能を持っており、今は開発にリソースを割いてもらっています。

ただ、あたらしいプロダクトを開始する時に何か問題が起こると、私自身も開発チームに入り、落ち着いてからまたマーケティングに戻ってくるといった動きをしています。

現在は、あたらしく始める「Gas Hero(ガスヒーロー)」というプロダクトが一旦落ち着いたので、次のプロダクトに向けマーケティングを含め動いていますね。

あたらしいプロダクトというのはさまざまな問題が起こります。その都度問題を解消していますね。あたらしい会社なのでロール&レスポンシビリティにこだわらず、とにかくいろいろなことをしています。

——リリース当時、「Move to Earn」というコンセプトのアプリケーションはなかったように思いますが、参考にしたプロダクトはありますか?また、トークノミクスを設計する上で重要だと考えている要素を教えてください

Yawn:2012年に移動することによってポイントがもらえるゲームがあり、それをモデルとして着想を得ました。

トークンエコノミーについては、まず大前提として、長い時間プレイしてくれるヘビーユーザーたちが我々のゲームを支えてくれていると思っています。彼らがいるから次のエコシステムに移行できる。

去年でしたらエナジーを20も持つ人はあまりいませんでしたが、今は持っている人が増えました。みんながSTEPNのなかでもっといろんなことをしたいという高いモチベーションを持ち、そしてコアユーザーとなる人が増えることで、全体としても強固なゲームになっていきます。

現在、STEPNでは課金を行ったユーザー向けにバッジシステムを設けています。そういった形で参加してくれた人たちに向けてエアドロップを行うなど、インセンティブを付与することで、また次の動きがあった時に「再投資をしたいな、買ってみたいな」という動機にもつながり、全体のエコシステムにも貢献していきます。

そしてこれはゲームに参加したばかりの初心者にも次第に響いていき、少しずつエコシステムに参加してくれたりレビューを行ってくれたりします。このサイクルが繰り返し行われることで、全体のエコシステムが大きくなっていく。こうしたイメージが重要だと考えています。

——LINEとの連携は、新規ユーザーの獲得に寄与する可能性を秘めていると思います。現在の状況を教えてください

Yawn:LINEとのコラボについては現在水面下で着実に進めております。アナウンスメントが近日中にありますので楽しみにお待ちください。

STEPNを通じて経験や知識を身に付けつつゲーム楽しんでほしい

——既存のMove to EarnやX to Earnとの差別化はどのように考えているか?

Yawn:単純にMove to Earnというと「歩いて稼いで売ってしまう」という側面はありますが、モノを売り買いしたりとか、それ以外のことでも楽しめるところがたくさんあります。そこがSTEPNのゲーム性だったりします。

単純に「歩いて稼ぐ」というのはキャッチーではありますが、実際のところ私もスニーカーをミントしたり、NFT(GEM)を買ったり売ったりします。

単純な売買のゲームとは異なるため、ユーザーの皆さんに楽しんでもらっているのだと思います。「ライフスタイルアプリ」がコンセプトとしてありますので、その点もほかのゲームとは異なるところです。

——STEPNコミュニティの皆さんとSTEPNをこれから始める方々に一言お願いします。

Yawn:GMTを稼げるアプリとしてSTEPNがあるので、今度はGMTを活用していろいろなサービスを使って楽しんでもらえたら嬉しいです。

特に初めての方ですと、STEPNを通じて初めてクリプトを触るとか、NFTの取引の仕方を学ぶとか、Web3.0入門としてあらゆることを学べると思います。単純に歩いて稼ごうというよりは、STEPNを使うといろいろな経験や知識が身につくので、そのような点もSTEPNを通じて楽しんでもらえたらと思います。

WebX公式サイドイベント「MOOAR(モーア)×STEPN Lounge」と「STEPN JAPAN MEETUP July」

7月26日、MOOAR(モーア)とSTEPNユーザーで交流を深め、刺激的な体験を提供すべく、WebXのサイドイベントとして、「MOOAR(モーア)×STEPN Lounge」がXEX 日本橋 The BARで行われた。

大盛況のアフターイベント

会場は50名以上のMOOAR及びSTEPNユーザーの熱気で包まれた。そこには初対面でもMOOARとSTEPNという共通の話題を介して打ち解けるコミュニティの姿が見受けられた。

イベントではSTEPNの共同創業者であるYawn氏が参加者から直接質問を受け付け真摯に答える姿が印象的だったほか、「Gas Heroバッジ」「攻殻機動隊OGスニーカー」などが当たるジャンケン大会、MOOAR NFTのギフト、AIベースのNFT生成体験などが行われた。

イベントはYawn自身がより一層STEPNコミュニティとの対話を大切にしていくという意思を示す会になったといえる。

「STEPN JAPAN MEETUP July」

7月29日にはSTEPN のオフィシャルAMA及び公式コミュニティイベントとして「STEPN JAPAN MEETUP July」がベルサール半蔵門にて開催された。

午前10時からConvention &AMAが行われ、参加者には今回のイベントにあわせて制作されたTシャツが配布されたほか、抽選でスニーカーを得られるプレゼント企画などが催されていた。また、参加者同士の貴重なコミュニケーションの場として、グループごとに「豊洲ぐるりパーク」周辺をMOVEした後、バーベキューを行う懇親会も開かれた。

AMA並びにMOVE+バーベキューには、延べ250名以上のユーザーが参加。当日の東京は猛暑日となり、炎天下でのイベント開催ではあったものの、有志で集まった運営によるきめ細やかな配慮により体調不良者や怪我人等もなく無事イベントを終えることができたようだ。 

以下は、ベルサール半蔵門の会場にて行われたYawn氏によるConvention &AMAの内容を一部掲載する。

Q.マラソンモードに関する最新の開発状況、リリース時期について教えてください。

マラソンモードについて、どのように実装するか1年以上にわたり議論を重ねています。そして、やっと最近「これならいけるかも」という方法をみつけることができました。

マラソンモードの実装には、具体的に2つの選択肢がありました。

1つ目は現行のステップで行うこと。具体的にいうと、紫GEMにユーティリティを持たせるというものです。しかし、同時にSTEPNはシンプルなゲームであってほしいという気持ちもあります。というのも、たくさんの機能を持たせすぎると新規のユーザーが混乱してしまう可能性があり、なるべくシンプルなものを提供したい。

その結果考えたのが、2つ目の選択肢である「あたらしいSTEPNを作る」こと。実はこの話をするのは今日が初めてです。

有名なゲームや物語でも1・2・3とシリーズがあるように、STEPNも1・2があっても良いのではないかと考えています。

STEPNのすごいところは、既存のゲームは2・3のタイトルが出た時に、前作のユーザーが減っていく傾向にある。しかし、「STEPN2(仮)」が出た時、人々はSTEPN1もプレイすることができる。これにより、マラソンモードで直面していた問題を解決できるのではないかと思っています。チームで開発にあたっているので、もう少し情報解禁までお待ちください。

Q.AppleWatchへの対応はどのように考えていますか?もし、AppleWatchへの対応を進めているのであれば進捗を教えてください。

長い間、「AppleWatchを使った場合にチートをする人が出てこないか?」という問題の検証を続けています。結果、チートを止めることができないという結論に至りました。

具体的には、唯一チートすることができない方法というのが、AppleWatchのセルラーバージョン。いわゆるSIMカードが入っているデバイスのみ、チートすることができないということがわかっています。

ところが数字をみていると、AppleWatchユーザーのなかでそのSIMカードが入っているデバイスを利用しているユーザーは全体の10%にも満たないという事実が判明しました。AppleWatch対応といいながら10%の人しか使わないものを作るというのは、公平性に欠けるということで今はホールドしています。

厳密にいえば、SIMカードは実際に挿せるようなものではなく、eSIMと呼ばれるデジタルSIMカードに対応しているAppleWatchのことを指すのですが、価格が高い上に月額の使用料が発生するためユーザーが少ないのです。

Q.ガスヒーローのバッジはeGSTの消費で作られたが、なぜApe Realm(イーサリアムレルム)なのか? 

最初は、ガスヒーローバッチをどのレルムからでもゲットできるようにしようと考えていました。ところが2つの問題に直面したのです。

1つ目の問題は、ソラナチェーンのガスフィーがたった5GSTであること。5GSTでガスヒーローバッチを手にしようとすると、約2,000回のトランザクションをしないといけないことになりますね。ですから、ユーザーが正確に2,000回数えることは現実的ではないと考えました。

2つ目がどのレルムでも同時にガスヒーローバッチを実装することが技術的にできなかったこと。去年あたりからおかしな動きをするユーザーがいることに気付いたのですが、どうやらスクリプトを使いBotを作ったユーザーがいて、スペンディングとウォレットの間で1GSTを永遠に動かし続けているようでした。

実はスペンディングからウォレットへトークンやNFTを移行する際、100%のガスフィーをユーザーが払っているわけではなくて、運営が一部補助しています。ですから、Botによって何度もトランザクションが起こることにより、運営のトレジャリーが減ってしまいます。

なので、すべてのレルムでパッチを取得可能にしてしまうと、エコシステムを破壊し続けているBotを設定した人たちも取得できてしまうため、矛盾が生まれてしまいます。

加えて、一般の人たちが2,000回のトランザクションを行おうとすると1日2日では難しいのにも関わらず、このBotたちは容易に行うことができるのです。

こうした課題があるなかで、仮に3つのレルムで取得ができるようにガスヒーローバッチを実装すると、Botがすべてのバッジをさらってしまうことになります。これはとても公平性に欠けます。

このような理由からイーサリアムチェーンに限定しました。イーサリアムのレルムでは34回のトランザクションをすればバッチを取得できるので、これは皆さんでもカウント可能ですね。

Q.FSL(Find Satoshi Lab)が最近リリースしたプロダクト群に対する基本的なフィロソフィーや核となる思想は何ですか? これらのプロジェクトが形成されていく上での共通の考え方や基盤となるビジョンがあるのであればそれについて詳しく教えていただけますか?

STEPNを構築した時は1つのビジョンしかありませんでした。当時は、このアプリケーションによってソーシャルとゲームの要素があるものを作ろうと思っていました。しかし、構築しているうちに2つの問題に直面しました。

我々の前に良くプレイされていたのはアクシーインフィニティだと思うのですが、実際にはマジックエデンやファントムのウォレットを使うなど、いくつもの違うプロダクトを使いこなせなければならなかった。それは新規のユーザーにとって、とてもハードルの高いことです。

我々はウォレットとDEXとマーケットプレイスを1つにまとめたいと思っていました。STEPNを作った理由はまさにそこにあります。

ですから、STEPNの枠組みが完成した頃にマーケットプレイス(=MOOAR)やDEX(=DOOAR)を作ったという流れがあります。マーケットプレイスを構築する過程で、マーケットプレイス単独で存在しうる商品だと認識しました。

MOOARのユーザーというのはNFTのユーザーであり、トークンの取引はほとんどしていない人が多く、主にNFTをトレードしてGMTを獲得します。そこでGMTについて学びつつ、MOOARの技術を活用して将来の商品に転用することができる。

最近リリースしたプロダクト群の立て付けは、まずSTEPNの枠組みを作ってそのなかのインフラストラクチャーを構築する。今度はそのインフラストラクチャーを使って、次の商品を構築するという流れになりました。

1番最近の商品はガスヒーローですね。ガスヒーローというのはソーシャルの要素がとても強いものになります。STEPNというアプリで運動をしてもらって、次にソーシャルの要素はガスヒーローに担当してもらいます。

イーロン・マスクでさえもTwitterを「X」に変えたように、ソーシャルの要素というのはこれからもっと強くなっていくのではないかと考えています。そのため我々は、ソーシャルの要素をつぎ込んだガスヒーローを作りました。

次のWeb3.0業界を牽引する存在になると自負しています。STEPNは私たちの体の運動、ガスヒーローは頭の運動というイメージです。

Q.現行のSTEPNからSTEPN2(仮)に紫GEMをトランスファーすることは可能なのでしょうか? もしくは紫ジェムのユースケースがSTEPNで増えるという可能性はあるでしょうか?

「STEPN2」は仮の名称なので皆さん落ち着いてくださいね(笑)

1ついえるのは、全部のユースケースは現行のSTEPNでとどまります。

Q.Yawnは毎日どれくらいのエネルギーを消費していますか?

35エナジーぐらいですね。

Q.アチーブメントバッチで、いくつか同期がうまくいってないようなものは導入された時点から後の達成ではなく、STEPNを始めた頃からの達成がいずれ反映されるという認識で良いですか?

バッチシステムというのは、STEPNのプロダクトを作っていく過程でかなり最近にできたアイデアなので、皆さんがジョインした初日からカウントされていないものもあります。

現状では1つの課題があり、たとえば私たちは「8%でこのバッジを獲得できる」というのを可視化できない点があげられます。

あとどれくらい頑張ればこのバッジがもらえるのかという部分は問題として認識しています。この課題の改善を次のステップでは考えています。

初日からのカウントは大変難しい部分もありますが、なるべく遡って皆さんのアチーブメントをちゃんと反映できるように現在動いています。私自身もバッチがほしくてたまらないので、チームにも早く対応してほしいと意向は伝えていますので安心してください。

まとめ

一連のSTEPNによるイベントを通じて、Web3.0領域におけるコミュニティのさまざまな側面を垣間見ることができた。

また、有志のアンバサダーやボランティアが一丸となり、双方向のコミュニケーションが可能な優れたイベントを実施したというのは目を見張るべき成果といえる。STEPN JAPAN MEETUP Julyにしても、土曜日の朝から250名を越える参加者が集まるWeb3.0系イベントというのは非常に珍しい。

イベントを通じてYawn氏がユーザーとの対話を大切にしていることがうかがえるシーンを何度もみることができた。それは当日実際に参加していたユーザーたちも感じたことだろう。

コミュニティの力強さが際立った

最後のバーベキュー会場でも、Yawn氏は余すことなくすべての席に足を運び、参加者の質問に直接答えていた。熱心に答えるその姿からは、STEPNをさらに良いものにしていくという心意気も感じられた。

コミュニティにしても、ここまで強固なつながりがあり、「皆で作り上げる」といったコンセプトに沿ったものは業界全体を見渡しても非常に珍しいといえる。これからコミュニティ運営を行う、またすでにコミュニティ運営を行なっている人でも1度参考する価値があるといえるレベルだろう。

総じて、STEPNの密着取材ではコミュニティの盤石な力強さを筆頭に、Yawn氏やプロジェクト側の熱意を感じることができるなど、大変有意義な瞬間を共にすることができた。

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